商店街が共同で会社をつくり、駐車券の差益を活性化の原資にあてる形にした
新潟古町まちづくり
協同組合の設立は平成24年6月、会社は同年10月で、出典は2018年6月から2022年3月にわたる。2018年の事例紹介は3つの事業の仕組みを、2022年の新潟市の計画は空き店舗のあっせん窓口としての位置づけを書いている。
何をしたか
新潟市の中心市街地・古町で、地元の商店街の側が協同組合と株式会社という2つの器を作り、活性化の活動原資を自前の事業で稼ぐ形にした(協同組合を立ち上げた主体は出典で書き方が割れる。discrepancies に並置した)。 中心市街地活性化協議会支援センター(中小企業基盤整備機構内)は、県庁などまちなかの機能が郊外へ移ったこと、新幹線と高速道路が通って東京への集中が進んだこと、リーマンショックのあとに百貨店が閉じたことなどが重なり、まちが衰えたと書いている。平成24年6月に新潟中心商店街協同組合ができ、同年10月に7つの商店街振興組合が出資して新潟古町まちづくり株式会社が設立された。 2018年の記事の時点で、会社は無料駐車券・案内アプリ・免税カウンターを運営している(新潟県は2021年の更新のページで、主な事業として駐車券とまちなかバス乗車券を挙げている)。同センターは、このうち免税カウンターは収益事業ではないと書いている。
誰が始めたか
始めたのは民間の側であり、行政が枠組みとして加わるのはあとである(ただし資金面では、市の補助金とインバウンド促進事業の補助金が使われている。出典はその時期を書いていない)。
同センターは、リーマンショックが新潟古町地域商店街に危機意識をもたらしたとし、商店街と大型店が合意を作る場として新潟中心商店街協議会ができたと書いている。同センターによれば、その協議会での話し合いから法人化が要ると判断され、平成24年6月に新潟中心商店街協同組合が設立された。 同センターは、協議会が商店街振興組合の単位で構成されていたのに対し、協同組合は個別店舗が任意で加入する形式だとし、各商店街振興組合の理事長が協同組合の役員も務める形にすることで、商店街と個店への影響力を保っていると書いている。
会社はその後に作られている。 同センターによれば、会社は活動の原資を得るためのソーシャルビジネスを担う器であり、出資したのは7つの商店街振興組合、設立は平成24年10月である。 新潟県も、地区の課題をビジネスの手法で解くための組織として同社ができたとし、協同組合と2つで古町の活性化とにぎわいづくりを進めていると書いている。
協同組合(平成24年6月)を立ち上げた主体は、2つの出典で書き方が違う。 同センターは協議会からの法人化として書き、新潟県は、7つの商店街振興組合に加えて隣の大型商業施設も中心にいたと書いている。discrepancies に並置した。
2018年の記事の中身は、当事者への取材にもとづく。 同センターは、取材に応じた佐藤雅義について、会社の事業部長と協同組合のエリアマネージャーを兼ねる立場にあり、両方の実務を預かる人だと書いている。そのうえで、佐藤からまちづくり会社の収益事業を中心に聞いたと明記している。
行政の枠組みは平成29年度以降である。 新潟市によれば、平成29年度に、会社・新潟商工会議所・同市の三者で「古町活性化まちづくり協議会」がつくられ、そこで古町地区活性化まちづくり調査報告書がまとめられた。同市は、会社が都市再生推進法人の認定を受けたのも令和元年度だとも書いている。
いくらかかったか
会社の資本金・売上・事業費は、今回の出典のどれにも書かれていない。 出典に額として出てくるのは、行政の補助制度の枠と、事業の値づけの構造だけである。
補助の枠は新潟市の計画にある。 同市によれば、古町地区空き店舗活用事業は補助率2分の1・上限5,000千円(改装費4,000千円、賃借料1年分1,000千円)、古町地区魅力創造・発信事業は魅力創出事業が補助率3分の2で上限5,000千円×2件、魅力発信事業の広報業務が4,000千円である。同市は、これらの予算は毎年度の議会の議決で決まるものであり、実施が保証されているわけではないと断っている。
無料駐車券の収益は、額ではなく仕組みとして書かれている。 同センターによれば、会社は駐車券の清算業務を引き受けることと引き換えに、通常の駐車場料金より安く駐車券を仕入れている。仕入れのときの割引率より小さい割引率でサービス店に売り、その差が収益になるという説明である。同センターは、磁気カード化にかかる機材などの初期投資には市の補助金を使ったとも書いている(額は記されていない)。
逆に、収益にしていない事業もある。 同センターによれば、商店街免税一括カウンターの運営手数料は用度経費・ネット回線費・業務委託費で構成されている。同センターは、まちづくり会社がこれを稼ぐための事業ではなく地域貢献の事業として運営しており、人手はボランティアだと書いている。
アプリは会費を取っている。 同センターは、会社がアプリを情報発信やフリー Wi-Fi と束ねた総合的なサービスとして扱い、商店街と参加店から会費を取っているとし、今後はこのアプリのシステムを外部へ販売して収益性を高めることを検討していると書いている。
真似するなら最低何が必要か
出典から取り出せるのは5つである。
1. 既にある組織を潰さずに、その上に足すこと。 前節のとおり、協議会(合意の場)→協同組合(個別店舗が任意加入)→株式会社(収益事業)の順で作られ、理事長の兼務によって商店街と個店への影響力が保たれている(同センター)。新潟県も、協同組合と会社の両輪体制だと書いている
2. 事務の負担を引き受けることを、値引きの根拠にすること。 同センターによれば、以前は3つの商店街が、それぞれ自分の指定する駐車場で使える30分の無料券を紙で出していた。使えるのは管理人のいる駐車場に限られ、駐車場の側は券を発行店ごとに仕分けして集計し請求する手間を負っていたという。 会社がこれを一括で引き受けて磁気カードに替えたことで、駐車場は初期投資を抑えながら人件費などの運営コストを減らせるようになり、その見返りとして会社は割引価格で券を仕入れられるようになった
3. 商業以外の店も加盟先に数えること。 同センターは、まちづくり会社が運営に立つことで、加盟先を商業店舗だけにとどめず銀行や医院も引き入れ、券を出す店を増やそうとしていると書いている。同センターは別の箇所で、来街者・駐車場・サービス店の三者それぞれに得のある形を組んだ結果として、提携する駐車場は60か所以上、券を出す無料駐車券サービス店は160店以上になったとしている。券の発行基準は各個店の自由とされている
4. 大型店のカウンターに相乗りすること。 同センターによれば、免税の一括カウンターは、買い物の場では税込みで支払い、店から受け取った連絡票を新潟三越のカウンターに出すと税の分が返ってくるという手順で、税務署への申請や仕組みづくりは会社が取りまとめた。同センターは、新潟三越の側にも、免税の手続きに来る外国人の客を自店に呼べるという利点があるとし、会社が免税カウンターの一区画にパソコンを1台と新潟三越と同じシステムを用意し、三越の側は今の担当者のままで足りるという前提のもとで、増える事務の負担は小さいと書いている
5. 書いた計画を毎年見直すこと。 新潟県によれば、協同組合内に置いた「まちなか再生委員会」でワークショップを重ねて古町ビジョンが作られた。同県は、そこから起こす事業を2〜3年程度でやることと5年程度でやることに分けて中長期事業計画とし、毎年内容を見直すとしている
確認できないのは、会社の資本金・売上・利益とその推移、無料駐車券事業の取扱枚数、アプリの利用者数、そして事業開始前後で古町の通行量や売上がどう変わったかを示す数値である。
今どうなっているか
2026年8月時点で確認できた最も新しい記録は、新潟市が令和4年3月に作った商店街活性化促進事業計画である。
同市によれば、令和元年度に、新潟市古町七番町商店街振興組合と会社の2者が経済産業省の「商店街活性化・観光消費創出事業」に採択され、市の補助制度も併せて使い、アーケードの改修に合わせて総合案内所(新潟古町まちみなと情報館)を整えた。同市によれば、令和2年度には市の内部に部局をまたぐ古町再生のプロジェクト・チームが置かれ、「古町地区将来ビジョン」の方向性を踏まえて活性化の施策を関係者と話し合い、令和3年度から個別の事業に入ることとした。
同じ計画は、課題を2つ挙げている。 同市は、地区の商店街で空き店舗が増える傾向にあると書いている(把握のもとは、商店街が作る補助制度利用希望の調査票だと注記されている)。同市は、店舗兼住宅であるものもあるため貸すことへの抵抗が働くこと、改装の費用が要ることなどを挙げ、空き店舗を活かすことを考えていない所有者や、解消へ具体的に動いていない所有者がいると伝え聞いたとしたうえで、借り手と貸し手を結びつけることが要だとしている。もう一つの課題は後継者不足で、同市は令和2年10月に新潟県が実施した商店街実態調査を引き、「後継者不足」を挙げた商店街が51.7%で問題点の首位だった一方、後継者育成の対策を取っていないと答えたのは89.2%にのぼるという数字を並べている。
市の計画は、会社に物件のあっせんの窓口を割り当てている。 同市は、区域内の建築物・土地の権利取得のあっせんに関する事項として、新潟古町まちづくり株式会社を窓口に置き、商店街や不動産業種団体から集めた空き店舗の物件情報を新規出店の希望者に渡すと書いている。これは講ずる施策として書かれたもので、実施済みとは書かれていない。 新潟県は、更新日が2021年4月1日のページで、空き店舗を改修して出店者を呼ぶ仕組みも見据えているとし、いずれ同社がリーシング機能を持つことも検討していると書いている。
否定的な報道は、今回探した範囲では見つからなかった。 ただし今回の出典は同センター・新潟県・新潟市の3系統で、いずれも事例紹介または行政計画であり、第三者による効果測定ではない。 新潟日報は robots.txt が claudebot を拒否しており(reference/media.json・2026-08-18 実測)、報道による検証は行えていない。
出典
- 新潟古町まちづくり株式会社が展開する三方良しのソーシャルビジネスとは(新潟市)[1/4] — 中心市街地活性化協議会支援センター(中小企業基盤整備機構内)(2018-06-06)
- 新潟古町まちづくり株式会社が展開する三方良しのソーシャルビジネスとは[2/4 無料駐車券事業について] — 中心市街地活性化協議会支援センター(中小企業基盤整備機構内)(2018-06-06)
- 新潟古町まちづくり株式会社が展開する三方良しのソーシャルビジネスとは[3/4 アプリケーション事業について] — 中心市街地活性化協議会支援センター(中小企業基盤整備機構内)(2018-06-06)
- 新潟古町まちづくり株式会社が展開する三方良しのソーシャルビジネスとは[4/4 インバウンド事業について] — 中心市街地活性化協議会支援センター(中小企業基盤整備機構内)(2018-06-06)
- タウンマネジメントの取組事例を紹介します! — 新潟県(2021-04-01)
- 新潟市古町地区 商店街活性化促進事業計画 — 新潟市(2022-03)
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