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アルガンオイルの搾油を、モロッコ初の女性だけの協同組合という事業に変えた

Amal Cooperative

モロッコ / マラケシュ・サフィ地方(エサウィラ県) / タマナル

アルガンオイルの搾油を、モロッコ初の女性だけの協同組合という事業に変えた
© SciDev.Net — この写真が載っている記事

1996年の設立から2007年の干ばつ休業を経て、2013年・2016年の現地調査まで、複数の独立した媒体に21年にわたり取り上げられている。

何をしたか

モロッコ南西部、エサウィラの南70キロメートルの町タマナルで、化学者ズビダ・シャルーフ氏の指導のもと、アルガンの実からの搾油作業がモロッコ初の女性だけの協同組合という事業になった。International Journal of Intangible Heritage誌(Huang、2017年)によれば、協同組合Amalは1996年に設立された。SciDev.Net(2014年5月27日)によれば、シャルーフ氏はカナダの国際開発研究センター(IDRC)から得た4年間の研究助成金を使い、1998年にタマナルで最初の協同組合を立ち上げたという。WIPO(2010年11月4日)は、Amalをモロッコで初めて女性だけで運営された協同組合として紹介している。

誰が始めたか

始めたのは、ラバトのモハメッド5世大学の化学教授ズビダ・シャルーフ氏である。SciDev.Net(2014年5月27日)によれば、シャルーフ氏は1986年からアルガンオイルの生産工程と伝統技術の研究を始め、酸化防止物質や抗菌成分などアルガンオイルに特有の分子を発見したという。同記事によれば、氏は読み書きのできない女性たちを集め、彼女たちが所有し運営する協同組合という形で事業を立ち上げることを目指した。WIPO(2010年11月4日)によれば、Amalの構成員は離婚や死別を経験した女性が大半だという。

シャルーフ氏は、非営利団体Ibn Al Baytar(1999年、ラバトに設立)の会長も務めている。SciDev.Netによれば、同団体は国内外の資金提供者からの助成金で運営され、International Journal of Intangible Heritage誌(Huang、2017年)によれば、Oxfam-Quebec・IDRC・欧州連合・モロッコの社会開発機関(Agence de Developpement Social)のプロジェクト、日本とカナダの大使館などから、複数の協同組合の資金確保を支援してきたという。WIPO(2010年)によれば、IDRCの4年間の研究助成金がこの取り組みの出発点になった。

いくらかかったか

Amal単独の設立・運営にかかった総事業費は、参照した3本のいずれにも記載がない。International Journal of Intangible Heritage誌(Huang、2017年)は、シャルーフ氏の2016年の証言として、機材調達の負担から協同組合1つあたりの立ち上げ費用は最低でも4万〜5万ユーロかかると伝えている。同論文はまた、2007年に干ばつで不作となり実の価格が倍増した際、Amalは直前に土地と施設の購入で蓄えていた利益と政府補助金を使い切っていたためこの打撃に耐えられず、半年間休業したと記している。

収入面では、SciDev.Net(2014年5月27日)によれば、協同組合を通じて各世帯は月あたり少なくとも150ユーロ(約207米ドル)を得ており、女性たちの日給はおよそ5〜8米ドルだという。同記事は、協同組合の産業全体が年間2,000万ユーロ(約2,800万米ドル)規模になったとも伝えている。WIPO(2010年11月4日)は、2010年時点で女性たちが協同組合を通じて1日あたり約6ユーロを得ており、これは以前に個人でアルガンオイルを作っていたときの10倍に当たると紹介している。

真似するなら最低何が必要か

この事例から取り出せるのは、次の4点である。

1. 搾油作業の一部だけを機械化すること。 WIPO(2010年11月4日)によれば、実の殻割りは硬さと粒のばらつきから機械化に向かず今も手作業のままである一方、実の粉砕と圧搾という手間のかかる工程は機械化された。同記事はまた、ブルキナファソの別のIDRC事業の図面をもとに改良した焙煎機が作られたこと、Amalなどの協同組合が新しい機械を取り入れて生産を速め、油の質を上げ、油の保存期間を2倍にし、廃棄を減らしたことを伝えている。
2. 収入だけでなく識字教育を組み合わせること。 International Journal of Intangible Heritage誌(Huang、2017年)によれば、1996年時点のモロッコ農村部の女性の識字率は10%であり、識字教育で女性たちの自信を育てるというのはシャルーフ氏の発案だった。 同論文は、他の協同組合もこれに続いたが、こうした教室は次第に途切れ、学んだことを既に忘れたと語る聞き取り対象者もいたと書いている。SciDev.Net(2014年5月27日)も、別の協同組合の運営者の言葉として、構成員の女性が読み書きを学んでいると伝えている。
3. 複数の外部資金源を組み合わせること。 International Journal of Intangible Heritage誌(Huang、2017年)によれば、シャルーフ氏と非営利団体Ibn Al Baytarは、Oxfam-Quebec・IDRC・欧州連合・モロッコの社会開発機関、日本とカナダの大使館など、国内外の複数の資金源から助成を確保した。
4. 不作の年に耐えられる財務的な備えを持つこと。 同論文によれば、Amalは2007年の干ばつで、それまでの利益と補助金を土地・施設の購入に使い切っていたためにこの打撃に耐えられず、半年間の休業に追い込まれた。

今どうなっているか

参照した出典のうち最も新しいのは、Huang氏がInternational Journal of Intangible Heritage誌に2017年に発表した論文である。同論文によれば、Amalを含む3つの協同組合を対象にした聞き取り調査は2013年と2016年に行われており、この時点でAmalの活動が確認できる。もっとも、2007年の休業がいつどのように解消されたのかは、参照した3本のいずれにも記載がなく確認できていない。

同論文がシャルーフ氏の2016年時点の証言として伝えているのは、協同組合の立ち上げ費用(最低でも4万〜5万ユーロ)である。これとは別に、同論文は著者自身の結論として、協同組合の経営面に向けられる関心が薄いこと、油の価格上昇で多くのベルベル人が家庭内で油を使うのを控えるようになっていることを挙げ、いずれもAmal個別の状況というよりアルガンオイル協同組合全体の課題として書いている。1996年の設立から2017年の論文発表まで21年にわたり、国際機関・科学報道・学術誌という異なる3種の媒体がそれぞれ別の年にAmalを取り上げている。

出典

  1. Protecting Society and the Environment with a Geographical Indication — WIPO(世界知的所有権機関)IP Advantage(2010-11-04)
  2. Research turns oil into market hit, empowers women — SciDev.Net(2014-05-27)
  3. Liquid Gold: Berber Women and the Argan Oil Co-operatives in Morocco — International Journal of Intangible Heritage(2017)

最終確認日 2026-09-03

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