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運河沿いの旧工業地帯に6,000戸を建て、車を街区の縁の地下ハブにだけ置こうとしている

Merwede

オランダ / ユトレヒト州 / ユトレヒト

運河沿いの旧工業地帯に6,000戸を建て、車を街区の縁の地下ハブにだけ置こうとしている
© Gebiedsontwikkeling.nu — この写真が載っている記事

Stadszaken は2025年3月3日に、Merwede の建設が同日に正式に始まったこと、最初の住戸は2027年に引き渡される予定だと伝えている。同記事は都市計画を担当する参事の話として、近年の住宅建設には強い逆風があったが、事業ごとに何が要るかを見る進め方によって着工にこぎつけたと書いている。

何をしたか

ユトレヒトの運河沿いの旧工業地帯24ヘクタールに6,000戸を建て、車を締め出した街区にしようとしている。Stadszaken は2018年2月21日に、3つの不動産事業者が合わせて3億ユーロを投じること、街区の縁でしか駐車できないため車のない区域が生まれることを報じている。Gebiedsontwikkeling.nu は2023年12月1日に、6,000戸に対して駐車場に置ける私有車は1,500台余りにとどまり、代わりに250台の共用車を用意すること、車は街区の縁の地下の「モビリティ・ハブ」にしか停められないことを伝えている。Stadszaken は2025年3月3日に、建設が始まったこと、最初の住戸は2027年に引き渡される予定だと書いている。

誰が始めたか

先に都市再生の計画があり、そこへ不動産の側が土地を買って入っている。 Stadszaken(2018年2月21日)は、不動産の世界の3つの大きな名が、重要な都市再生計画「Merwede Kanaalzone」の枠内でユトレヒトの用地を購入したと書き、ユトレヒト市が住宅需要の増加をめぐる問題に応えるためこの計画を支持していると伝えている。同記事によれば、この地区は Merwedekanaal と Park Transwijk の間にあり、開発される予定の敷地は当時なお12棟の建物からなる事務所地区(Smart Business Park)として使われていた。

市の側の理由は人口の見込みである。 同記事は、ユトレヒトがその時点から2030年までに人口が345,000人から410,000人に増えると見込んでいると書き、住宅担当参事 Paulus Jansen の言葉として、この計画が市として描いてきた戦略に非常によく合っており、数の面だけでなく質の面でもそうだと述べている。

土地所有者は途中で6者・5つの企業連合という形に整理されている。 Gebiedsontwikkeling.nu(2023年12月1日)によれば、地区の狙いを実現するために市は土地所有者の5つの企業連合と公民の集合体を組み、「6者の土地所有者が計画を一緒に考え、定義した」と市の事業管理者は述べている。都市計画の設計は事務所 Bura が担った。

その組み方の理由も、市の側の言葉として書かれている。 同記事で事業管理者は、所有の境界があらかじめ決定的にならない形で、可能なかぎり最善の計画を作りたかったと述べている。 同氏によれば、従来は土地所有者が区画を開発したいときに市に持ち込み、市が同意すれば駐車場と駐輪場の要件一式が渡され、開発業者は公共空間や基盤の整備の費用を市に払う。そうすると全員が自分の区画の中だけで仕事をすることになり、それは地域のためにならないので、ここではそうしたくなかったと述べている。

始まりの年は出典から1つに決められない。 2018年2月21日の記事は都市再生計画が既にあることを前提に書いており、計画そのものの開始年を書いた出典は無いstart_year はこの記事の年を採っている)。

いくらかかったか

最初に出てくる金額は民間の投資額である。 Stadszaken(2018年2月21日)は、英国の投資家 Round Hill Capital、G&S Vastgoed、Boelens de Gruyter の3者が、この街区の実現のために合わせて3億ユーロを投じると書いている。同記事は、この地区が6,000から10,000の住戸を生むという考えだとしている。この時点の戸数の幅は、後の出典の6,000戸と一致していない。

2023年の記事は、この事業の金勘定がどこで詰まるかを詳しく書いている。

- 駐車場は貸すと損が出る前提で作られている。 Gebiedsontwikkeling.nu(2023年12月1日)で市の事業管理者は、駐車場の建設には、とりわけ住宅の事業の中や下に作る場合、多くの費用がかかると述べている。 通常は住戸と一緒に車庫を売って建設費をまかなうが、Merwede では貸し出す駐車枠しかなく、その賃貸は損失を出す項目になる。原価をまかなう水準にすると、住民と共用モビリティの事業者にとって月々の費用が高くなりすぎるからだと同氏は述べている
- その損失を、土地所有者で分け合う取り決めになっている。 同記事によれば、駐車場の建設で出る損失は当事者が分け合い、利益の側も等しく割り振られる。 すべての当事者が駐車枠の一部を提供でき、最初の割り当てではどの住戸に駐車枠を付けるかを各社が自分で決めてよい。 同氏は、価格が相当に高いままなので、私有の駐車枠は当初おもに自由市場の借り手と大きな住戸の購入者に取られるだろうと述べている。 開発業者の側は、大きな住戸を自分のところで買う人は車を欲しがるものだと言っていたという。 同氏によれば、最初の割り当ての後は、申し出た人なら誰でも駐車枠に手が届くとされ、共同の P+R にも駐車枠があり、自転車で5分、低い所得の人にはずっと支払いやすいと同氏は述べている
- 共用モビリティの会社には10年の資金の保証がついている。 同記事によれば、土地所有者はモビリティの構想の采配と、モビリティ・ハブおよび駐輪場の運営を担う会社(Het Mobiliteitsbedrijf)を設立した。 土地所有者はこの会社の株主で、議決権は土地の保有量に比例し、どの決定も集合体として支持されなければならない。 6人の株主はこの会社を10年間資金的に支えることに署名しており、その後は自分の足で立たなければならない。 期限前の離脱は可能だが、離脱の規定は残る運営上のリスクに紐づけられている
- 完成した後の買い手が先に決まっている。 同記事によれば、土地所有者の多くはいずれ不動産を住宅協会・投資家・個人に売るため、そうなるとモビリティの構想への手が離れる。そこで市が完成後にモビリティ・ハブを土地所有者から買い取ることになっている。 同記事は、それによって市は長期的に影響力を保ち、土地所有者の側は駐車の不動産に買い手がいることを確実にできると書いている
- 普段は見えない費用が、この地区では値札になる。 同記事で市の事業管理者は、Merwede が高くつく事業であり、建設だけでなくむしろ使用においてそうだと述べている。 例として挙がっているのが来訪者の駐輪で、路上に十分な余地が無いため大部分を建物の中に収める必要がある。 同氏は、路上に停めるのはほとんど費用がかからないが、駐輪場は安全で清潔でなければならず、監視の人と清掃の費用を払わねばならないと述べている。 ここでは駐輪場の費用も上記の会社が負い、したがって市と民間の土地所有者が分担している。 荷物の受け取りと返却、台車を貸すサービスデスク、宅配ボックスの壁の費用は、将来の建物所有者と住民が地区組織の会費を通じて払う

真似するなら最低何が必要か

1. 区画の境界を越えて計画を一緒に作る枠組み。 ここでは市と5つの企業連合をなす6者の土地所有者が公民の集合体を組み、駐車場の位置・モビリティ・緑をまとめて決めている(2023年12月1日)。その帰結として、ある土地所有者が隣の土地所有者の住戸のための駐車場を建てることになる。 縁にしかハブを置けない以上、すべての土地所有者が駐車場を建てられるわけではないからである
2. 共用モビリティを回す会社と、その資金の期限を決めておくこと。 同記事で市の事業管理者は、Merwede は共用モビリティ無しには成り立たないと述べている。 会社の設立には長年にわたる度重なる協議が要り、この規模でこうした構成はまだ存在しなかったと開発業者の1人は述べている。 同社の代表は、全員が乗り込んだことを思い切ったことだとしつつ、料金や共用車の種類に各社が一緒に影響を及ぼせる利点があり、台数は必要に応じて後から調整できると述べている
3. 完成後に誰が施設を持ち続けるかを、着工前に決めておくこと。 ここでは市がハブを買い取る。もう1つの受け皿である地区組織(gebiedsorganisatie)は地区のための広い区分所有組合のようなもので、物流などを担い、将来の住戸の供給計画に直接結びついている。 同記事によれば、株を住宅協会や投資家に売るときは地区組織の一部も一緒に売られるため、モビリティの会社が10年後に理屈のうえでは倒れうるのに対し、地区組織は残る
4. 配送車が玄関に着けられないことの帳尻を、先に合わせておくこと。 同記事は、Merwede では小型の配送車も戸口まで来られないため、台車の貸し出しと荷物の受け渡し地点が欠かせないと書いている。 地区の管理人とサービス店がそれを回す
5. 公的な役割と私的な役割の境目を、あらかじめ決めておくこと。 同記事によれば、Merwede には公共空間の駐車枠が1つも無く、すべての駐車枠が開発業者の事業の内側にある。 そのため市は許認可と社会的な施設に責任を負いながら、同時に運営収入に責任を負う組織の中で対等な協働の相手でもある。障害のある人の駐車枠を無料にするのは市の方針だが、開発業者の側は、それは構わないが、なぜ自分たちがその費用を負担しなければならないのかと考えたと述べている。 市の事業管理者は、すべてを一緒にやることは質と土地の使い方の面で最も良い結果につながるが組織を複雑にするとし、私的な任務と公的な任務のより硬い切り分けのほうが簡単だっただろうと述べている。 同氏は、何を集合でやらねばならず、何が社会的に重要だから市が担うべきかを事前に決め、そこで直ちに金の取り決めをしておくこともできたとしている
6. 結論を出す時期を先送りにしておくこと。 同記事で市の事業管理者は、持続可能で車の無い地区という高い狙いが考えたとおりに働くかは待つしかないと述べ、決定のすべてがまだ下されておらず、地区ができた後も変わる現実によって決定の見直しが要ることがあるとし、10年後に総括すれば、この込み入った過程が自分たちと住民に何をもたらしたかが分かると述べている

今どうなっているか

2026年8月時点で確認できた最も新しい記録は、2025年3月3日の Stadszaken の記事である。

着工したところまでが事実として確認できる。 同記事によれば、Merwede の建設は同日に公式に始まった。 6,000戸が建てられ、最初の住戸は2027年に引き渡されるとされている。引き渡しはこの時点では将来のことであり、参照した3本のいずれにも引き渡された住戸の記述は無い。 同記事で都市計画担当の参事 Eelco Eerenberg は、近年の住宅建設には相当の逆風があったが、事業ごとに何が必要かを見るユトレヒトのやり方によって、それでも建て始めることができたと述べ、この着工が市にとって節目だとしている。同氏は、この旧工業地帯には10,000人を超える人が住まいを見つけることになると述べている。

以下はいずれも、この記事に載っている設計と約束であって、実現した状態ではない。

- 車の扱い。 同記事によれば、Merwede を完全に車の無い地区にすることで自然のための余地が増えるというのが市の説明で、車が必要な住民は地区の縁のモビリティ・ハブに停める。 物流のハブにはサービスカウンターと、荷物を受け取り返却するための壁が置かれる
- 住戸の幅と用途の混在。 社会賃貸住宅から高級なペントハウスまでを含み、住戸のほかに事務所・学校・店・飲食店、それに地区の集会所が置かれ、互いに歩ける距離に収める
- 緑の扱い。 「緑を、どうしても無理な場合を除いて」という考え方が採られ、屋根の半分以上が緑で覆われ、残りは太陽光パネルになるとされる。Merwedekanaal から隣接する Park Transwijk へ地区を横断する水のつながりが作られ、生態の回廊と水質の改善を担う。 運河沿いには Merwedepark ができる
- エネルギー。 市・開発業者・系統運用者 Stedin は、この地区が系統を意識して建設され、エネルギーの面で自給的になると約束している。 地区の単位でエネルギーの使用が監視される。住戸は集合的な蓄熱・蓄冷(WKO)で暖冷房され、そのために Merwedekanaal の水などが使われる。 市によればこの規模でこの方式が使われている場所はオランダに他に無い。 住戸は最低でもエネルギーラベル A+ とされ、それによって系統の混雑があってもなお建てられるとされている
- 住民どうしのつなぎ。 すべての住民が Merwede のアプリにつながり、他の住民と連絡が取れるとされる

2023年時点の説明も、まだ計画の段階のものだった。 Gebiedsontwikkeling.nu(2023年12月1日)は、24ヘクタールの細長い帯に6,000戸が建つが、駐車場に置ける私有車は1,500台余りにとどまり、代わりに250台の共用車が置かれると書いている。 同記事によれば、住戸まで車で乗り入れられるのは引っ越しなど例外的な場合に限られる。 同記事はこの構想の位置づけについて、同社の代表の言葉として、アムステルダムの Strandeiland ではハブと共用モビリティが区画の単位で解かれており、それは自分たちのように地区の単位で中央に組織するより効率も柔軟性も低いという見方を伝えている。

出典の性格について明記しておく。 3本はいずれも建設が始まる前後の業界向けの媒体の記事である(Stadszaken 2本、Gebiedsontwikkeling.nu 1本)。2018年と2025年の2本は投資の発表と着工の発表に沿った内容で、独立した取材の厚みがあるのは2023年12月1日の1本である。 その1本も、話し手は市の事業管理者・開発業者・モビリティ会社の代表という当事者3者である。住民の側の記録はまだ存在しえない。 参照した3本のいずれにも、この地区の事業費の総額(2018年の民間3社の投資額3億ユーロを除く)、市の負担額、住戸の価格帯は書かれていない。

出典

  1. 300 miljoen voor nieuwe wijk in Utrechtse Merwedezone — Stadszaken.nl(2018-02-21)
  2. De auto's de wijk uit, zo doen ze dat in Merwede — Gebiedsontwikkeling.nu(2023-12-01)
  3. Eerste paal de grond in voor duurzame nieuwbouwwijk Merwede Utrecht — Stadszaken.nl(2025-03-03)

最終確認日 2026-08-19

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