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天井川が廃川になって残った高い河床を、削らずに公園にした

草津川跡地

日本 / 滋賀県 / 草津市

天井川が廃川になって残った高い河床を、削らずに公園にした
© 土木学会デザイン賞(土木学会景観・デザイン委員会) — この写真が載っている記事

開始年は出典から確認できず、記録は2003年から2024年にわたる。2003年の論文は跡地利用をめぐる市民と行政の対話を、2019年の土木学会デザイン賞は選考委員の講評を載せ、2024年のガバナンスは廃川跡地の活用として取り上げている。

何をしたか

滋賀県草津市で、廃川になった天井川の河床を、高いまま公園にした。 土木学会デザイン賞の掲載によれば、草津川は江戸中期以降に土砂の堆積で河床が上がった天井川で、洪水被害を受けてきたため中流域から琵琶湖にかけての約7kmを新設の河川に切り替える工事が行われ、平成14年に通水した。残った跡地について、堤防を取り除いて広幅員道路にするのか、公園にするのかが長年議論され、平成22年に委員会が設置、平成24年度に基本計画が策定されて、7kmを6区間に分け公園緑地として整備することが決まった。削って平らにする選択肢があったうえで、堤防に囲まれた地形が残された。

誰が始めたか

土木学会デザイン賞の掲載は、事業者を公園・土木・建築は草津市、公園内商業施設(ココリバ)は草津まちづくり株式会社と記している。設計は公園・土木・建築がパシフィックコンサルタンツ、緑景、E-DESIGN、商業施設が地域計画建築研究所、森下建築総研、アズ、E-DESIGN である。

同じ掲載の「主な関係者」には、意匠統括の忽那裕樹(E-DESIGN)、設計統括の小西弘朗(パシフィックコンサルタンツ)、建築担当の森下修(森下建築総研)、コミュニティデザイン担当の山崎亮(studio-L)、照明デザイン担当の長町志穂(LEM空間工房)に加えて、事業の構想立案・事業推進として草津市長の橋川渉が挙げられている。

「主な関係組織」は3つで、役割が分かれている。草津市ガーデニングサークル「グラッシー」はワークショップへの参画と設計・施工における協働の両方、くさねっこ(草津川跡地公園パートナーズ)はワークショップへの参画、滋賀県立湖南農業高等学校は設計、施工における協働である。

跡地の使い方をめぐる議論は、公園ができるより前から研究の対象になっていた。 2003年の龍谷大学大学院法学研究の記事は、題名に「草津川跡地利用における市民と行政の協働」と「公・共・私『対話』」を掲げている。ただし書誌のみを確認しており、本文は読んでいない。

いくらかかったか

土木学会デザイン賞の掲載によれば、公園整備事業の工事費等は約193,700万円/5件である。これは区間5の額であり、7km全体の額ではない。

公園内商業施設ココリバの事業者は草津まちづくり株式会社と記されているが、その事業費は書かれていない。 面積は約3.8ha、延長は約0.8kmである。

真似するなら最低何が必要か

出典から取り出せるのは4つである。

1. 地形を残すか削るかを、先に決着させること。 前述のとおり、堤防を取り除いて広幅員道路にする案と公園にする案が長年議論された。この決着が付かないと設計に入れない。 講評は、周辺よりも一段高く両脇を堤防に囲われた地形そのものが、都会の喧騒から離れられる空間として働いていると述べている
2. 公園に別の役割を先に持たせること。 掲載によれば、災害時に機能する安心安全空間とすることが求められ、発災時の避難や物資供給拠点として機能することが条件として与えられた。 中央園路は緊急輸送路として設計されている
3. 収益施設の事業者を分けること。 公園・土木・建築の事業者は草津市だが、公園内商業施設の事業者は草津まちづくり株式会社である。同じ敷地の中で主体が分かれている
4. 設計と施工の各段階で聞き取ること。 掲載は、設計から施工の各段階において細やかな意見の聞き取りを行い計画に反映させたと書いている。関係組織として市民サークル・パートナーズ・農業高校が挙げられている

確認できないのは、区間5以外の事業費、商業施設の賃料や収支、そして議論が長年続いた期間に何が争点だったかである。

今どうなっているか

2026年8月時点で確認できた最も新しい記録は、2024年9月のガバナンスの連載記事で、「天井川の廃川跡地を活用しガーデンミュージアムを整備」として自治体政策の事例に取り上げられている。ただし書誌のみを確認しており、本文は読んでいない。

本文まで読めた最も新しい評価は、2019年11月21日掲載の土木学会デザイン賞の講評である。選考委員の萱場は、9月上旬の日曜日に現地を訪れ、散歩する人、座って話す子供たち、ボール遊びをする親子、楽器を演奏する学生がいたと書き、多様な人が入り混じって賑わっている様子に触れている。 同委員は、質感の高い護岸や舗装、植栽、ストリートファニチャーといった個々の要素を挙げたうえで、堤防に囲まれたこの地形の存在自体が公園の価値を支えていると評している。

これは選考委員が一日の訪問で書いた記述であり、日常の利用状況を継続して測ったものではない。 来園者数や商業施設の営業状況を示す出典は、今回の範囲では確認できなかった。

講評はもう1人分あり、そちらは評価が分かれている。 選考委員の八馬は、似通った意匠の要素があちこちに使われている点を指摘し、分かりやすさはあるものの「高い水準で整っているとは言いがたい」と書いている。同じ受賞作の講評の中に、デザインの完成度を認めない記述が併記されている。

ただし同委員は続けて、時間帯によって属性の異なる市民が集い憩い遊んでおり、そのための仕掛けがデザインされ埋め込まれていることで賑わいが生まれていると述べ、市街地を分断していた天井川の廃川というインフラを公共の受け皿として捉え直し、コミュニティデザインのプロセスを経て民主化したことに意義があるとしている。デザインの水準への評価と、空間の使われ方への評価が、同じ委員の中で分けて書かれている。

これ以外に否定的な報道は、今回探した範囲では見つからなかった。滋賀県の地方紙については取得の可否を確認しておらず、報道による検証は行えていない。 今回の出典は土木学会の賞の掲載1本と、書誌のみを確認した学術・業界誌8本である。

出典

  1. 2019年優秀賞 草津川跡地公園(区間5) — 土木学会デザイン賞(土木学会景観・デザイン委員会)(2019-11-21)
  2. 草津川跡地利用における市民と行政の協働 : 公・共・私「対話」 — 龍谷大学大学院法学研究(2003-09)
  3. 土木のチカラ 天井川の面影残す都市公園 : 草津川跡地公園(滋賀県草津市) — 日経コンストラクション(2017-10-23)
  4. 市民、事業者、行政が一体となった持続的な公園づくり : 草津川跡地公園 — 公園緑地研究所調査研究報告(日本公園緑地協会公園緑地研究所)(2017)
  5. まちと共に育まれる公園づくり : 草津川跡地公園 — 造景(2019)
  6. 自治体政策最前線 : 地域からのイノベーション(第18回)滋賀県草津市 草津川跡地プロジェクト : 天井川の廃川跡地を活用しガーデンミュージアムを整備 — ガバナンス(2024-09)
  7. 草津川跡地公園からランドスケープ・デザインプロセスを考える — 公園緑地(2017-09)
  8. クサツココリバ〈草津川跡地公園商業施設〉 : 設計 森下修/森下建築総研(デザイン設計監理) 地域計画建築研究所(全体調整) — 新建築(2018-03)
  9. 多様な主体が連携した公園づくり(草津川跡地公園) — 新都市(2023-12)

最終確認日 2026-08-19

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