大株主だった郡・農協の出資金を返し、農民が1人1票で経営を決める協同組合に転換した
완주로컬푸드협동조합
2014年の協同組合転換から、2019年の運営実態記事、2023年の受賞・売上報道、2026年の定期総会報道まで、複数年にわたる報道が続いている。
何をしたか
完州ローカルフード協同組合は、2012年6月に完州郡・畜協・郡内農協が出資する株式会社形態の農業会社法人「(株)完州ローカルフード」として始まった。しかし大株主の意向に左右される株式会社の構造から脱するため、2013年に畜協・農協・完州郡庁への出資金を全額返還し、2014年1月、出資口数によらない1人1票制の協同組合として再出発した。組合員1,040人が50万ウォン以上を出資し、資本金7億ウォンで発足した。以後、組合員は毎年の総会で予算・決算・役員選任・定款改正を議決し、生産する農家自身が出荷計画や陳列規則を組合で共有しながら運営している。
誰が始めたか
株式会社「(株)完州ローカルフード」を最初に立ち上げたのは完州郡である。 보은사람들(2019年8月8日)によれば、完州郡は2010年にローカルフード育成支援条例を制定し、農家向けの直売関連教育を行ったうえで、2012年4月に국内初のローカルフード店を용진農協に開設、同年6月には完州郡と畜協、各邑面単位農協が出資した農業会社法人「(株)完州ローカルフード」を発足させ、ローカルフード事業を始めた。
経営の意思決定権を農民・職員に移したのは、2013年の協同組合転換である。 同記事によれば、株式会社ゆえに大株主の影響を受けざるを得なかった(株)完州ローカルフードは、2013年、大株主だった畜協・農協・完州郡庁への出資金を全額返還し、出資口数とは関係なく1人1票を持つ、職員と農民のみが出資する協同組合へと転換した。転換を主導した個人や部署の名は出典に書かれていないが、この転換によって、出資者(=議決権を持つ者)は郡・畜協・農協から農民・職員である組合員に入れ替わっている。2014年1月には組合員1,040人が基本出資して協同組合として正式に発足し、その後2023年時点でも理事長は권승환(権承桓)氏であることが、전북도민일보(2023年8月9日)とjif.re.kr(2026年3月30日)の両方で確認できる。
いくらかかったか
出典間で「売上」が指す範囲が異なるため、範囲を分けて記す。
- 協同組合発足時の資本金は7億ウォン。 보은사람들(2019年)によれば、2014年1月、組合員1,040人が50万ウォン以上を出資し7億ウォンの資本金で発足した。同記事の取材時点(2019年)では組合員1,200人・出資金15億ウォンに増えていた
- 完州郡全体のローカルフード直売場の売上(協同組合の直売所6か所+용진農協の直営2か所+4農協のショップ・イン・ショップ〈샵인샵〉方式の売場を合算)は、2018年12月末基準で607億ウォン(보은사람들、2019年)。これは協同組合単体の売上ではない
- 完州ローカルフード協同組合自体の売上は、2022年実績で299億ウォン、来店者135万人(전북도민일보、2023年)。全体売上の90%を農家に還元し、残り10%の手数料で組合を運営していると同記事は伝えている
- 同協同組合の売上は、2025年実績で334億ウォン、営業利益7億ウォン(jif.re.kr、2026年)。3月27日の定期総会でこの実績が報告された
- 改修・店舗の建設費そのものは、参照した3本のどこにも書かれていない。 直売所は完州郡所有の施設を賃借して運営していると보은사람들は伝えている
真似するなら最低何が必要か
1. 大株主(自治体・農協等)の出資金を全額返還し、出資者を農民・職員に絞ること。 보은사람들によれば、(株)完州ローカルフードは2013年、大株主だった畜協・農協・完州郡庁への出資金をすべて返還し、この2つ(自治体資本と大株主の意向)を切り離した
2. 出資口数と無関係な1人1票制を採用すること。 同記事は、この転換によって出資数の多寡にかかわらず組合員が1人1票の議決権を持つようになったと明記している
3. 総会を実際に機能させ、毎年、決算・役員・予算・定款を議決すること。 jif.re.kr(2026年)によれば、2026年3月27日の定期総会では2025年の監査報告・決算、欠損金処理案、役員選任、2026年度事業計画・予算、定款改正案が審議・議決された
4. 出荷・陳列のルールを組合員間で共有し、守らせること。 보은사람들によれば、葉菜類は陳列1日、果菜類2日、根菜類3日、きのこ類2日という陳列期間を共同で約束し、売れ残った品は農家自身が持ち帰るという規則を運用している。販売手数料は農産物10%、加工品15%、巡回集荷車を使う場合はさらに3%を加算する
5. 売上の大半を農家に還元する手数料構造を持つこと。 전북도민일보によれば、売上の90%を農家に還元し、残る10%の手数料で人件費・管理費・施設賃料までをまかなっている
6. 初期の信頼構築に時間がかかることを見込んでおくこと。 보은사람들は、事業初期、農家に「毎週代金が通帳に振り込まれる」と説明したところ、詐欺だと疑われ住民から通報が入ったという当時のエピソードを紹介しており、粘り強い戸別説明と教育が必要だったと伝えている
今どうなっているか
2026年8月時点で確認できた最新の出典は、2026年3月30日付のjif.re.kr(전북먹거리통합지원센터、完州郡庁報道資料の転載)である。 同記事によれば、3月27日に完州郡庁文化芸術会館で組合員約1,000人が参加する「2026年定期総会」が開かれ、2025年の監査報告・事業報告・決算(案)、欠損金処理(案)、役員選任、2026年度事業計画・予算(案)、定款改正(案)が審議・議決された。
総会では、前年(2025年)の売上334億ウォン・営業利益7億ウォンが報告された。 同記事は、厳しい景気状況の中でも実質的な成長を遂げ、全国最高水準のローカルフード団体としての地位を固めたと伝え、完州郡が農林畜産食品部主管「地域食料指数評価」で6年連続大賞を受賞したことに大きく貢献したとしている。理事長は権承桓(권승환)氏で、2023年の전북도민일보の記事と同一人物であることが確認できる。
参照した3本の出典は、農家の1人1票の議決権が具体的にどの議案でどう行使されたか(賛否の内訳等)までは書いていない。 総会で何が議決されたかという議案名は分かるが、投票結果の詳細は今回の出典からは確認できなかった。
出典
- ③완주군 로컬푸드 11년 역사의 중추, 완주로컬푸드협동조합 — 보은사람들(2019-08-08)
- [전라북도 협동조합 탐방] 완주로컬푸드협동조합 — 전북도민일보(2023-08-09)
- [시군소식] 완주로컬푸드, ‘매출 334억 원’ 정기총회 마무리 — 전북먹거리통합지원센터(완주군청報道資料の転載)(2026-03-30)
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