最後の店と最後の酒場が閉じたので、住民が会社をつくって開け直した
Succiso
1991年に村で唯一の酒場が閉じ、その少し前に最後の店も閉じたことから、住民9人が協同組合をつくった。2016年時点で組合員33人・常勤7人、宿と食堂を合わせて年に最大1万4千人を受け入れている。2022年2月の報道は、これをイタリアで最初のコミュニティ協同組合と位置づけている。
何をしたか
トスカーナ=エミリア・アペニン山中の集落スッチーゾで、閉まってしまった酒場と食料品店を、住民が自分たちの会社をつくって開け直した取り組み。1991年、村で唯一の酒場が閉じた。その少し前には最後の食料品店も閉じていた。 代表の Dario Torri は2016年に、村から酒場も店もなくなればその村は死ぬ運命にある、と説明している(Vita 2016年5月23日)。地元の文化協会の仲間9人が協同組合 Valle dei Cavalieri をつくった。
開け直したのは店だけではない。 崩れかけた建物に酒場と食料品店を開き、いちばん近い店が20キロ先であることから近隣の村からも客が来るようになった。パンは自分たちで焼いており、冬は日に20キロ、夏は80キロ。 そこから220席の食堂、6室・20床の宿を足し、2016年時点で年に最大1万4千人を受け入れている。送迎車を買って通学の輸送と高齢者の用足しも引き受けた。羊の飼育という土地の仕事も復活させている。
規模は小さいままである。 2016年時点の組合員は33人ですべて無償の役員、常勤は7人(うち2人は外国出身、2人は障害のある人)、季節雇用が5〜6人。平均の月給はおよそ1,000ユーロとされる。冬の住民は65人で、夏には500〜600人になる。
2022年2月1日、Il Sole 24 Ore はこれをイタリアで最初のコミュニティ協同組合と位置づけた。 同記事は、この形が古い集落(borghi)を対象にした多くの不動産事業と違い、その土地の住民から始まり、生まれた富がその土地に残る点を挙げている。同記事によればコミュニティ協同組合の57%は2018年から2020年のあいだに生まれ、3分の2が内陸部にある。スッチーゾには日本・韓国・ミャンマー・米国・カナダ・エスワティニから研究者が訪れているという。
誰が始めたか
地元の文化協会の仲間9人である。 1991年に村で唯一の酒場が閉じ、その少し前に最後の食料品店も閉じた。代表の Dario Torri は2016年に、村から酒場も店もなくなればその村は死ぬ運命にあると説明している(Vita 2016年5月23日)。9人が協同組合 Valle dei Cavalieri をつくった。名前は、この一帯の地理的な呼び名から取られている。この人数は出典によって食い違う。 Vita(2016年5月23日)と Redattore Sociale(2015年5月15日)はいずれも9人とする一方、Il Sole 24 Ore(2022年2月1日)は「quattro giovani(4人の若者)」と書いている(discrepancies参照)。
組合員は住民そのものである。 2016年時点の組合員は33人で、全員が無償の役員だった。Il Sole 24 Ore(2022年2月1日)は、住民の半分が組合員だと書いている。冬の住民は65人で、夏には500〜600人になる。
Il Sole 24 Ore は、この形が古い集落を対象にした多くの不動産事業と違う点として、その土地の住民から始まり、生まれた富がその土地に残ることを挙げている。
いくらかかったか
Vita(2016年5月23日)は、25年間の活動を通じた投資総額が150万ユーロ、組合の年商がおよそ70万ユーロだと書いている。 設立時の出資額は、参照した3本のどこにも書かれていない。
分かっているのは働く側の数字である。 2016年時点で常勤7人(うち2人は外国出身、2人は障害のある人)と季節雇用5〜6人がおり、平均の月給はおよそ1,000ユーロとされる(Vita 2016年5月23日)。
規模の目安になる数字もいくつかある。 パンは冬に日20キロ、夏に日80キロ。食堂は220席、宿は6室・20床で、年に最大1万4千人を受け入れている。
真似するなら最低何が必要か
この事例で真似できる単位は、協同組合という器そのものではなく開ける順番と、一人が複数の仕事を持つ形である。
第一に、閉じた店を開け直すところから始めること。新しい施設ではなく、崩れかけた建物に酒場と食料品店を開いた。村から消えた機能を、消えた順に戻している。
第二に、近隣から客が来る距離を確かめること。いちばん近い店が20キロ先だったため、近隣の村からも客が来るようになった。周囲に店がないことが、そのまま商圏になっている。
第三に、足していくこと。酒場と店のあとに、パンを焼き、220席の食堂を開き、6室の宿をつくり、最近では小さな保養施設を足した。羊の飼育という土地の仕事も復活させている。最初から観光を狙った施設ではない。
第四に、店以外の仕事も引き受けること。送迎車を買って通学の輸送を担い、同じ車で高齢者の用足しもしている。採算に乗らない仕事を、乗る仕事と同じ組織の中に入れている。
第五に、小さいままで成り立たせること。組合員33人・常勤7人・月給およそ1,000ユーロという規模である。この形が要求するのは規模ではなく、村に残ると決めた人の数である。
今どうなっているか
2026年8月時点で確認できたのは、2022年2月1日の Il Sole 24 Ore の記事までである。
同記事は、スッチーゾの協同組合をイタリアで最初のコミュニティ協同組合と位置づけ、31年前に最後の酒場の閉店に屈しなかったところから始まったと書いている。2022年時点で、住民の半分が組合員であり、宿・食堂・羊の飼育と DOP チーズの販売を行い、州立公園「Il Gigante」の最初の来訪者センターも運営している。 通学の送迎車も持っている。
同記事によれば、コミュニティ協同組合という形はイタリア全体で増えており、57%が2018年から2020年のあいだに生まれ、3分の2が内陸部にある。 スッチーゾはその最初の例として参照される位置にある。
組合の現在の規模(組合員数・雇用・売上)を2022年より後に書いた出典には到達できなかった。
出典
- Ali e Stefano, il tour di due chef alla ricerca della coesione sociale — Redattore Sociale(2015-05-15)
- Succiso, il paese-cooperativa dove ogni giorno si cambia lavoro — Vita(2016-05-23)
- Effetto pandemia e politiche dei luoghi spingono le cooperative di comunità — Il Sole 24 Ore(2022-02-01)
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