協同組合が建物を持ち、組合員が使用権を買って住み続ける住宅を各地で建てている
Sostre Cívic
2019年に La Balma が着工し2021年に完成が近づいた。2023年に高齢者向けの Can 70 が公表され、2025年には62戸の Ca l'Ordit が工事に入った。2026年4月時点で、この協同組合が州内で持つ25件のうち14件が入居済みと伝えられている。
何をしたか
Sostre Cívic が、建物の所有を協同組合が持ち、組合員が使用権を買って住み続けるやり方で住宅をつくっている。団体自身は、2004年にバルセロナで協会として生まれ、2010年に協同組合としても設立したと書いている(設立年はこの当事者の発信にしかない)。
自治体が長期の期限で貸した土地に建て、費用は入居予定者の出資と参加型の証券、それに欧州評議会開発銀行の融資で賄う。2019年に着工した La Balma は20戸で予算300万ユーロだった。50歳以上向けの Can 70 は2023年に公表され2025年9月に着工した。知的障害のある人の住戸を含む Ca l'Ordit は2025年に工事に入っている。
2026年4月時点で、市はカタルーニャ最大の使用権譲渡型の住宅協同組合だとしている。
誰が始めたか
設立の経緯は、当事者の発信にしかない。 Sostre Cívic 自身のFAQ(2019年7月4日)は、2004年にバルセロナで、使用権譲渡(cessió d'ús)の仕組みにもとづく住まいの持ち方・入り方の代わりの道を広めるために協会として生まれ、2010年に、使用権譲渡型の協同組合住宅を進めるために協同組合としても設立したと書いている。独立した報道は、この団体を「15年以上前にバルセロナで作られた住宅協同組合」(betevé 2021年4月28日)と書く程度で、設立の年や動機には触れていない。 制度の側を押した主体は別にいる。3Cat(2025年11月18日)は、バルセロナの前の市政(Ada Colau 市政)が10年ほど前に、市の社会住宅の蓄えを増やす選択肢の一つとしてこの使用権譲渡型の協同組合の仕組みを押したと書き、それが行政と金融機関を相手につるはしとシャベルで新しい道を開かねばならない、あまり知られていない試みだったとしている。個々の事業の発意は住民の側にある。betevé(2023年3月15日)は、Can 70 について20人ほどの組合員が2015年からどう暮らしたいかを話し合って共同生活の型を作ってきたと書き、思いつきの産物ではないとしている。
いくらかかったか
入居予定者が最初に出すのは建設費の2割ほどで、残りは借入である。 betevé(2021年4月28日)は La Balma について、Sostre Cívic の事業調整担当 Eva Ortigosa の説明として、組合員が建設を始めるために出す出資が1戸あたり25,000〜35,000ユーロで、これで建設費の総額の20%しか賄えないため、残りを倫理的銀行(banca ètica)から調達しなければならなかったと書いている。入居後は月々の使用料を払い、La Balma では600〜800ユーロで、これが借入の返済と共用部の維持に充てられる。 同記事は、出た組合員には出資がほぼ全額返る(次に入る組合員が同じ額を出すため)とし、返ってくる資本だという同氏の言葉を伝えている。事業ごとの規模は、betevé(2019年9月26日)が La Balma を5階建て20戸・予算300万ユーロ・工期18か月とし、費用は入居予定者の出資と参加型の証券(títols participatius)で賄うとしている。3Cat(2025年11月18日)は、62戸の Ca l'Ordit の費用を1,500万ユーロとし、組合員はそのうち8%を先に立て替える必要があり、住戸の広さに応じて1世帯13,000〜25,000ユーロを最初に払い、その後は月400〜900ユーロを払って欧州評議会開発銀行(CEB)への返済に充てると書いている(betevé 2025年11月12日も総額をおよそ1,500万ユーロとし、財源を CEB の融資と欧州の Next Generation 基金としている)。行政の負担も金額で出ている。betevé(2023年3月15日)は、Can 70 に対する市の投資が450万ユーロを超え、これには住戸の固定資産税(IBI)の95%の恒久的な減免と建設税の90%の減免が含まれると書いている。
真似するなら最低何が必要か
- 長期に借りられる土地。 betevé(2021年4月28日)は、市が公有地を75年の期限で貸していると書き、Sostre Cívic が2016年にポブレノウとノウ・バリスのラス・ロケテスの2つの敷地について75年の使用権を得たとしている。期限は事業によって違い、Ca l'Ordit は99年(3Cat 2025年11月18日)、Can 70 は betevé(2023年3月15日)が90年、Públic(2026年4月12日)が2021年に99年で譲渡と書いており、出典どうしで食い違っている。 いずれにせよ数十年単位で貸す判断を自治体がすることが前提になる。
- 建設費の1〜2割を先に出せる入居予定者の集まり。 上記のとおり、La Balma で1戸25,000〜35,000ユーロ(総額の20%)、Ca l'Ordit で1世帯13,000〜25,000ユーロ(総額の8%)が先払いである。3Cat(2025年11月18日)は、組合員が同時に事業の推進者(promotors)でもあると書いている。この額を出せない層には届かないという限界がここにある。
- 残りを貸す金融機関。 3Cat(2025年11月18日)によれば、CEB が前年に Sostre Cívic に3,100万ユーロを融資し、それが組合が規模を上げる鍵になった。この融資で9つの事業を同時に建てており、合わせて350戸になる。同記事は、CEB が2023年まで公共部門にしか融資していなかったが、欧州委員会から保証を得たことでその年から団体にも融資を開くようになったと書き、CEB のスペイン担当 María Sigüenza が、長期・低利の融資であるため家賃を非常に抑えられ、2億ユーロ規模の他の案件より波及が大きいと述べたと伝えている。
- 住民が集まって決める場と、そこに費やす年月。 betevé(2021年4月28日)で La Balma の入居予定の組合員は、共用の空間の決め方を20世帯で行ない、2階に共同の台所をつくり、屋上を共用にし、図書室か「ケアの場」を作るかもしれないが、入居するまで決めきらないことにしたと述べている。Can 70 では2015年から話し合いが続き(betevé 2023年3月15日)、Ca l'Ordit では総会で決め、委員会に分かれ、まとめ役の推進グループを置く形が取られ、住民は設計者と一緒に、来る人たちに合わせて身体的にも認知的にも入りやすい空間にする作業をしたと述べている(betevé 2025年11月12日)。
- 市場の外に出るという値付けの原則。 3Cat(2025年11月18日)で Eva Ortigosa は、すべて原価で行ない市場価格の論理の外に置くことで手が届くようにしていると述べ、住戸は公的保護住宅(protecció oficial)の資格を持ち、組合員はその要件を満たしているとされる。betevé(2025年11月12日)でも同氏は、市場の論理の外で働いており、かかったものがそのまま支払いになり、誰の利益も乗らないと述べている。
- 一緒に組む相手を先に決めること。 Ca l'Ordit は Grup Cooperatiu TEB と組み、62戸のうち9戸を知的障害のある人に充て、新しい住民のうち20人ほどが障害のある人になる(betevé 2025年11月12日)。同記事は、住民の多くがサン・タンドレウ地区に住んだことがないため、組合が地区の団体や町内会との結びつきを作る作業も進めていると書いている。
今どうなっているか
2026年8月の時点で確認できた最も新しい記録は、2026年4月12日の Públic である。 同紙は、市が Sostre Cívic をカタルーニャ最大の使用権譲渡型の住宅協同組合だとしていると書き、同組合が州内で25件の事業を持ち、そのうち14件はすでに人が住んでおり、合わせて500戸を超え、バルセロナ、マンレザ、リェイダ、タラサ、グラノリェルス、サン・クガット・ダル・バリェス、ビラフランカ、パラモスなどに散らばっているとしている。個々の事業では、Can 70 が2025年9月に着工し、2027年半ばの完成を見込むとされ、2棟に分けて39戸(うち10戸が43平方メートルの通常の住戸、29戸が4人で50平方メートルの台所を共有し私的空間は30平方メートルとなる形)で、地下1階の共用部が2棟をつなぐとされる。Ca l'Ordit は2025年11月に工事に入り、入居は2027年前半の予定である(betevé 2025年11月12日)。分野全体の広がりとしては、3Cat(2025年11月18日)が、カタルーニャに人が住んでいる協同組合住宅がおよそ400戸、事業中がさらに800戸あり、近いうちに1,200戸になる見込みで、その半分を Sostre Cívic が運営することになると書いている。2026年4月より後の記録は無い。 Can 70 の住戸数(26戸/39戸)と番地の表記は出典間で食い違っており、discrepancies に並べたとおりである。
出典
- On i quan va néixer? — Sostre Cívic(2019-07-04)
- Comença la construcció de La Balma, d'habitatge cooperatiu, al Poblenou — betevé(2019-09-26)
- Ni comprar ni llogar: viure en un habitatge cooperatiu — betevé(2021-04-28)
- Can 70, el primer habitatge cooperatiu sènior de Barcelona, es construirà a Sarrià — betevé(2023-03-15)
- El bloc cooperatiu inclusiu més gran de l'estat s'està fent a Sant Andreu — betevé(2025-11-12)
- Les cooperatives d'habitatge fan un salt gràcies al finançament del banc del Consell d'Europa — 3Cat(2025-11-18)
- El cooperativisme d'habitatge guanya terreny a Catalunya: experiències que quallen enmig de la crisi residencial — Públic(2026-04-12)
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