住民60か国分の物を集めて1本の細長い広場に並べた
Superkilen
2012年の完成直後から赤の広場の舗装が雨天に滑ると指摘され、2015年11月に舗装をやり直す議案が市の委員会にかかり、2018年に総額1,350万クローネで張り替えられた。2025年11月、地区委員会は設立から13年で複数の要素が壊れ、交換や撤去されたものがあり落書きも多いとして市に申し入れた。
何をしたか
コペンハーゲン外ノアブロにある細長い都市公園。ミーマスゲーゼ地区の都市更新事業の一部として2012年6月に完成した。ノアブロゲーゼからターエンスヴァイまで750mにわたり、赤の広場・黒の広場・緑の公園の3区画からなる。この地区の住民の出身国を、それぞれの国から選んだ物や什器で表すという考えでできており、日本の滑り台、アイルランドのマンホールの蓋、モロッコの噴水などが置かれている。国の数は出典で割れており、Magasinet KBH は2012年6月21日に57か国から100点あまりと書き、コペンハーゲン市ノアブロ地区委員会の資料(2025年11月20日)は50か国超とし、DR は2026年4月26日に約60か国と書いている(discrepancies に並置した)。事業費は5,880万クローネで、コペンハーゲン市と Realdania の協働で負担した。蚤の市や音楽の催しにも使われる。2025年11月、ノアブロ地区委員会は、美術家集団 Superflex から状態について連絡を受けたとして、赤の広場と黒の広場が市内外から多くの人を集めて絶えず大きく傷んでおり、設立から13年で複数の要素が壊れ、交換や撤去されたものがあり、落書きも多いと市の技術・環境委員会に申し入れることを決めている。
誰が始めたか
事業主体はコペンハーゲン市で、ミーマスゲーゼ地区の都市更新事業の一部として行われた。 費用は市と民間財団 Realdania の協働で負担している(Magasinet KBH 2012年6月21日)。同記事によれば、設計は BIG(Bjarke Ingels Group)、Topotek 1、美術家集団 Superflex、Lemming & Eriksson の4者が組んだ。ただし、コペンハーゲン市ノアブロ地区委員会の資料(2025年11月20日)は BIG・Superflex・Topotek1 の3者のみを挙げ、Lemming & Eriksson を含めていない。(discrepancies に並置した。)
「誰が物を選んだか」がこの事業の要点である。 各国から集めた100点あまりの什器は、設計者が選んだのではなく、この地区に住む人たちの出身国に対応させて集められた。 Magasinet KBH は2012年6月21日に、地区住民の57の文化的背景に対応させて57か国から集めたと書いている。コペンハーゲン市ノアブロ地区委員会の資料(2025年11月20日)は50か国超とし、DR は2026年4月26日に約60か国と書いており、数は出典で割れている(discrepancies に並置した)。
維持管理は市が担う。2025年11月にノアブロ地区委員会が市の技術・環境委員会に申し入れを行ったのは、美術家集団 Superflex から状態について連絡を受けたためである。つくった側が十数年後に管理者へ働きかける形になっている。
いくらかかったか
事業費は5,880万クローネで、コペンハーゲン市と Realdania の協働で負担した(Magasinet KBH 2012年6月21日)。
その後の改修費が別にかかっている。 赤の広場の舗装は雨天に滑ることなどから2018年に段階的に張り替えられ、総額1,350万クローネを要した。内訳は、Realdania が680万クローネを拠出し、市は設計者 BIG から220万クローネの賠償を受けている(その大半はドイツの下請けが負担するとされる)。BIG と Realdania は、Superkilen が受けた国際的な建築賞の賞金50万クローネも拠出した(Magasinet KBH 2018年11月30日)。
つまり、完成から6年で事業費の約23%にあたる額を舗装のやり直しに使っている。
真似するなら最低何が必要か
この事例で真似できる単位は、細長い公園そのものではなく物の集め方と、その後の負担の決め方である。
第一に、住民の出身国に物を対応させること。日本の滑り台、アイルランドのマンホールの蓋、モロッコの噴水といった具合に、地区に住む人の背景に一つずつ物を割り当てている。抽象的な多文化の表現ではなく、対応関係が具体的である。
第二に、都市更新事業の一部として立てること。単独の公園整備ではなく、ミーマスゲーゼ地区の更新の中に置かれている。
第三に、目立つ素材を使うなら、直す費用と責任を先に決めておくこと。赤い舗装は雨天に滑り、輸入した運動器具は早くに壊れた。2018年の張り替えは1,350万クローネかかり、費用は財団の追加拠出と設計者からの賠償で埋められた。つくるときに決めていなければ、直すときに誰が払うかで交渉になる。
第四に、人が集まりすぎることを傷みの原因として見込むこと。2025年11月の地区委員会の申し入れは、市内外から多くの人を集めるがゆえに絶えず大きく傷んでいるという趣旨である。人を集めることそのものが、傷みの原因になっている。
第五に、評価が割れることを前提にすること。DR が2026年に見るべき都市公園の1つに挙げる一方で、査読論文は社会的結束への寄与が実証されていないと述べ、学術書の章は地元の都市研究者によるプレイス・マーケティング批判を出発点に置いている。同じ場所について、称賛と検証が並行して積み上がる。
今どうなっているか
2026年8月時点で確認できたのは、2026年4月26日の DR の記事までである。
痛みと評価の両方が同時に記録されている。
痛みの側。完成から1年ほどの2012年6月、Magasinet KBH は、赤の広場の赤いアスファルトが雨のとき自転車で走るには滑りやすく、輸入した運動器具のいくつかが早くも壊れたと書いている。2015年11月には舗装をやり直す議案が市の技術・環境委員会にかかり、2018年に段階的に張り替えられた。改修は総額1,350万クローネで、Realdania が680万クローネを出し、市は設計者 BIG から220万クローネの賠償を受けた(その大半はドイツの下請けが負担するとされる)。2025年11月には、ノアブロ地区委員会が、13年で複数の要素が壊れ落書きも多いとして市に申し入れている。
評価の側。2026年4月26日、DR はデンマークで見るべき都市公園4件の1つに Superkilen を挙げた。建築を学んだテレビ司会者の Ane Cortzen は、赤の広場から始まってノアブロを横断する構成を挙げ、地区の住民と観光客の両方に使われていると述べている。
学術の側からは、称賛そのものを検討し直す論文が出ている。 Jonathan Daly は2019年の論文の抄録で、Superkilen は多文化地区の社会的結束を高めるために設計されたにもかかわらず、その建築の形がその目的にどれだけ寄与しているかはほとんど研究されていないと述べ、設計思想が空間の実践より表象を優先したと批判している。Mareike Schwarz は2024年の章の抄録で、地元の都市研究者がプレイス・マーケティングだと批判したことを出発点に置き、国別の representation にもとづく構想と、移民ではない者が大半を占める設計陣が、移民の当事者的な知の反映に乏しかったとしている。同抄録は完成年を2013年としており、Magasinet KBH の2012年6月完成という記述と食い違う(discrepancies に並置した)。ただし同じ抄録は、現地調査では民族間の肯定的な接触が確認され、来訪者が自分の出身に結びつく物を気に入りのものとして挙げたとも書いている。
2025年11月の申し入れに対する市や設計者の回答は確認できなかった。
出典
- Superkilen er (næsten) fuldbragt — Magasinet KBH(2012-06-21)
- Nye belægninger på den røde plads i Superkilen, Nørrebro — Københavns Kommune(技術・環境委員会)(2015-11-23)
- Den Røde Plads er blevet rød igen — Magasinet KBH(2018-11-30)
- Superkilen: exploring the human–nonhuman relations of intercultural encounter — Journal of Urban Design(Jonathan Daly)(2019-06-26)
- Atmospheres of Designed Diversity? The Spatial Politics of Superkilen in Copenhagen — Entangled Histories of Art and Migration(Intellect・Mareike Schwarz)(2024-09-27)
- Henvendelse om tilstanden på Superkilen — Københavns Kommune(ノアブロ地区委員会)(2025-11-20)
- Her er fire danske byparker, du bør besøge – og én, der 'slet ikke giver mening' — DR(2026-04-26)
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