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地震で住めなくなった川沿いの住宅街を、土地の移管を経て歩行者・自転車の回廊に変えていく30年計画

Ōtākaro Avon River Corridor

ニュージーランド / カンタベリー地方 / クライストチャーチ市

地震で住めなくなった川沿いの住宅街を、土地の移管を経て歩行者・自転車の回廊に変えていく30年計画
© The Press(Stuff) — この写真が載っている記事

2019年に30年計画が承認された後、2023年8月に土地所有権が国から市へ移管され、2026年6月には区画の売却をめぐって議会と住民の意見が分かれている。

何をしたか

クライストチャーチ東部を流れるŌtākaro川(アヴォン川)沿い、602ヘクタール・約5,000戸分の被災住宅地は、2010年・2011年のカンタベリー地震で住めない土地とされた(NZ Herald 2019年8月23日)。国はここを30年かけて再生する「Ōtākaro Avon River Corridor Regeneration Plan」を2019年8月23日に承認した(同)。計画の承認前、2017年には市議会がすでに堤防沿いに暫定の自転車道を設ける案を示していた(The Press 2017年2月9日)。Chris Lynch Media(2023年4月26日)によれば、市中心部から海(ニューブライトン)まで11kmを結ぶ歩行者・自転車専用路「City to Sea Pathway」は、この再生計画の柱の一つとして、2023年4月時点で設計案が公表されていた。

誰が始めたか

案を最初に出したのはクライストチャーチ市議会で、2017年2月、地域再生機関Regenerate Christchurchが作成していた再生計画の草案への意見として、堤防沿いを通る暫定の自転車道を提案した(The Press 2017年2月9日)。同記事によれば、市の中心部や他の郊外での暫定的な取り組みは国際的な関心を集め、恒久の設備になったものもあると市の意見書は述べている。

正式な計画は政府大臣が承認するもので、2019年8月23日に「Ōtākaro Avon River Corridor Regeneration Plan」として確定した(NZ Herald 2019年8月23日)。被災した土地はクラウン(国)が自主的な買い取りにより取得し、解体・撤去を進めた。8,000戸を超える不動産がこの方法で取得・撤去されたと、市全体のレッドゾーンについてRNZは伝えている(RNZ 2023年8月3日)。

土地の所有権は長くクラウンが持っていたが、2023年8月3日、ダリントンでの式典でクライストチャーチ市長フィル・マウジャー氏と土地情報担当大臣デイミアン・オコナー氏が、Ōtākaro Avon River Corridor沿いの被災地の土地を国から市へ完全に移管したことを発表した(RNZ 2023年8月3日)。同記事によれば、ブルックランズ・サウスショア・サウスニューブライトン・ポートヒルズの各再生エリアの土地の移管は3年前にすでに始まっていたが、回廊内だけで5,500件の不動産登記があり、権利関係の整理に時間がかかったと市長は述べている。

いくらかかったか

出典からは、計画全体の総事業費を確認できなかった。個別の事業については、ダリントンに設ける歩行者・自転車橋がクライストチャーチ地震アピール基金(Christchurch Earthquake Appeal Trust)の資金でまかなわれることが分かっている(Chris Lynch Media 2023年4月26日)。

土地の移管そのものについて、マウジャー市長は、市はその土地を無償で取り戻したと述べた一方、国がその土地を市に返せる状態にするまでにかけた労力と費用は大きな仕事だったとも述べている(RNZ 2023年8月3日)。具体的な金額は、この記事には出ていない。

真似するなら最低何が必要か

第一に、被災した土地の買い取りから権利関係の整理まで、数年単位の時間がかかることを見込んでおくこと。RNZ(2023年8月3日)によれば、回廊内だけで5,500件の不動産登記があり、市長は土地開発の経験から、地役権を消していく作業にどれほど時間がかかるかを知っていると述べている。

第二に、本体の計画が固まる前に、暫定的な使い方を先に走らせられること。市議会は、2019年の正式な計画承認より2年半以上前の2017年2月の時点で、すでに堤防沿いの暫定自転車道を再生計画の草案への意見として提案していた(The Press 2017年2月9日)。同記事は、こうした暫定的な取り組みが国際的な関心を集め、中には恒久化したものもあると述べている。

第三に、国と自治体のどちらが土地を持ち、いつ移すかを先に決めておくこと。土地情報担当大臣は、土地の移管完了を「大きな前進」と述べ、住宅用途ではなく、住民が考えたさまざまな用途に使える状態で地域に戻ったと説明している(RNZ 2023年8月3日)。

第四に、歩行者・自転車路の整備だけでなく、そこにあった既存施設の移転先も計画に組み込むこと。Chris Lynch Media(2023年4月26日)によれば、カーズリーチではボートを使うスポーツクラブの施設を川の対岸に移す計画があり、そのためには市の地区計画の変更手続きが必要になるとされている。

第五に、空いた跡地の使い道について、住民の意見が割れることを織り込んでおくこと。The Press(2026年6月23日)によれば、ダリントンの450平方メートルの一区画を売却する案に、反対する住民運動が起きている。

今どうなっているか

2026年6月時点で確認できたのは、同月23日のThe Pressの報道までである。

2023年4月26日の時点では、11kmの「City to Sea Pathway」やダリントンの橋、ベクスリーの汽水域の湿地などの設計案が公表され、建設は次の夏に始まる見込みと説明されていた(Chris Lynch Media 2023年4月26日)。同年8月3日には、被災地の土地所有権の国から市への移管が完了し、市長は式典で、歩道が仕上がるのを楽しみにしていると述べた(RNZ 2023年8月3日)。歩行者・自転車路そのものが完成し利用が始まったことを確認できる出典には、まだ到達していない。

2026年6月23日のThe Pressの報道では、ダリントンの一区画(マンディーズ道13番地、450平方メートル)を、市議会が売却できるようにするかどうかを検討していることが伝えられている。土地を売ることには異論があり、それを止めようとする住民運動があると同記事は述べている。

出典

  1. Cycleway proposed along Christchurch's Avon River through the red zone — The Press(Stuff)(2017-02-09)
  2. Earthquake-hit Christchurch red zone's makeover plan approved — NZ Herald(2019-08-23)
  3. New Regeneration Projects Set to Transform Christchurch's Ōtākaro Avon River Corridor — Chris Lynch Media(2023-04-26)
  4. Government completes Christchurch red zone transfer to council — RNZ(2023-08-03)
  5. Christchurch council to consider first sale of river corridor red zone land — The Press(Stuff)(2026-06-23)

最終確認日 2026-09-03

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