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お金を地域で回す学校・公共施設5万人未満

4つの自治体が食料政策を統合し、学校給食の食材を地元産に切り替えた。2026年に食の拠点を3カ所新設し、同年の給食残食調査で減少が報告された

Piana del Cibo

イタリア / トスカーナ州 / カパンノリ(アルトパッショ・ポルカリ・ヴィッラ・バジリカと共同運営)

2019年発足後、2023年に4市協定の更新とFoodCLIC始動が予告され、2024年に部会再開が発表され、2026年6月に食の拠点を新設し8月に給食残食の減少が報告された。

何をしたか

イタリア・トスカーナ州ルッカ県で、カパンノリ市の主導により、アルトパッショ・ポルカリ・ヴィッラ・バジリカを含む4市が2019年に食料政策を統合する「Piana del Cibo」を発足させた。首長会議と市民・NGO参加の評議会による二層統治のもと、学校給食の食材を地元生産者からの短い流通経路(filiera corta)に切り替える取り組みを進めている。2024年2月には学校給食の食育を扱う部会を含む3部会の再開が発表され、2026年6月には公共の給食施設内を含む3カ所に「食の家(Casa del Cibo)」を新設した。同年8月、給食の食べ残しが前年より減少したとする調査結果が公表され、運営側は食材の地元産・有機化を要因の一つに挙げている。

誰が始めたか

Food Action Cities のケーススタディ(2021年4月20日)は、2018年6月、ルッカ・カパンノリ・アルトパッショ・ポルカリ・ヴィッラ・バジリカの5市が参加型プロセス「Circularifood」に着手し、この過程は「カパンノリ市が主導した」と書いている。同記事によれば、域内の食に関わる主体をすべて地図化したうえで、住民・利害関係者による10回のワークショップとフォーカスグループを実施し、その結果として市間の食料戦略と「食の評議会」の設立に至った。評議会は、首長で構成する政治・組織的な層(Assembly of Mayors for Local Food Policies)と、住民・NGO・第三セクターが半年ごとに「Food Agorà」に集う参加的な層からなる二層構造だという。

Milan Urban Food Policy Pact のプロジェクト登録ページ(2020年12月14日)は、この取り組みを「Piana del Cibo」の名で、2019年・カパンノリを拠点として登録している。Toscana Chianti Ambiente(2026年6月11日)は、Piana del Cibo を「2019年にカパンノリ・アルトパッショ・ポルカリ・ヴィッラ・バジリカの4市の主導で生まれた食料戦略であり地域統治の実験室」と説明し、ピサ大学と「食の評議会(Consiglio del Cibo)」が支えていると書いている。同記事によれば、Piana del Cibo は、地元農業の支援・小学校での食育・困窮世帯を意識した廃棄削減という3本柱で活動している。

ルッカ市の扱いには時期による違いがある。 2021年出典(2018年のCircularifood着手時点を報じる)はルッカ市を参加5市の1つに含めているが、2023年以降の出典(LuccaInDiretta 2023年10月6日、カパンノリ市 2024年2月21日、Toscana Chianti Ambiente 2026年6月11日のいずれも)は、カパンノリ・アルトパッショ・ポルカリ・ヴィッラ・バジリカの4市体制として Piana del Cibo を説明しており、ルッカ市の名は挙がらない。どの時点で、どのような経緯でルッカ市が体制から外れたのかは、参照した出典のいずれにも記述がない。

2023年10月6日の LuccaInDiretta は、2日後の10月8日に開かれる予定の初の「食の祭典(Festival del cibo)」が、4市による食料政策の参加型管理に関する新協定の調印と、欧州プロジェクトFoodClicの始動を記念する場になると予告している。

いくらかかったか

総額を示す出典は見つからなかった。Food Action Cities(2021年4月20日)は、2018年のCircularifood参加型プロセスの財源には触れていない。

2023年10月6日の LuccaInDiretta と2024年2月21日のカパンノリ市の公式発表は、2023年以降の運営(部会の再開を含む)が欧州プロジェクトFoodCLICの支援を受けていると書いているが、いずれも金額は示していない。

2026年6月11日の Toscana Chianti Ambiente は、同月開設の「食の家」3施設について、カパンノリ市がブランドの使用と後援(patrocinio)を与えたと書くのみで、整備費・運営費のいずれも金額は示していない。3施設の推進主体(Camiglianoの拠点はCooperativa Rinascita・Cooperativa agricola sociale Calafata・Cooperativa Odissea・Equinozio commercio equo e solidale、カパンノリ市営給食施設内の拠点はQualità & Servizi、Compitese地区の拠点はCentro Culturale Compitese)はいずれも既存の団体で、施設を新築したとは書かれていない。

学校給食については、2026年8月8日の LuccaInDiretta が、給食の運営を公共給食事業者「Qualità e Servizi S.p.A.」が担い、食材をルッカ平野(Piana di Lucca)の地元生産者から調達していると書いているが、食材費や給食事業全体の予算は記事に出てこない。

真似するなら最低何が必要か

1. 単独の自治体で完結させず、隣接する複数の自治体で食料政策の権限を束ねること。 Food Action Cities によれば、Piana del Cibo の前身にあたる参加型プロセスは、カパンノリ市が主導しつつ4〜5の周辺市を巻き込む形で始まった。2023年10月8日にこの体制を4市の協定として更新する予定だと、2日前の10月6日付LuccaInDirettaが予告している(実施の確認は今回の出典では取れていない)。

2. 政治層と参加層を分けた二層の統治機構を持つこと。 Food Action Cities によれば、首長で構成する「Assembly of Mayors for Local Food Policies」と、住民・NGO・第三セクターが半年ごとに集う「Food Agorà」を、別の層として設計している。

3. 統治機構の下に、テーマ別の部会を置き、外部の専門家を招くこと。 カパンノリ市の発表(2024年2月21日)によれば、2024年に再開が発表された部会は「地元流通」「学校の食育」「食へのアクセス・貧困」の3つで、それぞれに調整役が付き、「学校の食育」部会にはヘルスコーチ・ナチュロパス・栄養士の資格を持つ専門家、「食へのアクセス・貧困」部会には ActionAid Italia の担当者が助言者として加わっている。

4. 既存の学校給食の運営事業者を、地元調達と食品ロス計測の当事者として巻き込むこと。 LuccaInDiretta(2026年8月8日)によれば、カパンノリ市の学校給食を運営する Qualità e Servizi 社は、全クラスの食べ残しを日々計測する仕組みを持ち、食材を「ルッカ平野の地元生産者」から調達する方針を採っている。同社の総支配人 Alessio Ciacci 氏は、新鮮で有機の、地元生産者による質の高い原材料を選ぶことを戦略的な方針だと説明している(同記事)。

5. 新しい施設を建てるのではなく、既存の公共施設・既存団体の中に拠点を置くこと。 Toscana Chianti Ambiente(2026年6月11日)によれば、2026年開設の「食の家」3施設は、いずれも既存の協同組合・文化センター・市営給食施設の中に置かれ、新築ではない。同記事で Piana del Cibo 会長の Massimo Rovai 氏は、施設が「文化的・普及的な活動、ワークショップ、給食、試食、そして大衆食堂(osteria popolare)」を年間プログラムとして展開すると説明している。

6. 国・EUの外部資金を、単発の設備投資ではなく統治の継続に充てること。 LuccaInDiretta(2023年10月6日)とカパンノリ市(2024年2月21日)によれば、2023年の協定更新と2024年の部会再開は、いずれも欧州プロジェクトFoodCLICの支援のもとで計画・予告されている(いずれも開催前の告知記事であり、実施の確認は今回の出典では取れていない)。

確認できないものは、Piana del Cibo 全体の年間予算・総事業費、部会・食の家それぞれの運営費、関わる職員数、そしてルッカ市が体制から外れた時期と理由である。

今どうなっているか

2026年8月時点で確認できている最新の動きは、2026年8月8日の LuccaInDiretta の記事である。同記事によれば、2025〜2026年の学校給食の残食モニタリングで、春・夏・冬のいずれの季節・全ての品目でも残食率が前年より下がったといい、特に春は加重平均で33.76%から28.25%へ5.52ポイント下がった。教育政策担当理事(assessora)のSilvia Sarti氏は、冬・春・夏のすべてのメニューでこれほど明確で広範な削減が確認できたことについて、「提供する食の質が非常に高く、子どもたちの好みに合っている」ことを意味すると述べ、Qualità e Servizi の総支配人Alessio Ciacci氏は、新鮮で有機・地元産の食材を選ぶ戦略が奏功していると述べている(同記事)。

これに先立つ2026年6月11日の Toscana Chianti Ambiente の記事は、Piana del Cibo の主導で「食の家」3施設(Camigliano・カパンノリ市営給食施設内・Compitese地区)が同月開設され、地元生産者との接点づくりや食育、食にゆとりのない世帯への支援を担うと伝えている。同記事によれば、夏の間は3施設のうち2つが、トスカーナで最も歴史の長い演劇・食のイベント「Utopia del Buongusto」の会場の一部にもなる。

参照した範囲では、Piana del Cibo に対する否定的な報道・批判は見つからなかった。

出典

  1. Circularifood - Piana di Lucca, Italy - foodactioncities — Food Action Cities(2021-04-20)
  2. Inter-municipal Food Policies in “Piana del Cibo” - Milan Urban Food Policy Pact — Milan Urban Food Policy Pact(2020-12-14)
  3. A Capannori il primo festival del cibo: delizie in vetrina e produttori del territorio protagonisti - LuccaInDiretta — LuccaInDiretta(2023-10-06)
  4. Ripartono i tavoli tematici della Piana del Cibo - Comune Capannori — Comune di Capannori(2024-02-21)
  5. A Capannori nascono le “Case del Cibo”: tre nuovi presidi per la cultura del piatto sano e locale — Toscana Chianti Ambiente(2026-06-11)
  6. Mense scolastiche, a Capannori crollano gli sprechi alimentari - LuccaInDiretta — LuccaInDiretta(2026-08-08)

最終確認日 2026-09-01

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