国のウォーカブル推進都市になった山形市が、七日町商店街の道路空間を「ほこみち」や「粋七」で歩行者中心に変えてきた
七日町
この記録は運営主体の発信を含みます。
2019年に事業検討が始まり、2023年にほこみち指定、2026年も粋七の専用サイト開設や地球の歩き方の記事があり継続が確認できる。
何をしたか
山形市中心部の商店街・七日町で、国道112号を「ほこみち」(歩行者利便増進道路)に指定して歩道にベンチとデッキを設け、御殿堰沿いでは「粋七」として、従来の車中心の通過道路を歩行者中心の小径と広場に作り替える事業を進めている。国のウォーカブル推進都市に選ばれた山形市が、地元の商店街振興組合や地域の団体とともに、車中心だった道路空間を歩行者中心の空間へ転換する取り組みを続けている。
誰が始めたか
始めたのは国の制度と、それに応じた山形市である。 山形市によれば、令和元年6月26日、国土交通省の「都市の多様性とイノベーションの創出に関する懇談会」において歩きたくなるまちづくりの方向性が打ち出され、その政策実施パートナーとして「ウォーカブル推進都市」の募集があった。山形市はこの募集に令和2年3月に賛同し、ウォーカブル推進都市になったと同市は伝えている。
七日町での具体的な取り組みは、この後に段階を踏んで進んだ。 山形市の公式ページには、令和3年度から令和7年度まで毎年度分の社会実験(「やまがた Re-v-ing」)の概要PDFが並んでおり、このうち令和3年度・令和4年度・令和6年度分は「七日町大通り」を対象にしたと題名からわかる(令和5年度・令和7年度分は駅前大通りやすずらん商店街、駐車場活用など七日町大通り以外を対象にしたものが中心である)。
制度としての区切りは2023年に来た。 七日町商店街振興組合によれば、2023年3月30日に、東北地方の国道では初めて「ほこみち」(歩行者利便増進道路)に指定された。やまがた街なか情報発信サイト(一般社団法人山形エリアマネジメント運営)も、七日町の国道112号線が「今年の3月に」東北地方で初めて「ほこみち」に指定されたと伝えている。5月31日にオープニングセレモニーが行われ、八文字屋本店からナナ・ビーンズまでの歩道にベンチとデッキが設置されて本格的な活用が始まった。このベンチを作ったのは東北芸術工科大学の学生であると両サイトとも伝えている(七日町商店街振興組合は「デザイン・制作」、やまがた街なか情報発信サイトは「制作した」と書いている)。
同じ2023年に、御殿堰沿いの区画では別の事業も動き出した。 粋七事業の公式サイトによれば、御殿堰沿いを対象とする「粋七」は令和元年度(2019年度)から事業検討が始まっており、令和5年(2023年)3月30日から令和10年(2028年)3月31日を事業認可期間とする沿道整備街路事業(道路整備と土地区画整理を組み合わせた事業)として認可された。山形市によれば、この事業は「小径と余白のあるまち」という考え方のもとで、御殿堰沿いの水辺空間の両側に歩行者用の通路(小径)を設け、その先に人が立ち止まれる広場(余白)を作ることで、これまで車が通り抜けるだけだった道路空間を、人が交流し滞在できる歩行者中心の空間に変えることをねらいとしている。
山形市は、この一連の取り組みを「歩くほど幸せになるまち」という言葉で位置づけている。 地球の歩き方の特派員記事(2026年)も、国土交通省が全国で進める「人中心の街づくり(ウォーカブル推進)」の先進モデルとして山形市のこの挑戦が期待されていると伝えている。
いくらかかったか
ほこみち化と粋七、それぞれの整備費そのものは、今回の出典のどれにも金額として書かれていない。 山形市の粋七の公式サイトや、ふるさと納税特設サイトのページも、事業の内容や事業認可の期間は書いているが、事業費の総額は載せていない。この点はunknown_fieldsに申告する。
額として出典に出てくるのは、隣接する別の再開発事業の数字である。 地球の歩き方の特派員記事(2026年4月4日)によれば、七日町にあった老舗百貨店「大沼」の跡地とビル1棟を含む「七日町第1ブロック東地区」約1ヘクタールを一体整備する再開発事業の総事業費は約300億円で、2040年度までの全体完成を目指しているという。ただしこれは大沼跡地の建物再開発の事業費であり、この記録が扱う「ほこみち」化や「粋七」の道路・広場整備そのものの費用ではない。 同記事は、この再開発を含む山形市の新年度当初予算案について、一般会計の総額が前年度比で11%伸び、1171億4600万円という過去最大の規模になったとも伝えているが、これも市全体の予算であって、七日町の歩行者空間整備に限った額ではない。
真似するなら最低何が必要か
1. 国や広域自治体が用意する「ウォーカブルなまちづくり」の制度枠に、まず参加する。 山形市は令和元年に国土交通省が打ち出した「ウォーカブル推進都市」の募集に令和2年3月に賛同したことが、その後の一連の取り組みの起点になっている
2. 本設の前に、期間を区切った社会実験を複数年重ねる。 山形市公式サイトによれば、「やまがた Re-v-ing(やまがたリビング)」の名で令和3年度から令和7年度まで、七日町大通りやすずらん商店街(パークレット設置)などで毎年度の社会実験を実施しており、2023年の「ほこみち」の本格指定はこの実験の積み重ねの後に来ている
3. 「ほこみち」(歩行者利便増進道路、通称)の指定という制度を使う。 七日町商店街振興組合(2023年6月11日)によれば、令和5年3月30日に東北地方の国道では初めて「ほこみち」に指定され、5月31日のオープニングセレモニーを経て本格運用が始まった(指定した主体は、参照した出典のどれも書いていない)。制度そのものの内容(根拠法令を含む)は、七日町商店街振興組合のページが外部リンク先(ほこみち研究会サイト)に委ねており、参照した出典自体には説明がない
4. 地元の商店街振興組合・エリアマネジメント団体と、情報発信の窓口を分担する。 七日町商店街振興組合は自らのサイトで「ほこみち」開始を伝え、一般社団法人山形エリアマネジメントも別サイトで同じ情報を発信しており、行政だけでなく地元側からも発信されている
5. 道路の拡幅だけでなく、沿道の土地区画整理と組み合わせる。 粋七エリアでは、山形市によれば、単純な道路拡幅では沿道に不整形な土地が残ることを避けるため、街路事業と土地区画整理事業を一体的に行う「沿道整備街路事業」という手法を採っている
6. 地域固有の資源(この場合は水路)をデザインの軸に据える。 粋七は、最上義光公の時代に整備された歴史的な水路「御殿堰」沿いに歩行空間を配置しており、山形市はこれを「小径と余白のあるまち」という考え方でまとめている
今どうなっているか
2026年8月時点で確認できるのは、七日町の歩行者空間化が段階的に続いており、隣接エリアではさらに大きな計画も動いているという状況である。
「ほこみち」に指定された国道112号の区間そのものの利用状況を直接報じた出典は、2023年6月の活用開始の記事以降見当たらなかった。ただし七日町商店街のサイトは、2023年6月の投稿の後も更新が続いており、2026年8月時点の新着情報として「第38回 元祖!七日町一帯ドリンクテーリング大会」(2026年8月15日)や「なのかまちマルシェ『ななまる』」(2026年8月14日・7月20日)の告知が並んでいる。これは「ほこみち」の利用実態そのものを裏づけるものではないが、商店街としての情報発信自体は2026年時点でも続いていることを示している。
御殿堰沿いの「粋七」については、山形市の粋七ページ(本文に2026年7月17日の記述がある)と、事業の公式サイト「粋七 IKINANA」(2025年8月26日更新)によれば、令和9年度(2027年度)の公共空間整備完成を目指して事業が進んでおり、建物の再築は令和6年度(2024年度)から順次始まっている。2026年7月17日には粋七専用のウェブサイトが開設され、出店者情報や空き地・空きテナント情報も発信されるようになったという。
なお、この記録が扱う道路・広場の歩行者空間化とは別に、より大きな計画も動いている。 地球の歩き方の特派員記事(2026年4月4日・6月29日)によれば、大沼跡地を含む「七日町第1ブロック東地区」約1ヘクタールについて、総事業費約300億円をかけ2040年度までに15階建てと7階建ての複合ビル2棟を整備する再開発事業が計画されている。同記事は、この再開発と粋七エリアの整備の両方を、山形市が掲げる「歩くほど幸せになるまち」という同じ目標のもとにある取り組みとして紹介している。この大規模再開発そのものは着工前の計画段階であり、この記録の主題である「ほこみち」化・「粋七」の道路空間整備とは事業の単位が異なるため、金額をこの記録の事業費として扱っていない。
反論・批判の有無について。 今回集めた出典の範囲では、「ほこみち」化や「粋七」に対する批判・反対の報道は見当たらなかった。この記録はself_reported: trueを申告しており、独立した第三者による検証記事は含まれていない(山形県内の地方紙2紙 山形新聞・河北新報はいずれも robots.txt が AI クローラーを拒否しており取得していない)。地球の歩き方の記事は運営主体(山形市・七日町商店街振興組合)そのものではない媒体だが、地元出身の特派員による好意的な紀行文であり、独立した検証報道ではない。
出典
- 居心地が良く歩きたくなるまちなかづくり|山形市公式ホームページ — 山形市(2026-03-27)
- 粋七 ー粋な町 七日町ー|山形市公式ホームページ — 山形市(2023-03-31)
- 事業概要 | 粋七 IKINANA — 粋七(山形市施行の沿道整備街路事業の専用サイト)(2025-08-26)
- 山形市 ふるさと納税特設サイト|粋七エリア整備事業 — 山形市(ふるさと納税特設サイト)(2024-04-09)
- 「ほこみち」がスタートしました|七日町商店街|山形市 — 七日町商店街振興組合(2023-06-11)
- ほこみち~歩行者利便増進道路~が始まりました。 | はい!やまがたでした!| やまがた街なか情報発信 — 一般社団法人山形エリアマネジメント(2023-06-01)
- 【山形】歩くほど幸せになるリビング ―山形市・七日町 2040年からの招待状①― — 地球の歩き方(特派員ブログ)(2026-04-04)
- 【山形】歩くほど幸せになるリビング ―水の町・七日町 2040年からの招待状③― — 地球の歩き方(特派員ブログ)(2026-06-29)
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