土地は自治体、住まいは住む人。取り外せる家で村に人を入れた
Hameaux Légers
2023年10月に協会がブルターニュの Saint-André-des-Eaux に取り外せる住まいの拠点を開いたと2024年2月の Urbanisme が伝えている。Commana の7戸の計画に France 2030 から87万5千ユーロの補助が交付されたことは2024年7月に報じられた。
何をしたか
フランスの協会 Hameaux Légers が、自治体が出した土地の上に「取り外せる住まい」(habitat réversible)を並べた小さな集落を、住む人と一緒に作っている。WE DEMAIN は2023年に、協会が2017年、造船の設計者たちと、若い家族を迎えたいと考えていたアルデーシュ県 Rocles の自治体との出会いから生まれたと書いている。同記事によれば、協会はブルターニュを拠点に、土地を出す自治体と組んで、収入の少ない人にも手が届く生態系に配慮した集落を参加型で作っており、土地の所有と住まいの所有を分けるのがこの仕組みの形である。Urbanisme は2024年2月に、協会が2023年10月14日、住民380人の村 Saint-André-des-Eaux に取り外せる住まいの拠点(écocentre)を開いたと報じている。
誰が始めたか
出会いが先で、協会は後からできている。 WE DEMAIN は2023年9月11日に、協会 Hameaux légers が2017年、造船の設計者たちと、若い家族を迎えたいと考えていたアルデーシュ県 Rocles の自治体との出会いのあとに作られたと書いている。Urbanisme も2024年2月26日に、協会が2017年から、取り外せる住まいでできた生態系に配慮した集落をつくろうとする住民の集まりに伴走してきたと書いている。同誌によれば、協会は自らの務めを、誰もが持続可能で連帯的な住まいと暮らし方に手が届くようにし、地域をより生きたものにすることだとしている。
土地を出すのは自治体である。 WE DEMAIN によれば、協会はブルターニュを拠点に、土地を提供する自治体と組んで集落をつくる。同記事は、協会の伴走なしに自分たちだけで作られる「取り外せる集落」もあると書いている。
受け入れる側の動機は、自治体ごとに書かれている。 Rocles は若い家族を迎えたいと考えていた(WE DEMAIN 2023年9月11日)。Banque des Territoires は2024年7月25日に、モン・ダレのコマナ(Commana)が商店と企業の閉鎖、人口の減少と高齢化に見舞われ、住宅の供給の偏りと別荘の増加がそれを重くしていたこと、そこで市が4,000平方メートルの遊休地を提供して、地域の立て直しに関わる新しい住民を迎えることにしたと書いている。同頁で市の助役 Fanny Saint-Martin は、コマナはこの集落によって、別の住まい方でより慎ましく暮らせることを示したいのだと述べている。
いくらかかったか
協会の予算も、住まい1戸あたりの費用も、参照した3本のどこにも書かれていない。 出てくるのは、特定の計画に付いた補助の額である。
- コマナの7戸には France 2030 から87万5,000ユーロが交付された。 Banque des Territoires は2024年7月25日に、「持続可能な都市の実証」の枠でこの補助が決まったこと、この計画が全国39件の採択のひとつであることを書いている
- 別の集まりには8,000ユーロの伴走の助成が出ている。 Urbanisme は2024年2月26日に、écocentre を訪れたある参加者が、高齢者を5割超入居させる計画であるため Habitat Participatif France の網から8,000ユーロの伴走の助成を受けたと語ったことを伝えている
- 基礎の作り方は費用に直結する。 同誌によれば、協会は軽い基礎として杭、鋼の杭、石を詰めた廃タイヤを挙げており、この最後のものはほとんど費用がかからず、1本あたり72トンを支えられるとされている
- 共用でまかなう部分がある。 Banque des Territoires によれば、コマナの敷地には7戸に加えて共用棟が置かれ、トイレ・台所・洗濯場を共同で使う形になっている
書かれていないもの — 協会の運営費、自治体が土地を出す条件と対価、1戸あたりの建設費、住む人の負担額は、いずれも出典に無い。
真似するなら最低何が必要か
1. 自治体が使える土地を出すこと。 WE DEMAIN 2023年9月11日は、協会が土地を提供する自治体と組むと書いている。Banque des Territoires 2024年7月25日によれば、コマナが出したのは4,000平方メートルの遊休地で、そこは造成され上下水道等につながれたうえで、7戸と共用棟を受け入れる
2. 土地の所有と住まいの所有を分けること。 WE DEMAIN はこれをこの仕組みの形として書いている。Banque des Territoires も、この計画が土地と建物の所有を切り離すことで、これまでの所有と建設のやり方を問い直していると書いている
3. 「取り外せる」の中身を定義しておくこと。 Urbanisme 2024年2月26日によれば、協会はこれを4つに分けている——動かせる住まい(キャラバンなど)、牽引して運べる住まい(改装した貨物容器など)、容易に解体して組み直せる住まい(ユルトなど)、解体すればそのまま分解する土や藁の住まい(kerterre など)である
4. 自力で建てられるようにする講習。 Banque des Territoires によれば、コマナの計画では自力建設の講習を受けた人が100人、試された構法が10種にのぼる。同頁は、協会が手引きと MOOC と研修の計画も作り、この形を他所でも繰り返せるようにすると書いている
5. 手続きの知識を配ること。 Urbanisme は、écocentre の当日、断熱材の厚みや電池の容量と並んで、資金の話と都市計画の手続きの話が交わされていたこと、20平方メートル未満でも汚水処理の公共サービス(Spanc)への届出が要るのかといった問いが出ていたことを書いている
6. 迎える側に、住まい以外の目当てがあること。 Banque des Territoires は、コマナが飲食・野菜づくり・手仕事といった経済の活動を興すか引き継ぐ意思のある新しい住民を求めていると書いている。つまり住宅の供給ではなく、地域の担い手の補充として組まれている
確認できないもの — 協会の職員数と運営費、自治体と住民の間で土地をどう貸すのか、1戸あたりの費用、そして実際に何人がどの集落に住み始めたのかは、参照した3本のどこにも書かれていない。
今どうなっているか
2026年8月時点で確認できた最も新しい記録は、2024年7月25日の Banque des Territoires の事例頁である。
同頁は、コマナの計画に France 2030 から87万5,000ユーロが交付されたこと、7戸の取り外せる住まいと共用棟が置かれること、自力建設の講習を受けた人が100人、試された構法が10種であることを書いている。この頁が挙げる日程は、掲載の時点ではいずれも予定である。 共用棟の引き渡しが2024年の夏、住民の集まりの入居が同年の秋、MOOC の開始が2026年1月とされているが、それらが実際に行なわれたと報じた出典は確認できていない。 同頁はまた、50ほどの住民の集まりと自治体がこの形に関心を示していると書いている。
その前の年に、拠点が開いている。 Urbanisme は2024年2月26日に、協会が2023年10月14日、ディナンの南10キロにある住民380人の村 Saint-André-des-Eaux で、取り外せる住まいのための écocentre を開いたと報じている。同誌によれば、その日は自然観察の庭、分譲地、展示用の住まい、カフェコンサート、低技術の作業場、子ども向けの催しが並び、1日を通じて500人近くが訪れた。参加者に共通していたのは自力建設への関心だったと同誌は書いている。
2024年7月より後を報じた出典は無い。 コマナの住民が入居したか、écocentre がその後どう使われているか、協会が伴走している集落が全部でいくつになったかは、いずれも確認できていない。
出典
- Carte : des hameaux légers pour tous — WE DEMAIN(2023-09-11)
- Des hameaux légers, prototypes de la réversibilité ? — Urbanisme(2024-02-26)
- Financement d'un hameau léger pour la redynamisation d'une commune rurale — Banque des Territoires(Localtis)(2024-07-25)
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