車いすで通れる道と施設をユーザー投稿で地図化するアプリ「WheeLog!」を、当事者の織田友理子氏が2017年に始めた
WheeLog!
2017年にアプリをリリースし、2019年に総務省ICT地域活性化大賞優秀賞、2021年に国交省バリアフリー化推進功労者大臣表彰の受賞が決定した。 2024年末時点で総ユーザー数10万人・スポット情報約6万件に達したと歩行空間DX研究会の記事が伝えている。
何をしたか
遠位型ミオパチーを患う織田友理子氏は、2017年に車いすユーザー向けバリアフリー情報アプリ「WheeLog!」をリリースした。ユーザーが車いすで実際に通ったルートをGPSで記録する「走行ログ」と、多目的トイレやスロープの有無など施設ごとの「スポット」情報をGoogleマップ上に投稿し合う仕組みで、車いすでも安心して通れる道や店を可視化する。健常者も参加できる「街歩きイベント」を全国で開催し、情報を蓄積している。
誰が始めたか
2025年2月25日付の「人・ロボットの移動円滑化のための歩行空間DX研究会」の取材記事によれば、進行性の筋疾患である遠位型ミオパチーを患う織田友理子氏は2015年にウィーログのアイデアを構想し、社会に役立つテクノロジー活用の提案を募る「Googleインパクトチャレンジ」というコンテストで最上位の賞を獲得したのち、2年をかけて開発を進め、2017年にアプリ「WheeLog!」のリリースにこぎつけたという。2021年7月11日付の知財図鑑によれば、2015年の同コンテストでの受賞を機に、Googleから開発支援を受けて実現に至ったとしている。2022年5月19日付のASCII.jpによれば、織田氏自身が2018年に運営母体となる一般社団法人WheeLogを立ち上げたとしている。同記事は織田氏を一般社団法人WheeLogの代表理事と紹介している。
いくらかかったか
2022年5月19日付のASCII.jpによれば、織田氏は「経済状況により、得られるバリアフリー情報の格差を生むべきではない」という考えから、多くのユーザーに使われるようになった後もアプリを無料で提供し続けており、ユーザーが任意で寄せる寄付(一口1000円から)でアプリの発展を支えることができるという。同記事によれば、支援者や企業から集まった寄付は、システムの開発や日々の運営にかかる費用にあてているという。2025年2月25日付の歩行空間DX研究会の取材記事では、WheeLog事務局の松下雄一氏が、専属のエンジニアがおらずすべて外注で開発してもらっている状況のため、オープンデータ活用などに向けたシステム改修の資金調達が組織にとって最も難しい部分になりそうだと述べたと伝えている。具体的な年間予算・総事業費は、参照した出典からは確認できなかった。unknown_fields に funding_scale を申告した。
真似するなら最低何が必要か
出典から読み取れる、最低限必要な要素は次の5つである。
①移動した経路を記録する機能と、施設のバリアフリー状況を書き込む機能の両方。 2021年7月11日付の知財図鑑によれば、WheeLog!には、実際に車いすで移動した際の経路や距離・所要時間を残せる機能と、エレベーターやトイレといった設備の有無を場所ごとに書き込める機能があり、Googleマップの位置情報を利用して地図上に表示・共有できるという。
②障害の有無を問わず参加できる設計。 2025年2月25日付の歩行空間DX研究会の取材で、WheeLog事務局の松下雄一氏は、利用者の「7割以上が健常者、歩ける人のユーザー」だと明かし、エレベーターやトイレなどの情報は、車いすユーザーより歩ける人の方がすぐ写真を撮れるぶん投稿しやすい面があると説明している。
③現地で参加者を集めた「街歩きイベント」で、初期のデータを一気に蓄積する仕組み。 2018年1月16日付のNPONewsによれば、東京・吉祥寺で車いすユーザーと健常者合わせて50人ほどが参加したイベントでは、開始前にはほとんど情報がなかったアプリに、3時間ほどのまちあるきでバリアフリースポットや走行ログが数多く記録されたという。
④投稿の質を保つための案内やお手本の整備。 同じ知財図鑑の記事は、投稿する際に気をつけたい視点をまとめた文書や、写真の載せ方の見本を用意することで、情報の質を保つよう工夫していると紹介している。
⑤利用者やスポンサーからの寄付で「無料」を維持する資金モデル。 前節のとおり、2022年5月19日付のASCII.jpは、アプリが多くのユーザーに使われるようになった後も無料提供の方針を変えず、寄付や企業スポンサーからの支援でシステム開発・運営費を賄っていると伝えている。
今どうなっているか
2025年2月時点で確認できたのは、「人・ロボットの移動円滑化のための歩行空間DX研究会」の取材に、WheeLog代表の織田友理子氏と事務局の松下雄一氏が応じた内容である。同記事によれば、2024年末の時点で、WheeLog!の登録ユーザーは合計10万人を超え、投稿されたスポット情報はおよそ6万件にのぼるという。織田氏は、車いすユーザーであれば誰でも知っている日本のインフラにウィーログを成長させたいという目標を語っている。運営側は課題として、ユーザー投稿ベースゆえに情報が網羅的に集まりきらないこと、同じスポットへの重複投稿とその整理、事業者側に完璧でなければという意識があり情報提供に慎重になりがちな点を挙げている。なお2019年3月8日には総務省の「ICT地域活性化大賞2019」で優秀賞の受賞案件に決定し、2021年3月11日には国土交通省の「バリアフリー化推進功労者大臣表彰」の受賞者に決定したと、2021年3月14日付のレスポンス(Response.jp)が報じている(表彰式は同年3月15日に予定されているとされた)。参照した出典の範囲では、否定的な報道や批判は見つからなかった。
出典
- iPhoneで作るみんなのバリアフリーマップ「WheeLog」アプリの挑戦 (1/4) — ASCII.jp(2022-05-19)
- 車椅子ユーザー同士が「行きたい」を後押し。幸福の循環をつくる地図アプリ「WheeLog!(ウィーログ)」 — 人・ロボットの移動円滑化のための歩行空間DX研究会(2025-02-25)
- WheeLog!(ウィーログ):車いすのバリアフリーマップを拡げるアプリ — 知財図鑑(2021-07-11)
- WheeLog!アプリで車いすユーザーと健常者がバリアフリー調査 — NPONews(2018-01-16)
- バリアフリー化推進功労者表彰に「みんなでつくるバリアフリーマップ」 国交省 — レスポンス(Response.jp)(2021-03-14)
- 「ICT地域活性化大賞2019」受賞案件の発表 — 総務省(2019-03-08)
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