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港の歴史地区の古い建物にIT企業を入れた

Porto Digital

ブラジル / ペルナンブコ州 / Recife

港の歴史地区の古い建物にIT企業を入れた
© Diario de Pernambuco — この写真が載っている記事

2000年に始まり、20年目の2020年12月時点で344社・雇用1万1,600人だった。2023年の売上は54億レアル、2024年は62億レアルで、2018年から2024年で226%増えたと報じられている。2025年10月時点で475社が入り、2万1千人以上が働いている。

何をしたか

レシフェの旧港地区バイロ・ド・レシフェ(Bairro do Recife)に残っていた古い建物を修復し、そこにIT企業を入れる形で2000年に始まった技術団地。運営はNGPD(Núcleo de Gestão do Porto Digital)で、州・市・大学と産業界が共同で担う。地区の再生と、市の雇用・所得づくりという2つの目的を同時に置いたことが特徴とされる。開始時の入居企業は2社だったが、2020年に344社、2025年10月時点で475社・雇用2万1千人超まで増えた。現在は旧港地区の全域と隣接する複数地区に広がっている。

誰が始めたか

3者が同時に組んだ形として説明されている。 Diario de Pernambuco 2026年1月18日の取材で、Porto Digital の代表 Pierre Lucena は、これが政府・大学・生産部門の力を結びつけた先駆的な事業として作られたと述べている。運営主体は NGPD(Núcleo de Gestão do Porto Digital)である。

目的は最初から2つあった。 同取材で Lucena は、1つは旧港地区(bairro do Recife)の修復の事業であること、もう1つはレシフェ市のための雇用と所得の創出であることだと述べている。理由として同氏が挙げているのは、90年代の終わりにペルナンブコ連邦大学(UFPE)が多くの技術者を輩出していたのに、その人たちが市外へ出ていってしまっていたことである。

大学側の当事者も出典に出てくる。 Agência Brasil 2025年10月18日は、Porto Digital の創設者の1人として、UFPE 名誉教授で Recife の先進システム研究センター(CESAR)を構想した Silvio Meira を挙げている。同記事には、当時の状況を語る技術者として電気工学の Eduardo Peixoto も出てくる。同氏は、卒業した時点では何もなく人材の流出が非常に大きかったとし、自身もサンパウロ、次にジュネーブへ移ったと述べている。 同氏は2002年、事業が紙の上から出はじめた時期にレシフェへ戻り、2022年から CESAR を率いている。

行政は途中から役割を増やしている。 2026年1月の取材で Lucena は、企業が人手不足で案件を断っていた状態を、大学と組んだ実務研修(residência)と、レシフェ市との「Embarque Digital」計画の到来によって解いたと述べている。 2024年4月4日の記事にはレシフェ市長 João Campos が登場する。つまり順序は、州政府・大学・産業界の3者による立ち上げ(2000年)→ 企業の集積 → 市の教育計画が加わる(2018年以降)→ 多国籍企業の進出、である。

いくらかかったか

事業全体の投資額は確認できなかった。 出典が書いているのは、立ち上げの原資の種類と、その後の売上の規模である。

- 立ち上げの原資は税の軽減と州の資金だった。 2026年1月の取材で Lucena は、推進力になったものとして市の役務税(ISS)の軽減と、2000年代の州政府による3,000万レアルの誘導を挙げている
- その税の軽減は失われる見込みだと同氏は述べている。 同取材で同氏は、税制改革によって ISS の軽減が無くなるとし、役務部門への課税が大幅に重くなることへの懸念を述べている。これは同氏の見通しであって、実施された事実ではない
- 恒常的な資金は公募で取っている。 同氏は、国内・国際の公募(editais)に応じて資源を確保しているとし、連邦政府・州政府・レシフェ市・Finep(研究プロジェクト資金機関)・欧州の共同体と組んでいると述べている
- 建物の修復と入居の費用の負担者は書かれていない。 17世紀に建てられた邸宅(casarões)が空調の効いた事務室になっていると Agência Brasil 2025年10月18日は書いているが、誰がその改修費を出したかはどの出典にも無い
- 回っている金額の側は毎年報じられている。 2019年の売上は23億5,000万レアル(前年比24%増、2020年12月18日の記事)、2023年は初めて54億レアルに達し(2022年比14%増、2024年4月15日)、2024年は62億レアルで、2018年から2024年の間に226%伸びた(2026年1月18日)

funding_scale には、この立ち上げの原資(ISS の軽減と州の3,000万レアル)を Lucena の発言として入れ、事業全体の投資額は確認できていないと明記した。

真似するなら最低何が必要か

1. 人材を出し続ける大学が先にあること。 立ち上げの動機は「UFPE が育てた技術者が市外に出ていく」ことであり、人材の供給源が既にあったうえで、留まる先を作ったという順序になっている
2. 空いている歴史的な建物が固まっていること。 対象は旧港地区の全域と、サント・アマロ地区の一区画、サント・アントニオ・サンジョゼ両地区の一部である(2020年12月18日)。Agência Brasil はこの範囲をサッカー場42面分と書いている
3. 税の優遇と、それが無くなった後の備え。 推進力だった ISS の軽減は税制改革で失われる見込みだと代表は述べている。優遇を前提に設計すると、制度が変わったときに前提が消える
4. 教育の側に別の計画を持つこと。 大学と組んだ実務研修と、市との「Embarque Digital」。代表は、市内の高等教育での年間修了者が500人から1,400人に増え、公立校出身の修了者は倍以上になったと述べている(2026年1月18日)
5. 誰が入るかを測ること。 同取材で代表は、Embarque Digital のデータで学生の33%が女性であり、技術分野の全国平均14%の2倍を超えると述べている。以前は中間層が占めていた仕事の枠を、レシフェの周縁部の人が占めるようになっているとも述べている
6. 稼ぎ頭が抜けても続く構成。 2023年の売上上位はアクセンチュア、Avanade、Avantia、CESAR、デロイト、Extreme Digital、Globo、Liferay、Neurotech、Tempest の10社で、雇用の多い企業群とは一部しか重なっていない(2024年4月4日)

確認できないものは、事業全体の投資額、建物の改修費の負担者、公的資金と民間投資の比率、企業が受けた優遇の総額、入居企業の撤退の状況、税制改革の影響が実際にどうなるかである。

今どうなっているか

2026年8月時点で確認できた最も新しい記録は、2026年1月18日の Diario de Pernambuco による Porto Digital 代表への取材である。

同取材によれば、現在は約500社に21,500人の直接雇用がある。 2025年には Ernst & Young と Capgemini が開設し、Capgemini は2026年までに1,200人を採用する予定、Banco Inter は Paço Alfândega で改修中の区画に入る予定とされている。代表は、始まりは50人規模の2社だったと述べている。

入居企業数と雇用は4つの時点で追える。

| 時点 | 企業 | 雇用 |
|---|---|---|
| 2020年1月の調査(同年12月報道) | 344社 | 11,600人 |
| 2024年4月報道(2023年の実績) | 415社 | 18,400人 |
| 2025年10月報道 | 475社 | 21,000人超 |
| 2026年1月の取材 | 約500社 | 21,500人 |

開始時の企業数は出典間で食い違っている。 2020年12月の記事は「初めは2社だけだった」と書き、2024年4月15日の記事は「わずか3社という控えめな始まり」と書いている(discrepancies に並置した)。

外へ出る動きが2026年の取材で初めて出てくる。 同氏は、税制改革への懸念を理由の1つに挙げながら、内陸への展開(カルアルに所在、次はペトロリナ)と国外への展開を述べている。ゴイアス州の革新事業の運営を受託し、ポルトガルのアヴェイロには30社を超えるブラジル企業が入るハブを持ち、ブラジリアとアラカジュでも教育の事業を持つとされる。

外部の評価は帰属つきで1つだけ確認できた。 Agência Brasil 2025年10月18日は、Silvio Meira の発言として、雇用する人的資本の量から見た世界の情報技術の上位10事業のうち5つが現在 Porto Digital にあると伝えている。 同記事によれば、多国籍のアクセンチュアとデロイト、新たに来た日本の NTT データとフランスの Capgemini がこの区画に住所を持つ。

出典の性格について明記しておく。 5本のうち4本は Diario de Pernambuco、1本は Agência Brasil であり、2媒体である。 ただし2026年1月の記事は Porto Digital 代表への取材で、2024年4月の2本も同代表と市長の発言を中心に構成されている。数字の多くは運営主体の側から出ている。 独立した第三者による検証や、否定的な報道は、今回探した範囲では見つからなかった。

出典

  1. Porto Digital completa 20 anos com história consolidada, mas mira no futuro — Diario de Pernambuco(2020-12)
  2. Porto Digital cresce 14% em 2023 e passa de 18 mil colaboradores — Diario de Pernambuco(2024-04)
  3. O ecossistema bilionário do Porto Digital — Diario de Pernambuco(2024-04)
  4. Porto Digital reúne 475 empresas de tecnologia no centro de Recife — Agência Brasil(2025-10)
  5. Porto Digital: Recife se consolida como polo tecnológico no país — Diario de Pernambuco(2026-01)

最終確認日 2026-08-16

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