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汚れた川を住民が掃除したことが、町並み保存に火をつけた

佐原

日本 / 千葉県 / 香取市佐原(小野川沿い)

汚れた川を住民が掃除したことが、町並み保存に火をつけた
© 香取市 — この写真が載っている記事

開始年は出典から確認できず、研究の記録は2007年から2025年にわたる。2009年の論文が成立要因を分析し、2016年には震災による屋根被害が調査された。2025年の論文は、住民の意識が景観維持派と観光推進派に分かれたことを報告している。

何をしたか

千葉県香取市の佐原で、汚れた川を住民が掃除したことが、町並み保存の運動に火をつけた。

地理空間学会の2025年の論文によれば、高度経済成長期に水質汚染が進んだ小野川は、1990年代に地域住民が主体となった清掃活動によって再生した。 そしてこの活動をきっかけに住民は地域への関心を深め、それが町並み保存運動を推進する原動力になった。 川がよみがえると小野川は観光資源として注目されるようになり、川沿いの通りでは新規出店が増え、観光客を主な客とする店の比率が高くなっていった。

順序が逆でないことがこの事例の要点である。 町並みを保存するために川を掃除したのではなく、川を掃除したことが町並み保存につながっている。

誰が始めたか

住民である。ただし社会技術研究論文集の2009年の論文は、成立要因をもう少し複雑に描いている。挙げられているのは3つである。

1. 「町並み保存関係者」と「佐原の大祭関係者」が、それぞれ独自に活動した結果として生じた意図せざる相乗効果
2. 市民団体による巧みな行政の活用
3. 行政の巧妙な戦略的な過程の管理

つまり誰か1人の主体が全体を設計したのではない。 別々に動いていた2つの集団の活動が、意図せずに噛み合った、というのが同論文の見立てである。

いくらかかったか

確認できなかった。 清掃活動にも町並み保存にも、今回の出典は金額を書いていない。funding_scaleunknown_fields に挙げている。

清掃活動が住民主体だったことを踏まえると、初期の費用の多くは金ではなく住民の労力だったと読めるが、これは出典が明記していることではない。

真似するなら最低何が必要か

1. 最初に手をつける対象を、目的そのものからずらすこと。 ここでは町並みではなく川だった。掃除は誰でも参加でき、成果が目に見える
2. 別々の集団が同時に動いていること。 2009年の論文が第一に挙げたのは、町並み保存の側と祭りの側が独自に動いた結果の相乗効果である。1つの協議会に統合していたら生じなかった種類の効果である
3. 市民団体の側に、行政を使う技量があること。 同論文は「市民団体による巧みな行政の活用」と書いている。行政に任せるのでも対立するのでもない
4. 行政の側に、過程を管理する戦略があること。 上と対になっている
5. 観光が来たあとの分裂を織り込むこと。 下記のとおり、住民の意識はのちに分かれている

確認できないのは、清掃活動が始まった年、参加した住民の数、そして費用である。

今どうなっているか

2026年8月時点で確認できた最も新しい記録は、2025年6月20日発行の地理空間学会の論文である。景観を活かした観光が進むにつれて、その是非をめぐって住民の意識は「景観維持派」と「観光推進派」に分かれた。

ただし同論文は、そこで話を終えていない。どちらの立場も、小野川沿いの商家町を原風景とする「佐原らしさ」のある景観が存続することにこだわっている点では共通しているとし、だからこそ今後もこの個性的な景観は残り続けるだろうと述べている。

途中には災害もあった。2016年の日本建築学会の論文は、2011年の震災で保存地区の伝統的建造物の屋根が受けた被害を目視で調査し、小野川の上流側が硬い地盤、下流側が軟らかい地盤であることと被害の分布を結びつけている。町並み保存の対象は、地盤の上に建っている。

来訪者の側の課題も早くから指摘されていた。2007年の論文は、来訪者の多くが東京圏東部からの日帰りであり、大きな催しがある日は地区内を歩く範囲が広がるが、そうでない日は他の観光地へ流れる傾向を示している。

否定的な報道は、今回探した範囲では見つからなかった。ただし今回の出典は5本とも学術と専門誌であり、報道による検証は行っていない。 千葉県の地方紙には今回当たれていない。

出典

  1. 香取市佐原重要伝統建造物群保存地区来訪者の観光行動の空間特性 — 総合観光研究(総合観光学会)(2007)
  2. 旧佐原市地区におけるまちづくり型観光政策の形成プロセスとその成立要因に関する分析 — 社会技術研究論文集(2009)
  3. 東日本大震災による佐原重要伝統的建造物群保存地区の伝統的建造物の屋根被害調査と分析 — 日本建築学会計画系論文集(2016)
  4. 佐原の歴史的町並みを活かした観光まちづくり : 官民一体のまちづくり — 新都市(都市計画協会。CiNii Research の書誌ページ経由)(2020-03)
  5. 千葉県香取市佐原における小野川の景観変化が歴史的町並みと住民意識に与える影響 — 地理空間(地理空間学会)(2025-06-20)

最終確認日 2026-08-17

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