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住民が決めるエネルギー・資源循環不明

弱い立場の地区で、脱ガスの工事に社会面の手当てを抱き合わせようとした

Verduurzaming van Kwetsbare Wijken

オランダ / 全国(10自治体) / 10自治体(Amsterdam・Assen・Delft・Den Haag・Geldrop-Mierlo・Groningen・Leeuwarden・Maastricht・Rotterdam・Utrecht)

弱い立場の地区で、脱ガスの工事に社会面の手当てを抱き合わせようとした
© Thea van den Heuvel/Rijksdienst voor het Cultureel Erfgoed(Wikimedia Commons), via Gebiedsontwikkeling.nu — この写真が載っている記事

この記録は運営主体の発信を含みます。

出典[3]は2026年8月に、2019年の最初の報告では拙速と行政の圧力、財政・技術・法の不確かさが統合的な進め方を多くの場合阻んだと総括が書いていると伝えている。3年後の中間報告でも進みは乏しく、2022年に住民の巻き込みと住環境の手直しで前進があったとしている。

何をしたか

オランダの「弱い立場の地区」を対象に、住戸をガスから切り離す工事に、孤立への対処・就学への橋渡し・健康づくりといった社会面の手当てを抱き合わせようとした計画。Gebiedsontwikkeling.nu は2026年に、この種の地区では住民が行政に不信を抱いていることが多いとしたうえで、2018年末に Platform31・Nyenrode・Verwey-Jonker 研究所の旗のもとで始まり、最終的に10の自治体がそれぞれ1つの地区で参加したと書いている。地区は Amsterdam の Wildemanbuurt、Assen の De Lariks、Delft の Multatulibuurt、Den Haag の Zuidwest、Geldrop-Mierlo の De Coevering、Groningen の Selwerd、Leeuwarden の Leeuwarden-Oost、Maastricht の Nazareth、Rotterdam の Pendrecht、Utrecht の Overvecht-Noord である。同記事によれば、重要な着想源の1つはカナダの Sustainable Neighborhood Action Program だった。

誰が始めたか

旗を立てたのは3つの組織である。 Gebiedsontwikkeling.nu(2026年8月3日)は、2018年の終わりに、Platform31・Nyenrode・Verwey-Jonker 研究所の旗のもとでこの計画が始まったと書いている。Platform31(2022年3月10日)は、この実験計画が2018年から2022年まで走り、Platform31・Nyenrode Business Universiteit・Verwey-Jonker 研究所が参加自治体(およびその協力先)とともに、エネルギー転換を弱い立場の地区の暮らしやすさを高めるてこにできるかを調べたものだと書いている。同記事は、その協力先としてNyenrode Business Universiteit と国の Programma Aardgasvrije Wijken を挙げている。

自治体は、途中から加わったところもある。 Gebiedsontwikkeling.nu(2026年8月3日)によれば、最終的に10の自治体がそれぞれ1つの弱い立場の地区を持ち寄って参加を決め、2018年の開始から入ったところもあれば、後から加わったところもある。 ただし参加した自治体の数は出典間で食い違っており、Platform31(2022年3月10日)は18自治体と書いている(discrepancies に並置した)。

国の側の役割も書かれている。 Gebiedsontwikkeling.nu(2026年8月3日)は、国が建物のある環境を天然ガスから離すための政策と手段を用意したと書いている。

発想の中身と、その理屈も出典に載っている。 同記事によれば、地区をガスから離すための投資に、その地区への社会的な投資を併走させるというのがこの計画の考え方であり、社会的な投資の例として挙げられているのは孤立への対処、就学へのより良い橋渡し、健康な行動の後押しである。その背後にあった考えは、それによって住民が行政とエネルギー転換に対して抱く懐疑と不信を取り除けるかもしれず、住民をより過程に巻き込めるかもしれない、というものだったと同記事は書いている。住民の側もそれによってより快適で将来に耐える地区を得ることになる、という理屈である。重要な着想源の1つは、カナダの Sustainable Neighborhood Action Program だったと同記事は書いている。

いくらかかったか

金額は、参照した3本のどこにも書かれていない。 3本すべてを grep で当たったが、予算額・補助金額・自治体の負担・住戸1戸あたりの費用のいずれについても数字は出てこない。 3本のうち2本は実施者 Platform31 自身の刊行物の紹介記事で、そこには費用の記載が無く、独立した1本もこの計画そのものの費用には触れていない。書けるのは、費用が問題になった局面がどこかである。

- 国が「政策と手段」を出したことだけは書かれている。 Gebiedsontwikkeling.nu(2026年8月3日)は、国が建物のある環境をガスから離すための政策と手段を用意したと書いているが、その額は書いていない
- 費用の見通しが立たなくなった時期がはっきり記録されている。 同記事によれば、ウクライナでの戦争が始まると、急速に上がる費用と人手・資材の不足によって事業計画(businesscase)が成り立たなくなった。 Platform31(2023年10月16日)も同じ時期について、人手と資材の不足が増し、それが熱転換の事業計画を圧迫したと書いている
- 1年目の時点で、費用の不確かさが妨げに挙がっている。 Gebiedsontwikkeling.nu(2026年8月3日)は、最終刊行物からの記述として、開始から1年後の2019年の最初の報告では、参加自治体はこの計画の広い射程を受け入れたものの、実務ではただちに数多くの詰まりに突き当たり、「併せて掴む機会」は抽象の水準では見出されたが、拙速と行政の圧力、それに財政・技術・法の不確かさが統合的な進め方を多くの場合阻んだと伝えている
- 住民の側の費用の問題は、別の名で出てくる。 Platform31(2023年10月16日)は、調べた5つの地区でも「エネルギー貧困」に対する介入が行なわれ、差し迫った困窮を和らげ支払いの遅れを防ごうとしたと書いている。同記事は、低い所得の世帯がエネルギーと消費財の価格の急上昇に強く打たれたとしている
- 手間の総量については、記者が問いの形で提起している。 Gebiedsontwikkeling.nu(2026年8月3日)は、この手法が関係者すべてにとって非常に労働集約的だとし、地区がどれほど弱い立場であればこの手法に踏み切るのかという問いは報告書では扱われていないと書き、続きの研究の題材になるかもしれないとしている

真似するなら最低何が必要か

最終刊行物は7つの教訓を挙げている(Gebiedsontwikkeling.nu 2026年8月3日)。以下はそのうち、この計画が実際に躓いた箇所と対応する5つである。

1. 住民が大事だと思っていることから始めること。 最終刊行物の第1の教訓は、熱転換の仕事は弱い立場の地区に住む人の生活世界に接続しなければならないというもので、エネルギー転換の技術的な解よりも、安全・ごみ・暮らしやすさ・支払いやすさのほうが良い出発点だとしている。 これは裏返せば、この計画で自治体の焦点がしばしば狭く技術に引っ張られ、そのために気候適応・生物多様性・持続可能な移動といった他の課題とほとんど結びつかず、地区の社会的な課題には手が回らないことが多かったという総括に対応している
2. 小さくて見える成果を先に置くこと。 第2の教訓は、小さく目に見える改善が信頼を築くのを助け、より大きな段階への道を開くというものである。同記事によれば、自治体は「small wins」の重要性を挙げており、それは住民にとって意味があり、地区に大きな影響や見映えをもたらし、大きな社会的課題にも寄与するような、比較的小規模な活動と投資と説明されている
3. 言葉を共有すること。 第4の教訓は、「koppelkansen(併せて掴む機会)」という語が人によっては居心地の悪さを呼び、とりわけエネルギーの領域の外では距離を作りうるとし、人を実際に動かし結びつける言葉を探すべきだというものである。この計画の中心概念そのものが、現場では通じにくかったという総括である
4. 組織をまたぐ協働に、時間を注ぐと決めること。 第5の教訓は、併せて掴む機会を実らせるには関係者すべてが同じ線に並び、互いに歩み寄る用意があることが要り、組織や政策の領域どうしの(文化的な)違いを橋渡しするには時間と献身が要るというものである。第3の教訓は、役所の実務と首長・議会の両方の水準で、庁内と庁外の双方に協働があること、そして住民の関与を丁寧に組み立てることが、その前提条件だとしている
5. 計画の期間を動かせるようにしておくこと。 第6の教訓は、最も将来に耐える解には長い所要期間が要ることがあるとし、必要なところに政策と実行の余地を作り、計画と段階の割り振りをずらす勇気を持てというものである。第7の教訓は、知識と学びに継続的に投資し、ふり返るための時間と落ち着きと余地を組織することが欠かせないとしている

この計画が実際に前へ進んだ場所は、社会の側ではなく物理の側だった。 同記事は、「併せて掴む機会」が活かされているのは主に物理の領域で、社会の領域ではずっと少ないとし、地下と地上の基盤や公共空間の工事では庁内の部署どうしが互いを見つけやすくなってきたと書いている。その理由として同記事が挙げているのは、時間と費用の面で双方に得があるだけでなく、道路を1度掘り返すだけで済むことを住民が喜ぶという認識が育ったことである。

今どうなっているか

2026年8月時点で確認できた最も新しい記録は、2026年8月3日の Gebiedsontwikkeling.nu の記事である。

計画は最終刊行物をもって締めくくられている。 同記事によれば、最後の締めくくりの刊行物が7月に出た。 ただし同記事は、その内容についての議論は既に2025年の初め、つまり1年半前に行なわれていたと注記している。 同記事は、この計画が7年間で参加自治体にもたらした最も重要な7つの教訓に最終刊行物が行き着いていると書き、それはオランダの中で、持続可能化を弱い立場の地区の社会構造の強化と手を携えて進めたいと今も考えているすべての自治体にとって意味があるとしている。

具体的な結果として書かれているのは、2つの地区の接続である。 同記事によれば、グローニンゲンの Selwerd とロッテルダムの Pendrecht で、最初の住戸が熱供給網につながった。 同記事はこれについて、2025年に下院が定めた集合熱法(Wet collectieve warmte)が自治体により多くの地域的な操舵の余地を与えたことに助けられたとしている。

トーンの変化も記録されている。 同記事は、途中の刊行物が主に過程のぎこちなさを伝えていたのに対し、締めくくりの刊行物には多少の楽観が響いており、具体的な成果が上がっているとしている。 住民との協働についても、「住民を連れていく」から「一緒にやる」へと調子が変わったという記述が引かれている。

ただし、途中の経過は長く停滞として書かれている。 同記事によれば、3年後の次の中間報告でも進みはまだ乏しく、地区の熱転換は技術・財政・法・社会・過程のすべての面で自治体が事前に見積もっていたよりはるかに込み入っていることが分かった。 当時、自治体がとりわけ苦しんでいたのは熱供給網の実現可能性の調査であり、そこにコロナ危機が重なった。2022年には住民を計画に巻き込むことと住環境を手直しすること(配置の組み替えや緑化など)で、いくらかの前進があったとされる。Platform31(2023年10月16日)は、この時期をパンデミック、戦争、エネルギー危機、内閣の崩壊という予期しない出来事が矢継ぎ早に続いた時期として描き、計画的な進め方がたびたび行き詰まったため政策の担い手の即興の力が求められ、その場しのぎの政策も生まれたが前へ進む段階も踏まれたという主要な結論を伝えている。

出典の性格について明記しておく。 3本のうち2本は実施者 Platform31 自身の記事であるself_reported を申告した)。独立した媒体の記事は Gebiedsontwikkeling.nu の1本のみで、この1本もまた最終刊行物の内容を紹介したものであり、参加した自治体や住民に独自に取材した記録ではない。 参加した10地区それぞれで何がどこまで進んだかを地区ごとに追った出典は無く、社会面の手当てが実際に住民の不信を減らしたかどうかを測った数字も、参照した範囲には無い。 同記事の書き手は Gebiedsontwikkeling.nu の編集長である。

出典

  1. Samen naar een duurzame en leefbare wijk — Platform31(2022-03-10)
  2. Wijken verduurzamen in turbulente tijden — Platform31(2023-10-16)
  3. Zeven jaar zoeken naar koppelkansen in kwetsbare wijken — Gebiedsontwikkeling.nu(2026-08-03)

最終確認日 2026-08-19

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