フランスで見た仕組みをまねて2013年にピエタルサーリとヴァーサで始めた、SNSで注文を集め生産者が消費者へ仲介なしに直接売る「REKO」という直売の仕組みが、全国、さらに海外へ広がった
REKO
2013年に始まった直売の仕組みは、2018年に創設者が全国的な賞を受け、2021年には最古のリンクの年間売上が前年比2倍になったと報じられ、2022年には全国210のリンクが伝えられた。
何をしたか
フィンランドのThomas Snellman氏が、フランスで見た仕組みをまねて2013年にピエタルサーリとヴァーサで「REKO」という直売の仕組みを始めた。消費者がSNS上の非公開グループで事前に注文し、決まった日時・場所で生産者から直接受け取る。仲介業者を挟まないため、小規模な生産者でも自分の農産物・畜産物を継続的に売る手段を持てるようになった。 Maaseudun Tulevaisuus(2018年9月5日)によれば、同氏は2018年の受賞の謝辞で、REKOが無かった頃には将来を見出せずにいたと自分に伝えてきた生産者が何度かいたと述べている。2013年にピエタルサーリとヴァーサで始まった活動は、2015年に拡大に転じ全国に広がり、2021年時点では14か国に広がったと報じられている。
誰が始めたか
始めたのはThomas Snellman氏である。 Maaseudun Tulevaisuus(2018年9月5日)によれば、ポホヤンマーのペーデルスオーレに住むSnellman氏はレコリンクの着想をフランスで得て、帰国後の2013年にピエタルサーリとヴァーサに最初のリンクを設立した。同記事は、Snellman氏の職業や生業については書いていない。
運営は各地のリンクごとに無償のボランティアが担っている。 Maaseudun Tulevaisuus(2021年1月25日)は、Snellman氏を「ピエタルサーリのレコリンクの運営者の一人であり、レコという発想そのものの生みの親」と紹介しており、同氏が創設から8年後の時点でも自らピエタルサーリのリンクの運営に関わり続けていることが分かる。Yle(2022年2月5日)は、各リンクが独立した非公開のFacebookグループとしてボランティアの手で動いており、そのため活動全体を網羅する全国統計が存在しないと書いている。同記事は続けて、全国のリンク運営者のグループを取りまとめるEeva Ylinen氏の説明として、ピルカンマー地方でも2年前に加入希望者の急増があったが、その後は落ち着いたと伝えている。
発祥地については、出典間で書き方が揃っていない。 Maaseudun Tulevaisuus(2018年9月5日)は最初のリンクをピエタルサーリとヴァーサの2か所に同時に設立したと書き、同紙(2021年1月25日)は見出しと本文の両方で、ピエタルサーリのリンクを「Suomen vanhin Reko-rengas(フィンランド最古のレコリンク)」の趣旨で表現している。一方でYle(2022年2月5日)は「特に北ポホヤンマー(Pohjois-Pohjanmaa)で人気が高く、活動はもともとそこから始まった」と書いており、ピエタルサーリ・ヴァーサがあるポホヤンマー(Pohjanmaa)とは異なる地域を発祥地としている。この3本の書き方は一致しない。
いくらかかったか
個々の生産者がリンクに加わって売り始めるための費用や会費は、参照した3本のどこにも書かれていない。
リンク単位・国単位の取引規模は複数の時点で報じられている。 Maaseudun Tulevaisuus(2021年1月25日)によれば、ピエタルサーリのリンクは2020年3月に新型コロナの感染拡大を受けて隔週から週次の配布に切り替え、3〜5月の売上は前年の3倍で推移し、秋の第2波では前年比でほぼ2倍となった。Snellman氏はこの年の総売上高が前年の2倍になったと述べている。同記事によれば、2021年1月時点でレコリンクは世界14か国・4大陸に広がり、会員は200万人強、Snellman氏自身の見積もりで取引額は世界全体でおよそ1億ユーロにのぼる。
フィンランド国内に限った数字は、Yle(2022年2月5日)が2021年分として伝えている。 同記事によれば、2021年にフィンランドで活動していたレコリンクは210、参加する生産者は4,000、会員は435,000人、年間の合計売上高は3,500万ユーロだった(記事は訂正が入っており、見出し脇の要約で「リンク数約4,000」としていた誤りを、本文の「210」に訂正している。生産者数の4,000とは別の数字である)。
個々の生産者の例として、ナーンタリのヴェルクア島でガロウェイ牛を育てるKurjen Gallowayの例がある。 同社を経営するAtte Raita氏によれば、同社の販売量のおよそ60%がレコ経由であり、毎週およそ10か所の配布地点を回りながら、トゥルクとヘルシンキ圏全体ではあわせておよそ30か所のレコ配布に顔を出しているという(Maaseudun Tulevaisuus, 2021年1月25日)。この例はピエタルサーリのリンクについてのものではなく、レコという仕組み全体を利用する生産者の一例として同記事に登場する。
真似するなら最低何が必要か
第一に、SNS上の非公開グループを、注文と受け渡しの窓口にすること。Yle(2022年2月5日)によれば、レコでは注文と受け渡しの調整が非公開のFacebookグループで行われ、グループは各地で独立して運営される。
第二に、専用の施設を持たず、店舗や商業施設の駐車場など既存の場所を配布日だけ借りること。同記事によれば、ユヴァスキュラ地区のレコでは、店舗近くの2か所の駐車場を配布日に使っており、冬場は出店者の場所取りが課題になっているとも書かれている。
第三に、注文をすべて事前確定制にし、受け渡しは個包装ごとに注文者の名前を確認して行うこと。Maaseudun Tulevaisuus(2018年9月5日)はレコの仕組みを「消費者が生産者から直接食品を買えるようにする」ものと説明しており、Yle(2022年2月5日)は、あらかじめ決まった品を詰めた個包装に注文者の名前を書いて渡す運用と、その分すぐに受け渡しが終わり露天の市とは違うと紹介している。
第四に、運営を無償のボランティアに委ねること。Yle(2022年2月5日)によれば、各リンクの運営はボランティアが担い、そのために活動全体を網羅する公式統計が存在しない。
第五に、新型コロナのような需要急増の局面では、配布の頻度を増やして対応すること。Maaseudun Tulevaisuus(2021年1月25日)によれば、ピエタルサーリのリンクは2020年3月に配布を隔週から週次に切り替え、人が集まりすぎないようにした。
今どうなっているか
参照した3本のうち、ピエタルサーリのリンクそのものについて書かれた最も新しい記録は、2021年1月25日のMaaseudun Tulevaisuusである。 同記事によれば、2021年に入ってからはまだ配布が1回しか行われておらず、その回は「かなり静かだった(melko hiljainen)」と書かれている。それより後の時点でピエタルサーリのリンクが続いているかどうかを直接確認できる記録は、今回参照した3本のどこにもない。
レコという仕組み全体については、より新しい2022年2月5日のYleの記事がある。 同記事によれば、2021年時点でフィンランド国内には210のレコリンクがあり、参加する生産者は4,000、会員は435,000人、年間の合計売上高は3,500万ユーロだった。同記事は、コロナ禍で人気が高まったユヴァスキュラ地区のKoppelin tila(Sari Koppeli氏)を例に、2020年から本格的な伸びが始まったと伝えている。
2026年9月時点で確認できるのはここまでである。 2022年以降にピエタルサーリのリンク、あるいはレコという仕組み全体がどう推移したかを報じた記録は、今回参照した3本のどこにも無い。
出典
- Vuoden Maaseutukasvoksi valittiin REKO-ringin Suomeen perustanut Thomas Snellman - Uutiset kotimaasta ja maailmalta - Maaseudun Tulevaisuus — Maaseudun Tulevaisuus(2018-09-05)
- Suomen vanhimman Reko-renkaan myynti kolminkertaistui saman tien koronan iskiessä - Maatalous - Maaseudun Tulevaisuus — Maaseudun Tulevaisuus(2021-01-25)
- “Korona-aika räjäytti kysynnän”, iloitsee lähiruoan tuottaja – vapaaehtoisvoimin toimivien Reko-renkaiden suosio on kasvussa | Yle — Yle(2022-02-05)
この記述は間違っていますか。受け取ってから2週間以内に、直すか直さないかを返します。