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お金を地域で回す商店街・市場25万超

地区の中だけで使える通貨を作り、買い物を地区に戻した

Banco Palmas

ブラジル / セアラ州 / フォルタレザ(コンジュント・パルメイラス地区)

地区の中だけで使える通貨を作り、買い物を地区に戻した
© Instituto Banco Palmas — この写真が載っている記事

1998年1月に資本2,000レアルで住民協会が銀行を始め、2000年代初めから紙の地域通貨を出した。1997年から2009年で地区内での買い物は20%から93%に反転したとされる。2017年の論文は、15年たって通貨の流通そのものは目立って減った一方、地区内での消費は高いままだという「逆説」を指摘している。

何をしたか

ブラジル北東部フォルタレザの周縁地区コンジュント・パルメイラスで、地区の中だけで使える通貨を出して、住民の買い物を地区の外に流れ出さないようにした取り組み。1998年1月、住民協会が資本2,000レアルで Banco Palmas を始めた。 地区での生産と消費によって地域を発展させるという考えで、当時のブラジルでは例のない試みだったとされる(Revista de Administração Contemporânea 2020年9月)。のちに中央銀行との関係から Instituto Palmas と呼ばれるようになった。2000年代初めからは紙の地域通貨 Palmas を発行している。

効果は買い物の向きで測られている。 同じ論文によれば、1997年から2009年のあいだに、地区の家庭の買い物のうち地区内で行われる割合は20%から93%へ反転し、他所での買い物は約7%に下がった。2011年には地区を回るお金がおよそ6,800万レアルになったとされる。

ただし、その後の検証は単純な成功とは書いていない。 2017年3月の Cadernos EBAPE.BR の論文は、15年を経て通貨 Palmas そのものの流通は目立って減った一方、地区内での消費は高いままであるという状態を「パルマスの逆説」と呼んで分析している。同論文によれば、銀行が2年ごとに行う生産と消費の調査では、住民の93〜95%が地区内で消費している。通貨の使用は減ったが、通貨が目指した買い物の向きは残った、という形である。

当事者はこれを失敗とは受け取っていない。 同じ論文は、Banco Palmas の調整役 Joaquim de Melo Neto が、地域通貨の使用はそれ自体が目的ではないという見方を示していると伝えている。2020年9月の Revista de Administração Contemporânea は、紙の通貨を携帯の決済「E-Dinheiro」へ移した経緯を教育用の事例として扱っている。

誰が始めたか

始めたのは住民協会そのものである。 Revista de Administração Contemporânea(2020年9月)は、1998年1月に住民協会の取り組みとして Banco Palmas が生まれたと書いている。地区での生産と消費によって地域を発展させるという考えで、当時のブラジルでは例のない試みだった。のちに、中央銀行との関係から Instituto Palmas という名称が使われるようになった。

コンジュント・パルメイラスは、もともと住民運動の長い蓄積がある地区である。 Caderno CRH(2019年12月31日)は、この地区の社会運動を対話と抵抗の両面から検討している。銀行は、その運動の中から出てきた道具のひとつという位置づけになる。

調整役の Joaquim de Melo Neto が、複数の論文で当事者の説明者として登場する。

いくらかかったか

設立時の資本は2,000レアルだった(Revista de Administração Contemporânea 2020年9月)。この額で地区の銀行を始めている。

回っている金額のほうが桁が大きい。 同論文によれば、2011年には地区を回るお金がおよそ6,800万レアルになったとされる。

事業全体の運営費や、通貨の発行にかかる費用は、参照した4本のどこにも書かれていない。 unknown_fieldsfunding_scale を申告した。

真似するなら最低何が必要か

この事例で真似できる単位は、通貨そのものではなく測り方と、通貨の位置づけである。

第一に、買い物の向きを定期的に測ること。Banco Palmas は2年ごとに地区の生産と消費を調べている。 1997年に20%だった地区内での買い物の割合が2009年に93%になった、という数字はこの調査から出ている。通貨の発行量ではなく、買い物がどこで行われたかを指標にしている。

第二に、通貨を目的にしないこと。2017年の論文が示したのは、15年たって通貨の流通は目立って減った一方、地区内での消費は93〜95%の水準で維持されているという状態である。調整役の Joaquim de Melo Neto は、地域通貨の使用はそれ自体が目的ではないという見方を示している。通貨が使われなくなったことを、そのまま失敗と読まない設計になっている。

第三に、小さく始めること。設立時の資本は2,000レアルである。

第四に、通貨だけを置かないこと。この事例では住民協会による小口の融資と組み合わされている。買う先を地区に留める仕組みと、買う力をつくる仕組みが対になっている。

第五に、紙をやめる判断を用意しておくこと。2020年の論文は、紙の地域通貨を携帯の決済「E-Dinheiro」へ移した経緯を扱っている。形は変えられる前提で組む。

今どうなっているか

2026年8月時点で確認できたのは、2020年9月の Revista de Administração Contemporânea までである。最新の出典が2020年で、その後の5年余りを書いた出典に到達していない。

分かっているのは次の形である。通貨 Palmas そのものの流通は、2017年の時点で15年前と比べて目立って減っていた。 一方で、銀行が2年ごとに行う調査では住民の93〜95%が地区内で消費している。 2020年の論文は、紙の通貨を携帯の決済「E-Dinheiro」へ移す動きを扱っており、紙をやめる方向で形が変わっていることまでは確認できる。

E-Dinheiro がその後どうなったか、Banco Palmas が現在も動いているかは、参照した4本からは判定できなかった。 status_current: 継続中 としたのは、2020年の論文が現在進行形の事業として扱っているためであり、それ以降の稼働を示す出典は確認していない。

出典

  1. O paradoxo das Palmas: análise do (des)uso da moeda social no "bairro da economia solidária" — Cadernos EBAPE.BR 15(1)(2017-03-01)
  2. A moeda social e o fortalecimento do espaço diferencial nas periferias — Revista Brasileira de Estudos Urbanos e Regionais 19(2)(2017-04-27)
  3. ENTRE O DIÁLOGO E A RESISTÊNCIA: o movimento social de bairro no Conjunto Palmeiras, em Fortaleza (CE) — Caderno CRH 32(87)(2019-12-31)
  4. Palmas para o E-Dinheiro! A Evolução Digital de uma Moeda Social Local — Revista de Administração Contemporânea 24(5)(2020-09-01)

最終確認日 2026-08-17

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