都心の高架道路を条例で公園にした
Minhocão
この記録の出典は単一の媒体によるものです。
2018年2月に公園化の条例が認可され、2019年2月には3,800万レアルで線形公園に変える構想が示されたが、予定されていた2020年12月の完成を伝える記録は確認できなかった。2024年の基本計画は2029年までの高架の廃止を定めており、2025年6月時点で撤去の費用と影響が議論されている。
何をしたか
サンパウロ都心を貫く高架道路ミニョカン(Minhocão、正式名 Elevado Presidente João Goulart)について、市は2018年2月、その下と上を市立公園(Parque Municipal do Minhocão)として位置づける条例を公布した。条例により同年3月から土曜・日曜・祝日は車を全面的に通さず、5月からは平日も20時以降を通行禁止とした。高架を壊すのではなく、車が通る時間を削って人に明け渡すという形をとっている。2019年には市が線形公園への転換構想を示し、2021年には高架の50年に合わせて壁面が都市アートの展示に使われた。
誰が始めたか
この事業には「開通」がなく、代わりに数十年の議論がある。 Agência Brasil 2025年6月11日は、ミニョカンが1971年に開通し、成長の速い都市で車の通行を助ける目的で東西のゾーンを結んで建設されたと書いている。同2019年2月24日の記事は、高架の廃止は数十年にわたって議論されてきたとし、周辺住民が騒音・大気・景観の影響のなかで暮らしている一方で、この道路が都心の交通の流れにおいて重要でもあると書いている。
条例では市議会が先に動き、市長が後から範囲を狭めた。 2018年2月8日の記事によれば、公園を設ける法律16.833号は前日に市長 João Doria が裁可し、当日に市の官報に公布された。同時に市長は、市議会議員が可決していた「7月と1月の学校の長期休暇中は終日閉鎖する」という項目に拒否権を行使している。 市はその理由として、交通工学会社(CET)の調査で休暇中の車の流量の減少が30%にとどまり、渋滞を大きく減らすには足りないことを挙げた。住民参加の管理協議会(conselho gestor)を置くという条文は残ったが、その性格と90日以内の選挙を定めた各項は拒否権で削られている。
司法の側からも早い段階で当事者が現れた。 2019年2月の記事によれば、サンパウロ州検察(MP-SP)が廃止による車の通行への影響を懸念して都市計画・許認可担当局長 Fernando Barrancos Chucre に説明を求め、同氏は翌週に検察へ出向いて調査を示すよう呼ばれた。
専門家・市民団体が正面に出てくるのは2025年である。 同年6月11日、サンパウロ商業協会が開いた議論の場に、Insper の都市モビリティ部門の Sérgio Avelleda、元計画・優先実行局長(secretário de Planejamento e Entregas Prioritárias)で建築都市計画家の Fernando Chucre、歩行者移動の団体 Cidadeapé の元理事 Rafael Gândara Calabria が並んだ。壁面のアートは行政の事業として説明されていない。 2021年12月11日の記事は、沿線に元からあった建物の側面に42点の絵が描かれ、Kobra、@nosartivistas、Tek、Sapatintas といった作家の署名があると書いている。
いくらかかったか
条例による運用変更(2018年)そのものにかかった額は確認できなかった。 ただし、翌年に示された線形公園化構想については推定費用が出典に書かれている。費用の構造は、この事業の作り方そのものに現れている。
- 建設ではなく時間を削る形なので、初期の費用は条例と交通運用の側にある。 2018年3月から土曜・日曜・祝日は全面的に車を通さず、5月から平日も20時〜7時を通行禁止にした。壊す工事も新設する工事も伴っていない
- 手を入れた分は、既存の構造への付け足しである。 2019年2月の記事によれば、第1期(8月まで)は歩行者が高架に上がるための階段とエレベーターを9か所に設け、側面の防護を立てるもので、第2期(下半期から)は庭・プランター・デッキをプレファブのモジュールで置くものだった。区間はプラサ・ローズベルトからラルゴ・ド・アロウシェまでの900メートルで、全体の17,500メートルは後年に回された。この構想の推定費用は3,800万レアル、完成予定は2020年12月とされたが、実際に投じられた額や予定どおりの完成を伝える記録は確認できなかった
- 比較の対象として、撤去の費用だけは数字が出ている。 2025年6月の記事によれば、2020年の調査で全面撤去に1億3,000万レアルかかるとされ、現在の価格では少なくともその倍になると見込まれている。 Chucre は200社に照会し、費用または環境影響と廃棄物の面からすべての企業が実行不可能と答えたと述べている(国外の企業にも照会したという)
- 代替路を作る場合の費用は示されていない。 2024年に承認された基本計画(Plano Diretor)が前提とする6.9kmの「Boulevard Marquês de São Vicente」は用地収用を伴うが、その額はこの記事に書かれていない
funding_scale には、2019年構想時点の推定額(3,800万レアル)を記録した。ただし実際に投じられた額や、2018年の運用変更そのものの費用は出典に無い。
真似するなら最低何が必要か
1. 車を通す時間を削る条例。 ここで作られたのは施設ではなく規則である。週末・祝日は全面、平日は20時から。建設を伴わないため、条例が通った時点で公園になっている
2. 交通の代替を数字で説明できること。 長期休暇中の全面閉鎖が拒否権で削られた理由は、CET の調査による「減少は30%にとどまる」という数字だった。検察からの説明要求もこの点である。代替の説明が用意できない範囲は削られる
3. 区間を分けて始めること。 全体17,500メートルのうち、他の公共空間(プラサ・ローズベルト、パルケ・アウグスタ、ラルゴ・ド・アロウシェ、プラサ・マレシャル・デオドロ)とつながる900メートルを最初に選んでいる
4. 上に登る手段と落ちない備え。 階段とエレベーターを9か所、側面の防護。高架を歩かせるには、水平の面より縦の動線が要る
5. 運営の器を条例に書くこと。 法律16.833号は住民の社会的統制を伴う管理協議会による民主的な運営を定めた。ただしその性格と選挙の手続きは拒否権で削られており、器の実装は条文に残っていない
6. 壊す案との比較を持ち続けること。 2025年の議論では、部分撤去を伴う公園化(Chucre)と、代替路を作らない完全廃止+公園(Calabria)が並んでいる。Calabria は、代替路を作ると新設した側と元の側の両方で交通が悪化すると述べている
確認できないものは、公園化に実際に投じられた額(2019年構想時点の推定額3,800万レアルは分かるが、実績は不明)、利用者数、管理協議会が実際に設置されたか、条例が2年以内に求めていた都市介入計画が出されたか、17,500メートル全体のうちどこまで整備されたか、2029年までの廃止が実行されるかである。
今どうなっているか
2026年8月時点で確認できた最も新しい記録は、2025年6月11日の Agência Brasil の記事である。
2025年6月時点の運用は、平日は20時まで自動車の専用道路として動き、それ以降と週末・祝日は車を閉めて7時から22時まで公衆に開くというものである。同記事は、この時間帯に散歩・ランニング・余暇の場として使われていると書いている。
廃止の期限が計画に入った。 同記事によれば、2024年に承認された基本計画は2029年までのミニョカンの廃止を定めており、市はそれが6.9kmの「Boulevard Marquês de São Vicente」の建設によって可能になるとしている。この道は西ゾーンのマルケス・デ・サン・ヴィセンテ通りやセルジオ・トマス通りから東ゾーンのサリン・ファラー・マルフ通りまでを結ぶもので、用地収用を伴う。市長 Ricardo Nunes は、サンタ・セシリア地区にトンネルを作って現在の高架の交通を受ける案にも言及したとされる。
高架の下では別の工事が動いている。 同記事は、駐車の枠を設けたのち、市が同月7日から高架下に雨庭(jardins de chuva)を作る工事を始めたと書いている。アマラル・グルジェル通りの再整備の第2期で、クーニャ・オルタ通りとジャグアリベ通りの間の4ブロックが対象、タクシーの待機枠・自転車の貸出地点・柱につる植物を伴う。
議論は2つに割れたまま続いている。 Avelleda は、構造物の空間をどうするかが市の大きな争点で、構造をすべて使って交流の場にする側と、撤去する側の2つが長年固まっていると述べている。Chucre は公園化の側に立ち、部分的な撤去と床版の一部の絞り込み、複数の開口部を一度にまとめて行なえば再生できると述べる。Calabria は代替路を作らない完全な廃止と公園を支持する。撤去の側については、2020年の調査額(1億3,000万レアル)と200社が実行不可能と答えたという Chucre の説明が、同じ記事に併記されている。
出典の性格について明記しておく。 4本すべてが Agência Brasil の記事であり、単一媒体である(single_outlet: true。掲載年は2018・2019・2021・2025の4か年に分かれている)。同社は連邦政府系の公共通信社であり、この事業の主体はサンパウロ市であるため運営主体そのものの発信ではないが、縦の記述が1社の取材に依存していることは変わらない。 2021年12月の記事は、市長がニューヨークのハイラインを訪れたことを伝えている(Terroir では us-0001 として別に収録している)。この事業についての否定的な報道は、2025年の記事に併記された撤去支持の論のほかには、今回探した範囲では見つからなかった。
出典
- Doria autoriza criação do Parque Municipal do Minhocão — Agência Brasil(2018-02)
- Prefeitura de SP quer transformar o Minhocão em Parque Linear — Agência Brasil(2019-02)
- Minhocão de São Paulo faz 50 anos e ganha galeria de arte urbana — Agência Brasil(2021-12)
- Especialistas debatem impactos da desativação do Minhocão em São Paulo — Agência Brasil(2025-06)
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