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違法建築の町の空いた中庭を、現代美術の場に変えた

Farm Cultural Park

イタリア / シチリア州アグリジェント県 / ファヴァーラ

違法建築の町の空いた中庭を、現代美術の場に変えた
© Il Sole 24 Ore — この写真が載っている記事

2010年に旧市街の違法建築が崩れて姉妹2人が亡くなったことを受けて、予定を早めて開設された。2017年6月には7年で2,000万ユーロ超の投資、年12万人の来訪、常勤150人と報じられた。同年8月には無許可の土地占有として2つの木造施設が封印され、2021年5月には住民70人が社会的企業をつくっている。

何をしたか

シチリア島アグリジェント県ファヴァーラで、旧市街に空いたまま残っていた中庭と建物を買って直し、現代美術の場にした取り組み。公証人の Andrea Bartoli と弁護士の Florinda Saieva の夫妻が、パリではなく妻の出身地であるファヴァーラを選んで始めた。

始まりは事故である。 夫妻は2012年の開設を目指していたが、2010年に旧市街で違法に建てられた建物が崩れ、14歳と4歳の姉妹が亡くなった。 町全体の痛みを受けて、夫妻は計画を前倒しし、その5か月後に開いた(Vita 2022年9月6日)。ファヴァーラは違法建築が広がる町として知られていた。

2017年6月22日、ANSA は最初の経済影響調査として、7年で2,000万ユーロを超える投資、年間12万人の来訪、常勤150人の雇用を報じた。 EUも都市再生の例として認めたとされる。子ども向けの建築の学校も置かれている。

同じ2017年、行政手続きの側から止められかけている。 8月8日の Il Sole 24 Ore は、市の警察が無許可の土地占有にあたるとして木造の施設2棟を封印したと報じた。同紙は、一連の官僚的な問題が活動を損なっていると書いている。この件のその後を書いた出典には到達できなかった。

2021年5月31日には、ファヴァーラの住民70人が公証人の前で社会的企業「Società per azioni buone(善い行いの株式会社)」を設立した。 準備は2019年に始まり、感染症の流行で遅れていた。個人として、あるいは団体を代表しての参加である。

誰が始めたか

先に動いたのは夫妻2人だけである。 公証人の Andrea Bartoli と弁護士の Florinda Saieva が、旧市街に空いたまま残っていた「7つの中庭(Sette Cortili)」——Cortile Bentivegna を構成する中庭群——を直し、そこを中心の場にした。Vita 2022年9月6日の記事で Saieva は、この事業は個人的な必要から始まったもので、シチリアに住みながら息をするために逃げ出す必要を感じずにいたかった、と語っている。こうした事業を始めるときにはやり方を教えてくれる説明書は無い、と Saieva は同記事で述べている。夫妻は住む場所としてもファヴァーラを選び、2人の娘をここで育てている。

町の側の反応は後から変わった。 ANSA 2017年6月22日の記事で Bartoli は、最初は自分たちが「宇宙人」のように見られて警戒があり、そのあとに最初の反応が返ってきた、と述べている。同記事は、アグリジェントに住む人が少し前までは間違ってでも行かなかった場所だった、という同氏の言葉も伝えている。

制度・団体が加わったのは、行政手続きで止められた2017年である。 Il Sole 24 Ore 2017年8月8日によれば、木造施設2棟の封印に対して大学・団体・文化施設・知識人のグループ(Trans Europe Halles、Federculture、Fondazione Matera-Basilicata 2019、Base Milano)が撤回を求める請願を出し、下院の第7委員会(文化)もこの件を取り上げた。

住民が事業主体の側に入ったのは2021年である。 Il Sole 24 Ore 2021年5月31日によれば、ファヴァーラの住民70人が公証人の前で社会的企業「Società per azioni buone(Spab)」を設立した。準備は2019年に始まり、感染症の流行で遅れていた。Saieva はその狙いを、開発に必要な不動産を持つ人・資金を出せる人・変化を進める能力を持つ人を同じ卓に座らせることだと説明している。つまり順序は、夫妻 → 来訪者と作家 → 全国の文化団体と国会の委員会 → 地元住民、である。

いくらかかったか

事業費の総額は確認できなかった。 出典にあるのは投資の推計額であり、誰がいくら出したかの内訳ではない。

- 2017年6月、ANSA は最初の経済影響調査として、7年間で2,000万ユーロを超える投資があったと報じた。 ただし調査の主体・内訳・その投資に誰の資金が含まれるかは、この記事に書かれていない
- 始まりは自己負担と借入である。 Vita 2022年9月6日で Saieva は、これらすべてを苦労しながら、借金をしながら実現したと述べている
- 2022年時点の回り方は、有料の来訪者と公募助成である。 同記事は、多数の有料来訪者と各種事業で獲得した公募助成(bandi)によって収益が生まれ、それを文化・社会の事業の拡張に再投資できる状態になったと書いている
- 行政に払う側の取り決めも交渉されている。 Il Sole 24 Ore 2017年8月8日によれば、7つの中庭の管理協定を結び、入場料の徴収を認めるかわりに収入の一定割合を市に納める、という形が市との協議で示された。ただし同記事は、その直後に施設が改めて封印されたとも書いている
- 住民出資の器の側は、規模の目標だけが示されている。 Il Sole 24 Ore 2021年5月31日によれば、Spab の発起人はファヴァーラの銀行預金を5億ユーロ近くと見積もり、その1割を投資に回せば5,000万ユーロを使えると説明した。これは達成額ではなく試算である。 設立後の最初の行為は、市に70本の樹木を寄贈することだった

funding_scale には2017年の2,000万ユーロという推計だけを入れ、内訳と出所は確認できなかったと明記した。

真似するなら最低何が必要か

1. 買って直せる空き家が、離れずに固まって残っていること。 ここで手をつけたのは1棟ではなく、Cortile Bentivegna を構成する7つの中庭である。旧市街の一区画がまとまって空いていたことが前提になっている
2. 始める人がその町に住むこと。 夫妻はパリに住む選択肢を捨ててファヴァーラに住み、子どもをここで育てている。Vita はこれを、逃げずに暮らせる場所を自分たちのために作る必要があったという Saieva の言葉として書いている
3. 自己負担と借入で始められること。 2017年の推計は2,000万ユーロ超だが、Saieva が語っているのは補助金ではなく借金である。最初の資金は外から来ていない
4. 有料化と公募助成に切り替える段取り。 2022年時点の収入は有料来訪者と bandi であり、入場料の徴収そのものが2017年には市との争点になっていた。無料で開けたまま続ける形にはなっていない
5. 行政手続きに耐える体制。 土地占有の届け出、入場料徴収の可否、管理協定、Tosap(公共用地占用税)の規則への適合。2017年に木造施設2棟が封印されたのはここである。市長の Anna Alba(M5S)は、公務員は現行の法と規則を完全に守って職務を行なったと市のサイトで表明し、Bartoli は同じ件を妨害的な官僚制の行使だと反論している(Il Sole 24 Ore 2017年8月8日)
6. 住民が後から資金と不動産を持ち込める器。 2021年の Spab は、個人としてでも団体の代表としてでも参加できる社会的企業として作られた

確認できないものは、2,000万ユーロの内訳と調査の主体、夫妻の自己資金と借入の額、封印が最終的に解かれたかどうか、常勤150人を雇っている主体と雇用の形、Spab が実際に集めた出資額である。

今どうなっているか

2026年8月時点で確認できた最も新しい記録は、2022年9月6日の Vita の記事である。最新の出典が4年前であり、それ以降の状況は確認できていない。

2022年9月時点で Vita が報じているのは次のとおりである。来訪は年12万人で、Saieva は自分たちだけで150人を安定した形で雇っていると述べている。Palazzo Miccichè には「Human Forest」という常設のインスタレーションが置かれ、50年間放置されていた建物の内部を植物で埋めたもので、3年間で6万人が通ったとされる。子ども向けの建築の学校 SOU(藤本壮介の名にちなむ)はイタリア国内に12の「支部」を持ち、受講は無料である。2018年にファヴァーラの子どもたちがパリで同建築家に会い、2019年には保護者を含む83人がロンドンで Norman Foster に迎えられた、と Saieva は語っている。

2017年8月の封印について、その後を書いた出典には到達できなかった。 Il Sole 24 Ore は、市の窓口が必要書類の提出を条件に原状回復命令の撤回に応じる意向を示し、Farm を公共の関心のある場所として認定する市参事会の措置が予告されたと書いたうえで、予告された認定は延期され、市の警察が警察・カラビニエリとともに戻って改めて封印したと伝えている。同紙が市長に電話で取材した際、市長は回答しなかったとも書かれている。認定がその後行なわれたのか、命令が撤回されたのかは、今回の出典の範囲では確認できない。

出典の性格について明記しておく。 Il Sole 24 Ore の2本は購読制の媒体の記事であり、ここに書いたのは取得できた範囲に限られる。ANSA・Il Sole 24 Ore・Vita はいずれも Claude による取得を robots.txt で拒否しているドメインで、本文は以前に取得したものを使っている(再取得はしていない)。2022年以降の否定的な報道は、今回探した範囲では見つからなかった。

出典

  1. Farm Cultural Park, così rinasce paese dell'agrigentino — ANSA(2017-06-22)
  2. Burocrazia e permessi rischiano di bloccare il Farm Cultural Park di Favara — Il Sole 24 Ore(2017-08-08)
  3. A Favara nasce una Società per azioni buone — Il Sole 24 Ore(2021-05-31)
  4. A Favara l'arte di Farm Cultural Park ha reinventato la città — Vita(2022-09-06)

最終確認日 2026-08-17

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