住民の総会で予算の使い道を決める仕組みを作り、30年後に総会が5年止まった
Orçamento Participativo de Porto Alegre
1989年に始まり、2016年を最後に新規の要望の登録が止まった。2017年と2018年は総会が中止され、2020年と2021年は感染症で止まり、2022年に再開した。2021年の世界の調査は、ポルトアレグレの仕組みは事実上消滅したと評している。
何をしたか
ブラジル・ポルトアレグレで、市の予算の一部の使い道を、地域ごとの総会に集まった住民が選んで順位を付ける仕組み。
Cadernos Metrópole(2020年12月)に載った論文によれば、この仕組みは1989年に導入された。 同論文は、ポルトアレグレの歩みを参加民主主義(1989〜2004年)・自由主義的な統治(2005〜2016年)・超自由主義と市場(2016年〜)の3期に分けている。
Jornal do Comércio(2021年12月14日)によれば、この仕組みは1989年にポルトアレグレで生まれた。 同記事によれば、この仕組みを通じた新規の要望の登録があった最後の年は2016年である。同記事は、それでもこの仕組みは正式には終了しておらず、参加型予算評議会(COP)と地域フォーラムは存続していると書いている。
誰が始めたか
市である。 Brasil de Fato(2020年6月23日)によれば、1989年の最初の回を実施した班を統括したのは社会学者ルシアーノ・フェドッジ氏で、当時の市政は労働者党のオリビオ・ドゥトラ氏だった。
後退がいつ始まったかについて、元市長の見方がある。 Brasil de Fato(2022年3月30日)によれば、1997年から2001年まで市長を務めたラウル・ポント氏は、この仕組みの放棄は2005年から2010年のフォガサ市政に始まり、2010年から2017年のフォルトゥナティ市政に続いたと述べている。同氏は、その手順として予算全体の透明性と情報が消えたこと、資源を段階的に減らしたこと、内部の規程を官僚的にして指導者を役職で取り込んだことの3つを挙げている。
いくらかかったか
この仕組みに割り当てられた額と、実際に実行された額の両方が報じられている。
Brasil de Fato(2020年6月23日)によれば、市の説明として、2013年から2017年に4億9,430万レアルが予算に計上されたが、実際の執行は1%に満たなかった。 同記事によれば、2016年の要望の総額は8,000万レアルで、執行はその0.4%未満(30万レアル)だったとされる。同記事によれば、市は2018年に過年度の要望へ3,340万レアル、2019年には2,180万レアルを充てた。
Jornal do Comércio(2021年12月14日)と Brasil de Fato(2022年3月30日)によれば、2022年に向けてこの仕組みに充てられたのは1,000万レアルで、17の地域と6つの主題の集まりに配分される。Jornal do Comércio(2023年8月29日)によれば、2023年は1,500万レアル、2024年に向けては2,000万レアルである。
真似するなら最低何が必要か
第一に、決めた事業をその年のうちに実行すること。この仕組みで最初に壊れたのはここである。 Brasil de Fato(2020年6月23日)によれば、2017年の就任時点で承認済みで未実施の要望が2,395件あり、最も古いものは1994年のものだった。
第二に、積み残しをどう扱うかを、始める前に決めておくこと。同記事によれば、市はこの理由で史上初めて、その年に新規の要望を投票しないことを提案し、評議会がそれを受け入れた。 再評価の結果、731件が破棄された。
第三に、総会が止まっても残る器を用意しておくこと。Jornal do Comércio(2021年12月14日)によれば、この仕組みは正式には終了しておらず、評議会と地域フォーラムは存続している。
第四に、割り当てる額を、要望の総額と並べて示すこと。Brasil de Fato(2020年6月23日)によれば、ある地域の委員は、2020年に向けて自分の地域に示された14万9,000レアルという額について、雀の涙だと評している。
第五に、議員の予算修正との関係を決めておくこと。Jornal do Comércio(2023年8月29日)によれば、2023年7月12日の市長の政令は、実行可能とされた要望と議員の修正について必要な資源の最低9割の解放を各局に求め、実際の予算計上はこの仕組み由来が最低5割、市議会由来が8割とした。
第六に、予算に依らずに解ける要望を先に分けること。同記事によれば、市は2022年の総会で予算に依らず解決できる504件のピンポイントの要望を特定し、そのうち381件に対応したと説明している。
今どうなっているか
2026年8月時点で確認できたのは、2023年8月29日の記事までである。
総会は5年の空白を経て再開した。 Jornal do Comércio(2023年8月29日)によれば、総会には5年の空白があった。同記事によれば、2017年と2018年は「過年度に承認済みの積み残しに充てる資源が無い」という理由で総会が中止され、2019年は30年を記念して総会が開かれたが新規の要望の選定は行われず、2020年と2021年は感染症で再び止まり、2022年に再開した。
この空白の数え方は出典で違う。 Brasil de Fato(2020年6月23日)は2018年も資源の不足を理由に新規の要望が拒まれ2019年に投票が再開したとし、Cadernos Metrópole(2020年12月)は2017年に市政が決定の停止を確立したうえで2018年に活動を再開させたのは住民の組織化と政治的な圧力だろうと述べている。この3本は「総会の開催」「新規の要望の投票」「活動」という別々のことを書いているが、それだけでは片付かない食い違いも残る。 Brasil de Fato(2020年6月23日)は2019年に投票が再開したとし、Jornal do Comércio(2023年8月29日)は2019年に総会は開かれたが新規の要望の選定は行われなかったとしており、これは同じ対象についての正面からの食い違いである。3つとも discrepancies に並置した。
世界の調査は「事実上の消滅」と評した。 Jornal do Comércio(2021年12月14日)によれば、2021年12月10日に公開された世界の参加型予算の調査は、ポルトアレグレの仕組みを事実上の消滅にあたるとし、同時に歴史的な参照としては揺るがないとも評した。同調査によれば、2021年12月時点で稼働している参加型予算は世界で4,000で、2019年の第1版の1万の半分に満たない。感染症の前に確認できた8,800のうち約55%が停止し、24%が継続し、21%が形式を変えた。
元市長と研究者は、より強い言葉で批判している。 Brasil de Fato(2022年3月30日)によれば、ポント氏は現市政が示した1,000万レアルを単なる大衆迎合だと述べ、ワールドカップの工事や湖畔の事業の予算をこの仕組みの資源と称するのはごまかしだと述べている。Brasil de Fato(2020年6月23日)によれば、社会学者ネルソン・ジアス氏は「過程を殺す方法はいくらでもある」と述べ、重要視しないだけで足りるとしている。同記事によれば、フェドッジ氏は、予算の減少・透明性の低下・強い党派的な道具化が重なった結果、地域間の格差を減らす道具としては機能しなくなったとし、この仕組みが完全に消し去られないのは象徴としての力ゆえだと述べている。
当事者の側の応答も、同じ記事の中にある。 Brasil de Fato(2020年6月23日)によれば、市の関係機関局は、市が架空の予算の問題に正面から取り組み、住民を相応の敬意をもって扱うことにしたと回答した。2013年から2017年の執行率が1%未満という数字は、市自身が挙げたものである。 Jornal do Comércio(2021年12月14日)によれば、セバスチャン・メロ市長は評議会の会合で資源は一体として見るべきだと主張し、この仕組みは予算だけのものではないと述べた。 Jornal do Comércio(2023年8月29日)によれば、地域統治・政治調整局長カシオ・トロジウド氏は、ポルトアレグレのこの仕組みは現実主義の時期にあるとし、議論は確保された額を超えるものだと説明している。
評議会の側にも自省がある。 Brasil de Fato(2020年6月23日)によれば、ある地域の委員は、2017年に市の提案を評議会が受け入れたことを自分たちが犯した最大の誤りだったと述べ、参加が減って脆くなったとしている。
参加の数と割り当ては上向いている。 Jornal do Comércio(2023年8月29日)によれば、2023年7月から8月の回の総会には1万3,000人が参加し、割り当ては2022年向けの1,000万レアルから2023年の1,500万レアル、2024年向けの2,000万レアルへと増えている。ただし新規の要望の決定は、2016年を最後に戻っていない(Jornal do Comércio 2021年12月14日)。この記録が status_current を「縮小」としたのは、この一点による。
この仕組みは、ブラジルの参加型の制度を比べる研究の対象にもなってきた。 Opinião Pública(2008年6月)に載った論文は、ブラジルの民主化のもとでの参加のばらつきを、参加型の制度とその設計から論じている。
出典
- Instituições participativas e desenho institucional: algumas considerações sobre a variação da participação no Brasil democrático — Opinião Pública(2008-06)
- Pandemia pode enterrar de vez o Orçamento Participativo em Porto Alegre — Brasil de Fato(2020-06-23)
- Da democracia participativa à desdemocratização na cidade: a experiência do Orçamento Participativo em Porto Alegre — Cadernos Metrópole 23(50)(2020-12)
- Atlas Mundial vê extinção do Orçamento Participativo em Porto Alegre — Jornal do Comércio(2021-12-14)
- Orçamento participativo saiu das mãos da comunidade, diz ex-prefeito de Porto Alegre Raul Pont — Brasil de Fato(2022-03-30)
- Demandas do OP e emendas de vereadores terão atendimento prioritário em Porto Alegre — Jornal do Comércio(2023-08-29)
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