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市が中心街に無料の複合施設を建て、8年で延べ800万人が訪れた

八戸ポータルミュージアム

日本 / 青森県 / 八戸市

市が中心街に無料の複合施設を建て、8年で延べ800万人が訪れた
© 八戸経済新聞 — この写真が載っている記事

2011年の開館から2026年まで出典がある。2017年と2019年の八戸経済新聞が延べ来館者600万人と800万人の到達を伝え、2026年の八戸市のページは2030年に向けた第4期の中期運営方針の素案がパブリックコメントにかけられたことを載せている。

何をしたか

青森県八戸市が、中心街に鉄筋コンクリート5階建ての複合施設「八戸ポータルミュージアム はっち」を建て、2011年2月11日に開いた。入場は無料である(八戸市)。当事者の講演によれば、施設に駐車場はあえて置かなかった。 八戸経済新聞によれば、建物の中には飲食のテナントのほか、シアター、ギャラリー、ものづくりを振興するブースなどが入る。同紙は、地域にあるものを使って新しい価値を生むことを目指す施設だと書いている。同紙は、延べ来館者が2017年7月18日に600万人、2019年10月9日に800万人に達したと伝えている。 2019年の記事は、800万人という数字を、市民1人あたり35回来館した計算だと書いている。

誰が始めたか

八戸市が抱えている施設である。 同市のページによれば、施設の問い合わせ先は同市の商工労働まちづくり部で、館の名がそのまま部内の組織名になっている。 指定管理者を置いているかどうかは、今回の出典からは確認できなかった。

建てるまでの経緯は、当事者の講演として記録されている。 中心市街地活性化協議会支援センターの記事は、2021年11月に八戸市で開かれたセミナーで株式会社まちづくり八戸の柳沢拓哉が行った講演をまとめたものである。柳沢は後述のとおりはっちの開設準備室にいた人であり、以下は当事者の説明として読む必要がある。 なおこの記事に掲載日は無く、本文には、株式会社まちづくり八戸の宅配サービスについて令和4年1月時点で休止中だという注記があるので、書かれたのはセミナーより後である。

同記事は、八戸市の中心市街地にはここに至るまで転換期がいくつかあったとしたうえで、2つを取り上げている。1つは平成14年の東北新幹線八戸開業で、開業前のテレビ取材でタクシーの運転手が八戸には見どころがないと話す映像が全国放送で流れ、まちの関係者が受けた衝撃から、それまで弱かった観光を強化する取り組みが始まったという。2つ目は、郊外に5万平米以上のショッピングセンターを誘致する計画をめぐる対立である。同記事によれば、そうした議論を踏まえ、都市計画にもとづいて建物の規模を1万平米以下に抑える方針が決まった。 柳沢は講演の中で、大型のショッピングセンター計画を止めたところが起点だったとし、そこから市が腹を決めてまちなかの立て直しに向かったのだと語ったとされる。

同記事によれば、施設の性格は途中で変わっている。 当初は観光交流施設が想定されていたが、郊外のショッピングセンター計画が止まったことや、八戸市中心市街地活性化基本計画・八戸市都市計画マスタープランの基本理念などもあって、方針が変わり、「中心街に人を呼び込んで賑わいのきっかけになるような」複合施設を開くことになったという。同記事によれば、そこには市民が何度も足を運ぶ場にするという狙いも重ねられていた。柳沢自身は開設の準備室に加わり、早い段階からまちの人や実際に使うことになる市民と行き来を重ねて、信頼を積んできたとされる。

学術と雑誌の側からは、開館の年から取り上げられている。 地域創造(2011年)は「目指せ“まちなか再生”」の特集で、ノースアジア大学国際観光研究(2013年3月)は観光まちづくりの拠点の例として、第三文明(2014年2月)はそれぞれ本館を扱っている。いずれも書誌ページしか読めていないため、内容には立ち入らない。 地域開発(2012年3月)にも「はっち」でまちを元気に、と題した記事があるが、著者の所属が書誌ページに出ておらず、当事者かどうかを確かめられなかったので本数には数えていない。ただし地域創造とノースアジア大学の書誌ページにも所属は出ていない。数え方が揃っていないことは承知のうえで、慎重側に倒した。

いくらかかったか

建設費・年間の運営費は、今回の出典のどれにも書かれていない。 分かるのは利用者側の負担と、来館者1人あたりの規模感だけである。

入場料は無料である。 八戸市の施設基本情報によれば、はっちの入場料は無料、開館時間は9時から21時、休館日は火曜日(祝日の場合その翌日)と年末年始である。同じ建物の4階にある「こどもはっち」だけは有料で、一般(小学生以上)100円、障がい者50円、開館時間は9時30分から16時30分である。

駐車場については、費用に触れた出典が無い。 前節の記事によれば、駐車場をあえて置かなかったのは、公共交通機関を使ってもらうことと、近隣の民間駐車場や百貨店、商店街とつながることをねらったものだとされる。 これを書いているのは当事者の講演の記事1本だけで、ほかの出典に駐車場の記述は無い。

来館者の規模は報道にある。 八戸経済新聞(2019年10月17日)は、平成30年度に来館した人数を約87万4千人としており、これを八戸市民1人あたり平均4回程度の来館にあたる計算だと書いている。

真似するなら最低何が必要か

出典から取り出せるのは5つである。

1. 郊外の大型店を止める判断と、セットで考えること。 前節のとおり、郊外に5万平米以上のショッピングセンターを誘致する計画は、建物を1万平米以下に抑える方針に落ち着いた。当事者である柳沢は、そこが起点だったと講演で語ったとされる。 施設を建てる話の前に、まちの容れ物の総量をどうするかの決着がある
2. 駐車場を作らないこと。 同記事によれば、これは公共交通機関の活用と、近隣の民間駐車場・百貨店・商店街との連携をねらったものである。ただしこれを書いているのは当事者の講演の記事だけで、ほかの出典に駐車場の記述は無い
3. 1つの建物に用途を混ぜること。 同記事が挙げるのは、飲食とものづくりのチャレンジショップ、アトリエ、ギャラリー、シアター、FMスタジオ、観光インフォメーション、子育て交流スペース、そしてアーティストの宿泊施設である。同記事は、機能を1つの建物に集めれば、それまでまちへ足を運ばなかった層がこのエリアに来る入口になり、そこから商店街が元気になれば施設の側もさらに賑わう——という好循環をねらったものだと書いている
4. 入場を無料にし、子ども向けだけ有料にすること。 前節のとおり、はっち本体は無料、こどもはっちは一般100円・障がい者50円である。無料の建物の中に、有料の場所が同居している
5. 運営方針を作り直し続けること。 八戸市によれば、2026年の時点で2030年に向けた今後5年間の第4期中期運営方針の素案がまとめられ、パブリックコメントにかけられた。素案の段階であり、第4期の方針が定まったとは書かれていない。 各期が何年ずつだったかも、今回の出典からは確認できない

確認できないのは、建設費と年間の運営費、テナントや催しの収支、開館前後で中心街の歩行者通行量や商店街の売上がどう変わったかを示す数値、そして2019年より後の来館者数である。

今どうなっているか

2026年8月時点で確認できた最も新しい記録は、八戸市のパブリックコメントのページ(更新日2026年4月23日)である。

同市によれば、はっちが素案をまとめたのは、2030年に向けた今後5年間を対象とする第4期の中期運営方針である。令和8年1月19日から2月20日まで市民の意見を募集した。寄せられた意見は7件(個人2名)である。 同市は、意見の概要と市の考え方をまとめたファイルを同じページに置いている。

施設の基本の条件は、2024年の市のページで次のようになっている。 同市の施設基本情報(更新日2024年4月20日)によれば、住所は八戸市三日町11-1、はっちの開館時間は9時から21時、休館日は火曜日、入場は無料である。

来館者の記録は2019年で止まっている(今回の出典の範囲では)。 八戸経済新聞(2019年10月17日)によれば、延べ来館者数は10月9日に800万人となった。同紙は、2012(平成24)年3月に100万人、昨年(同紙は2019年10月17日付)の8月に700万人となり、そこから1年2か月で800万人になったと書いている。800万人目の来館者は台湾出身で東京在住の人で、友人との二人旅の途中、初めての青森訪問の初日にたまたま入ったところだったという。

震災の記録も同じ記事にある。 同紙によれば、はっちは開館の1か月後にあたる3月11日に東日本大震災に遭い、臨時の避難所としても使われた。

受賞もある。 八戸経済新聞(2017年7月20日)によれば、2016年に「平成28年度地域創造大賞(総務大臣賞)」を受けた。同紙は、5年間の取り組みが評価されたものだとしている。

否定的な報道は、今回探した範囲では見つからなかった。 ただし本レコードの出典のうち、八戸市の2本は施設の設置者・運営者そのものの発信であり、まちかつの1本も当事者の講演を事例としてまとめたものである。 第三者による効果測定は今回の出典に含まれていない。青森県の東奥日報は robots.txt が claudebot を拒否しており(reference/media.json・2026-08-20 実測)、報道による検証は八戸経済新聞の範囲にとどまる。

出典

  1. 青森県八戸市 八戸ポータルミュージアムはっち(特集 目指せ"まちなか再生") — 地域創造(2011)
  2. 八戸ポータルミュージアム「はっち」でまちを元気に(特集 シティプロモーション再考) — 地域開発(日本地域開発センター)(2012-03)
  3. 観光まちづくりの拠点 : 八戸ポータルミュージアム「はっち」を例に — ノースアジア大学国際観光研究(2013-03)
  4. 八戸ポータルミュージアムはっち — 第三文明(2014-02)
  5. 八戸ポータルミュージアム「はっち」来館者600万人突破 市内3歳児が600万人目 — 八戸経済新聞(2017-07-20)
  6. 八戸市の地域観光交流施設「はっち」が来館者800万人 開館から8年 — 八戸経済新聞(2019-10-17)
  7. 市民が集う拠点整備とソフト展開でエリアの魅力更新中〜八戸市中心市街地活性化の取組み〜 — 中心市街地活性化協議会支援センター(中小企業基盤整備機構内)(2021-11-12)
  8. 八戸ポータルミュージアムはっち 施設基本情報 — 八戸市(2024-04-20)
  9. 第4期八戸ポータルミュージアム中期運営方針(素案)に対するパブリックコメントの実施について — 八戸市(2026-04-23)

最終確認日 2026-08-20

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