使われなくなった港の157haに都心をもう一つ足した
HafenCity
2010年にZukunftsrat Hamburgが緑地と交通の面で自らの目標を限られた範囲でしか満たしていないと指摘し、2025年も緑と社会的混合をめぐる議論が続く。2026年時点で8,000人超が住み約15,000人が働く。
何をしたか
ハンブルクの旧港湾・倉庫用地157ヘクタールに、住宅・オフィス・大学・文化施設を混ぜた新しい市街地をつくる事業。2001年4月9日、当時のハンブルク経済相トーマス・ミロウが古い船鐘を鳴らして着工を告げた。翌2002年に全長220mのキッベルシュテーク橋(旧市街とシュパイヒャーシュタットを結ぶ歩行者橋)の工事から始まり、2013年初めまでは一部が柵で市街と隔てられていた。事業は HafenCity Hamburg GmbH が進めている。洪水対策を組み込んだ建て方、地下鉄の延伸、ローゼ公園などの公園整備を伴う。開始年は出典で割れており、HafenCity Zeitung は2026年の記事で「象徴的な鍬入れで1999年に始まった」と書いている(discrepancies に並置)。2026年時点で8,000人超が暮らし、約15,000人が働いている。
誰が始めたか
先に動いたのは市の政治で、住民は後から現れた。 Haufe Immobilien 2021年4月8日によれば、2001年4月9日に当時のハンブルク経済相 Thomas Mirow(SPD)が古い船鐘で新市街地の建設開始を告げた。同記事は、市政府(Senat)の説明としてこれが以後ヨーロッパ最大の都市開発事業であるとし、開発と販売を担うのは HafenCity Hamburg GmbH だと書いている。同社の代表は Jürgen Bruns-Berentelg が18年務め、2021年11月に Andreas Kleinau が引き継いだ。
建物を建てるのは民間である。 Haufe によれば、木造高層の「Roots」(18階・65m)は事業者 Garbe が2020年11月から建て、Elbtower(245m・61階)の用地はオーストリアの投資会社 Signa が2018年に市から取得した。設計は英国の建築家 David Chipperfield である。つまり、市が土地を用意して売り、民間が建てるという分担になっている。
住民が組織として立つのは2009年である。 HafenCity Zeitung 2026年4月29日によれば、旧自由港には誰も住んでいなかったため最初の住民は開拓者であり、その気風から2009年に近隣協会 Netzwerk HafenCity e. V. が生まれた。 同記事は、これが HafenCity Hamburg GmbH の支援を受けて新しい近隣の声となるべく作られ、今日では地区で最大の近隣協会だと書いている。会長 Marianne Wellershoff は、街区は建物だけでできているのではなく、少なくとも同じくらいここに住む人によって形づくられると述べている。
順序をたどると、市(2001年)→ 開発会社 → 民間の事業者と投資家 → 住民組織(2009年)→ 批評する側(2010年以降)となる。 ENTWICKLUNGSSTADT 2025年7月27日によれば、2010年に Zukunftsrat Hamburg が、この地区は生態的・社会的に持続可能な街区であるという自らの主張を限られた範囲でしか満たしていないと分析した。 以後の議論はこの分析を参照して続いている。
いくらかかったか
事業費の総額は確認できなかった。 4本の出典に総額も市の負担額も書かれていない。代わりに、誰が何を負担する構造になっているかは具体的に書かれている。
- 市の側は土地を出し、売って回収する。 Haufe 2021年4月8日によれば、Elbbrücken の用地は2018年に Signa が市から取得した。開発と販売を担うのは市の会社 HafenCity Hamburg GmbH である
- 建物の費用は民間が出す。 Roots は Garbe、Neuhavn 街区は Quantum Immobilien、we-house Baakenhafen は Archy Nova と Deep Green Development が事業者である
- 公的補助つき住宅は州の制度から出る。 t-online 2024年5月8日によれば、Neuhavn 街区の206戸のうち27戸が第1の補助経路(世帯収入がハンブルク住宅促進法の限度を最大45%上回るまで)、3戸が緊急に住居を必要とする人向け、62戸が第2の補助経路(同65%まで)に割り当てられ、さらに83戸が任意の家賃抑制つきである。住宅担当上院議員 Karen Pein(SPD)は、上棟式でこの街区を模範となる事業だと述べている
- 交通の投資は公共側である。 ENTWICKLUNGSSTADT 2025年7月27日によれば、地下鉄 U4 の延伸が実現したが、同記事はその建設に要したエネルギーと資源の多さが批判されており、既存のバス路線の拡充のほうが生態的に妥当だったとする分析の結論を伝えている
- 住む側の負担は市内で最も高い水準にある。 Haufe は、仲介ポータル Immowelt の2020年の集計で HafenCity の平均家賃が1m²あたり16.30ユーロだったとし、Roots の分譲128戸の平均が1m²あたり約8,500ユーロだと書いている
funding_scale は unknown_fields のままとした。総額が出典に無く、市の支出と民間の投資の区別も付けられないためである。
真似するなら最低何が必要か
1. 市が土地をまとめて持っていること。 対象は157ヘクタールの旧港湾・倉庫用地で、旧自由港であるため誰も住んでいなかった(HafenCity Zeitung 2026年4月29日)。立ち退きの交渉がない代わりに、地区の性格をゼロから作る必要がある
2. 20年以上動く器。 開発と販売を担う会社(HafenCity Hamburg GmbH)が市の側に置かれ、その代表は18年在任している。1期の任期では終わらない事業である
3. 最初につなぐ経路を作ること。 2002年に全長220mのキッベルシュテーク橋(旧市街とシュパイヒャーシュタットを結ぶ歩行者橋)の工事から始まっている。2013年初めまでは一部が柵で市街と隔てられていた
4. 補助つき住宅の割合を制度で決めること。 ENTWICKLUNGSSTADT 2025年7月27日は補助つき住宅の割合を約25%とし、t-online 2024年5月8日は Neuhavn 街区の206戸のうち半分近くが公的補助つきだと書いている。割合を決めても社会的な混ざり方は自動的には付いてこない(下記)
5. 住民が声を出す組織を早く作ること。 2009年に生まれた近隣協会は、Lohsepark の近隣祭り(来場約1,000人)、Oberhafen の都市農園(高床の花壇を協会が用意する)、大市場跡の瓦礫地を生物の生息地に変える事業、交通・都市開発・気候をめぐる催しを担う。Versmannstraße の通過交通を減らす提案は協会から出て、区道の時速30km制限として実現したと会長は述べている
6. 緑と車について後から出る批判に答える用意。 2010年の Zukunftsrat Hamburg の分析は、自然の緑地と排出の少ない交通計画の不足、高い地面の被覆率、自動車の存在の強さを挙げている。この論点は2025年時点でも続いている
確認できないものは、事業費の総額と市・民間の負担の区別、土地の売却で回収した額、完成の時期、45,000人分の職場という目標の達成度、補助つき住宅の入居者の収入分布、2010年の分析に対する市の反論の内容である。
今どうなっているか
2026年8月時点で確認できた最も新しい記録は、2026年4月29日の HafenCity Zeitung の記事である。
同記事によれば、8,000人を超える人が住み、約15,000人が日々働いている。 2026年に近隣協会 Netzwerk HafenCity e. V. が「最初の鍬入れから25年」の企画として、共同体・交通・自然・気候・健康・歴史・包摂をテーマにした催しの連続を始めた。木の散歩、昆虫の観察会などが予定されている。同協会の作業班は、バーケンハーフェンの植民地時代の過去を可視化する取り組みも進めている。
人の数は出典で追える。 Haufe 2021年4月8日時点で約5,000人が3,000戸を超える住宅に住み、15,000人が働いていた。完成時の目標は住宅15,000人分と職場45,000人分である。2024年5月8日には、バーケンハーフェンの Neuhavn 街区が上棟し、年末までに206戸ができる予定と報じられた(20,000m²超の敷地、最初の入居は2025年第1四半期の予定)。2026年4月時点の居住者は8,000人超である。
開始年は出典で割れており、片方の記事の中でも揃っていない。 HafenCity Zeitung は2026年の記事で「象徴的な鍬入れで1999年に始まった」と書き、同じ記事の見出しでは2026年を「最初の鍬入れから25年」としている。 Haufe は2001年4月9日を起点としている(discrepancies に並置した)。同紙によれば、最初の鍬入れの2か月後に当時の SAP の建物の建設が始まり、これが HafenCity で最初の「本物の家」で、現在は Kühne Logistics University が入っている。
批判と、それに対する事業者側の応答が同じ記事に載っている。 ENTWICKLUNGSSTADT 2025年7月27日は、2010年の Zukunftsrat Hamburg の分析(自然の緑地と低排出の交通計画の不足、地面の被覆、自動車依存、車両密度がハンブルク平均を大きく上回ること)を引いたうえで、社会構成についても、補助つき住宅が約25%あるにもかかわらず高価で排他的とみなされ、1人あたりの居住面積が市の平均を大きく上回ることが社会的な混ざりの少なさを示すと書いている。 同記事は、高所得層のための切り離された地区だという感覚が「動物園効果(Zoo-Effekt)」として公の議論で繰り返し取り上げられるとも書いている。同じ記事は事業者側の応答も載せている。 2025年6月の Hamburg Sustainability Week で HafenCity Hamburg GmbH の代表者は、新しい事業が自然の冷却・地面の被覆の解除・生物多様性により強く向きを変えていると強調し、批判的な立場はその方向を歓迎しつつ拘束力のある基準を求めた、とされている。
行政への批判については反論を確認できなかった。 HafenCity Zeitung 2026年4月29日で近隣協会の会長は、ハンブルクはしばしば「City of No」として現れ、行政は事業を可能にするより止める側に立つと述べ、ニューヨークの「City of Yes」と対比している。この発言に対する市または行政の反論は、今回の出典の範囲では見つからなかった。
出典の性格について明記しておく。
- HafenCity Zeitung はこの地区の専属媒体である。 2026年の記事は近隣協会の会長の発言でほぼ構成されており、独立した取材による検証としては扱えない(from_operator は false のままとしたが、地区の内部から出ている媒体である)
- ENTWICKLUNGSSTADT の記事は PLUS 購読が必要な有料記事であり、記事末に出所として Spiegel Online・Deutsche Welle・Zukunftsrat Hamburg・Hamburg Sustainability Week 2025(hafencity.com)・digitalsustainable.world が列挙されている。 つまり他媒体と報告書をまとめた二次記事であり、STATE §3 の本数要件には数えられない性格のものである
- t-online は Claude による取得を robots.txt で拒否しているドメインで、本文は以前に取得したものを使っている(再取得はしていない)
出典
- Hamburg:Die Hafencity wird 20 – und wächst weiter und höher — Haufe Immobilien(2021-04-08)
- Wohnen in Hamburg:Neues Hafencity-Quartier wird Ende 2024 eröffnet — t-online Hamburg(2024-05-08)
- Modellquartier mit Makeln:Die HafenCity in der Nachhaltigkeitsdebatte — ENTWICKLUNGSSTADT(2025-07-27)
- »Wir sind noch nicht fertig!« — HafenCity Zeitung(2026-04-29)
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