2012年に3校で始めた学校前の車道封鎖を、住民団体の実験を経て市の公募事業にし、87件の提案を集めた
strade scolastiche
2012年にミラノ市が3校で始めた車道封鎖は、2019年に住民団体の実験を経て、2023年12月に市の公募事業「Piazze Aperte per ogni Scuola」となった。2025年5月にはPNRRの助成で1地区が完成した。2021年5月時点のおよそ35本から市内の総数がどう推移したかは、2026年の出典にも書かれていない。
何をしたか
イタリア・ミラノ市で、学校の前の道路から車を締め出す取り組みを、1つの制度に育てた。 Genitori Antismog(2023年1月9日)によれば、始まりは2012年で、ミラノ市が小学校3校(Palermo・Casati・Rasori)の前の道路を、登下校の時間帯だけ交通封鎖する「strade car free」を始めた。2021年5月時点で、こうした通りはおよそ35本になっていた。
2019年秋には、市民団体が独自に実験を組織した。 NPOのGenitori Antismogが、自転車通学を進める団体Massa Marmocchiや、Fiab Milano Ciclobbyとともに、8校の校舎前の道路を15時30分から19時まで封鎖する「strade scolastiche」の最初の2回の実験を行い、ミラノ市の機動性・公共事業局および教育局が後援・支援した(同)。
2023年12月、この取り組みは市の公募事業になった。 CityNext(2023年12月29日)によれば、ミラノ市はVia Pescarenicoの歩行者専用化を承認した。これは「Piazze Aperte per ogni Scuola(すべての学校に開かれた広場を)」という公募事業の最初の実施であり、団体・学校あわせて600(うち250校)から87件の提案(合計9万平方メートル)が寄せられていた。
誰が始めたか
2012年の最初の封鎖はミラノ市が行った。 Genitori Antismog(2023年1月9日)は、これを市が「strade car free」と呼んだと書いている。
2019年の実験を組織したのは、行政ではなく市民団体である。 同記事によれば、Genitori Antismogは大気汚染に取り組む親の会であり、自転車通学の団体Massa Marmocchi、自転車利用の団体Fiab Milano Ciclobbyとともに実験を組織した。この2回の実験は、Genitori Antismogが当初から参加しているという全国キャンペーン「Strade scolastiche」の一環に位置づけられている(同)。
2023年以降の公募事業は、ミラノ市が複数の団体と協力して進めている。 CityNext(2023年12月29日)は、「Piazze Aperte per ogni Scuola」がミラノ市によって、Agenzia Mobilità Ambiente Territorio(AMAT)・Bloomberg Associates・Global Design Cities Initiativeとの協力のもとで進められていると書いている(各団体の性格については、参照した出典に記述がない)。同記事は、副市長のAnna Scavuzzo氏(教育担当)と、Arianna Censi氏(機動性担当)・Pierfrancesco Maran氏(住宅・地区計画担当)・Gaia Romani氏(参加担当)の各アセッソーレの発言として、「この取り組みの目的は、通学路での児童・生徒の安全を守り、より安全で持続可能な都市環境を促すことである」という趣旨を伝えている。
2025年のグアスタッラ地区の事業は、学校自身が計画を主導した。 Eco dalle Città(2025年5月27日)によれば、この事業は音楽の州立総合学院(Istituto Omnicomprensivo Musicale Statale)とレオナルド・ダ・ヴィンチ理系高校が中心となり、保護者会Associazione Genitori Corridoni・団体Cittadini per l'aria・設計事務所Ro.KとMimoaが加わる参加型の計画を経た。
いくらかかったか
事業費は、参照した4本のどこにも書かれていない。 unknown_fieldsにfunding_scaleを申告した。
分かるのは、資金の出どころの一部だけである。 Eco dalle Città(2025年5月27日)は、グアスタッラ地区の事業が、国の「PNRR大都市目標支援基金」による助成事業「Piazze Aperte per ogni Quartiere(すべての地区に開かれた広場を)」の一部であると書いているが、金額は示していない。
規模を示す数字はある。 CityNext(2023年12月29日)は、2018年から2022年にかけて先行して行われた「Piazze Aperte」の取り組みで、40の広場・2万5千平方メートルが交通から解放されたと書いている。「Piazze Aperte per ogni Scuola」への応募は団体・学校あわせて600(うち250校)から87件、合計9万平方メートルにのぼった(同)。Eco dalle Città(2025年5月27日)は、グアスタッラ地区の事業が2,200平方メートルの道路を対象にしたと書いている。
真似するなら最低何が必要か
第一に、登下校の時間帯だけ封鎖する、費用のかからない形から始めること。Genitori Antismog(2023年1月9日)によれば、地元警察と学校のボランティアが、封鎖の時間帯にバリケードを置き、終われば撤去する。この形なら、恒久的な工事をせずに始められる。
第二に、行政の後援を早い段階で得ること。2019年の実験は市民団体が組織したが、同記事は「ミラノ市との協力が決定的に重要だった」とし、市が後援するだけでなく、機動性・公共事業局および教育局を通じて実質的に支えたと書いている。
第三に、全国・欧州のキャンペーンに乗ること。同記事によれば、2019年の実験は全国キャンペーン「Strade scolastiche」の一環であり、Radiomamma(2026年4月27日)は、欧州キャンペーン「Streets For Kids」が2026年5月8日、イタリア各地・欧州各国で学校・家族・地区に行動を呼びかけると書いている。同記事は、保護者や教員が1校からでも始められる「6つの手順」(行動を選ぶ、地域を巻き込む、公式サイトに登録する、資材を準備する、行政と地元紙に連絡する、当日を記録する)を示している。
第四に、公募という形で提案を集めること。CityNext(2023年12月29日)によれば、「Piazze Aperte per ogni Scuola」はミラノ市がAMAT・Bloomberg Associates・Global Design Cities Initiativeと組んで公募を出し、団体・学校あわせて600(うち250校)から87件の提案が集まった。
第五に、計画の主体に学校自身を置くこと。Eco dalle Città(2025年5月27日)によれば、グアスタッラ地区の事業は音楽総合学院とダ・ヴィンチ高校が中心になり、保護者会・環境団体・設計事務所とともに計画した。完成後は、学校・保護者会・設計事務所と市のあいだで「協働協定(patto di collaborazione)」を結び、空間の維持管理と文化活動の開催を分担している(同)。
第六に、効果を測る仕組みを組み込むこと。同記事は、グアスタッラ地区の事業が欧州のURBANOMEプロジェクトの一部でもあり、転換の前後で大気質・騒音・交通量に加え、心理的・社会経済的な指標までセンサーやアンケート、聞き取りで測定していると書いている。
今どうなっているか
2026年8月時点で確認できたのは、2026年4月27日の記事までである。
Radiomamma(2026年4月27日)は、保護者や教員が自分の学校前に「strada scolastica」を作るための「6つの手順」を示す実用ガイドとして書かれている。 5月8日の欧州キャンペーン「Streets For Kids 2026」に向けミラノで予定されていた催しの例として、Via Gattamelataの複数校(Scuola Primaria Pietro Micca他)での自転車パレードや朝食会、遊びの催しに加え、Corridoni通りの保護者会が共同の植栽イベントとあわせて「strada scolastica」としての1年を祝う計画が挙げられている。ただしこれらはガイド記事が挙げた実例であり、市内の「strade scolastiche」の総数がその後どう推移したかは、参照した4本のどこにも書かれていない。 2021年5月時点のおよそ35本(Genitori Antismog)から先の数字は確認できない。
制度としての骨格も整っている。 Genitori Antismog(2023年1月9日)によれば、2020年に成立した法律(簡素化法120号)が、市町村が条例で「学校区域(zona scolastica)」を指定し、時間帯や車種を限って通行・駐停車を制限できる仕組みを新たに定めた。
縮小や撤退を伝える記述は、参照した4本の中には無い。 ただし、いずれの記事も、実施された個々の通りに対する周辺住民・商店主の反応までは扱っていない。
組織の担い手は変わってきている。 2012年の起点は市の単独事業だったが、2019年以降は、Genitori Antismog、あるいは学校・保護者会・地区団体といった非行政の担い手が、市民団体の実験(2019年)・市の公募事業(2023年以降)のいずれの段階でも関わり続けている。
出典
- COSA SONO LE STRADE SCOLASTICHE? – GENITORI ANTISMOG — Genitori Antismog(2023-01-09)
- strade scolastiche; titolo; pagina; separatore — CityNext(2023-12-29)
- Milano, 2.200 mq di strade scolastiche nel quartiere Guastalla — Eco dalle Città(2025-05-27)
- Strade scolastiche a Milano: i 6 passi per organizzarle e partecipare a Streets For Kids 2026 | Radiomamma — Radiomamma(2026-04-27)
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