6〜10歳に大学生が5回ひと組の講座を届け、企業訪問と学校まわりの緑地案の競技を組み合わせた市と大学の事業
Przedsiębiorcze Dzieciaki
2025年2月5日の記事は、6つの版で2千人近い子どもが86の学級から参加し、115の企業と創造産業の担い手が関わり、166回の集まり・講座・企業訪問があったと書いている。
何をしたか
6〜10歳の子どもに向けた事業で、出典は2018年から行われていると書いている。進めているのはルブリン市とマリ・キュリー=スクウォドフスカ大学(UMCS)教育心理学部である。市内の幼稚園と小学校が対象で、およそ350人が無料の講座に出る。講座は12〜15の組に分かれ、1つの組は5回の集まりからできている。進めるのは研修を受けた同学部の学生で、ビジネスマン山羊という登場人物が全回に付き添う。子どもは市内の企業や創造産業の担い手を訪ね、ポーランド国立銀行が貯蓄と中央銀行の働きの回を受け持つ。参加校は学校まわりの緑の空間の案を競う催しにも出られる。2025年2月の記事は、上位2案を市が実現し各案に3万ズウォティを充てると未来形で書き、同年4月の記事は、参加校が案を作っていると現在形で書いたうえで、勝つ2案(Dwie zwycięskie koncepcje)を市の緑地・公共事業局が実現し各案が3万ズウォティの助成を受けると未来形で書いている。どの案が選ばれたかを書いた出典も、実現したかどうかを書いた出典も無い。
誰が始めたか
誰が着想したのか、なぜ2018年だったのかを書いた出典は無い。 4本を通しで読み、pomysł・inicjat・geneza・powsta・założ・autor・twórc で検索したが、始まりの経緯にあたる記述は出てこない。分かるのは、行っているのが誰かということだけである。
行っているのは市と大学の2者である。 Lubelski Serwis Informacyjny は2024年2月13日に、実施主体をルブリン市役所(文化局のうち、起業と創造産業の振興および企業との協働を担う係)とマリ・キュリー=スクウォドフスカ大学(UMCS)教育心理学部の2つだと書いている。Dziennik Wschodni は2025年2月5日に組織者を「ルブリン市と UMCS 教育心理学部」とし、同年4月23日には「市が UMCS 教育心理学部および地域の諸機関と協働して行う」と書いている。市の側の窓口の書かれ方は揃っていない。 Polskie Radio Lublin の2023年12月11日の記事では、市の戦略・起業局の副局長 Monika Król が市の側から発言している。
市の側は、この事業を市の戦略に結びつけて説明している。 市長 Krzysztof Żuk は2024年2月13日に、ルブリン2030戦略に、知識・創造性・企業家精神が市の条件であり、それを就学前と学校の段階から育てると書き込んだと述べている。副市長 Beata Stepaniuk-Kuśmierzak は2025年2月5日に、ルブリン文化戦略2030+ に沿って、動きの速い労働市場で鍵になる力の育成を支えていると述べている。
同じ枠組みがウクライナのルーツクでも行われている。 2024年2月13日の記事によれば、姉妹都市ルーツクで第3版が同じ考え方で行われており、違うのはマスコットだけである(ルブリンはビジネスマン山羊、ルーツクは Klikun – Przedsiębiorca)。ルーツクの実施主体はルーツク市役所・レーシャ・ウクラインカ記念ヴォルィーニ国立大学・Fundacja Efekt Dziecka だとされる。
いくらかかったか
事業そのものの費用は、参照した4本のどれにも書かれていない。 4本とも通しで読み、zł・budżet・koszt・mln・tys. で検索して確かめた。
額が出ているのは、付随する競技のほうである。 Dziennik Wschodni は2025年2月5日に、学校まわりの空間の案のうち上位2案について市が各3万ズウォティを充てると書いている。同年4月23日の記事は、勝つ2案を市の緑地・公共事業局が実現する予定であることと、各案が3万ズウォティの助成を受ける予定であることを2つの文に分けて書いており、助成の出し手はこちらの記事には書かれていない。 どちらも掲載日より後の予定として書かれている。
対象の数は年によって違う。 2024年2月13日の記事では、この競技(同年が初回)で3校が選ばれうる(wyróżnione mogą zostać 3 szkoły)とされ、賞は学校まわりの3か所の設計と実現だと書かれている。2025年の2本は2案としている。
もう1つの競技には金額が書かれていない。 2024年2月13日の記事は、毎年行われる「Szkolne przestrzenie kreatywne」を、視聴覚文化財団「Beetle」と共同で行うとし、賞は校内に創造のための空間をつくることだとしている。
参加する側の負担については、無料であることだけが分かる。 2025年4月23日の記事は、子どもが出る講座を無料(bezpłatnych)と書いている。2024年2月13日の記事によれば、参加する企業の側は、子どもの訪問を無償で受け入れることを約束する。
真似するなら最低何が必要か
1. 講座を進める人の供給元を、あらかじめ決めておく。 2025年4月23日の記事によれば、無料の講座を進めるのは研修を受けた UMCS 教育学の学生である。同記事は、市役所と UMCS が、就学前教育と低学年教育に就こうとしている学生と現職の教員に向けた研修も行っていると書いている。進める人を育てる側の回路が、事業の一部として組まれている
2. 1組の流れを固定する。 同記事によれば、講座は12〜15の組に分かれ、1つの組は5回の集まりからできている。5回の題も決まっていて、山羊との顔合わせ、起業という難しい言葉、私の情熱と才能、企業訪問、自分の会社をつくる実験、の順である。参加はおよそ350人
3. 企業に求めることを1つに絞る。 2024年2月13日の記事によれば、参加できるのはルブリン市内で事業を営む企業と創造産業の担い手で、約束するのは子どもの訪問を無償で受け入れることである。寄付でも講師派遣でもなく、受け入れ1回という形になっている
4. 全回に付き添う登場人物を1つ置く。 ビジネスマン山羊が講座の主人公として全回に付き添う。ルーツクでは同じ設計のまま、マスコットだけが差し替えられている。設計は移せて、顔だけ土地に合わせられるという形である
5. 回の一部を外の機関に任せる。 2025年4月23日の記事によれば、ポーランド国立銀行が貯蓄と中央銀行の働きの回を受け持つ。2024年2月13日の記事によれば、校内の創造空間の競技は視聴覚文化財団「Beetle」と、学校まわりの緑の空間の競技は市の緑地・公共事業局と組んで行われる
6. 締めくくりに、形の残るものを置く。 2025年4月23日の記事は、6月の締めくくりの会で、各組が作った断片を合わせたルブリン市の模型が示される予定だと書いている。ただしこれは予定としての記述で、実際に行われたかを書いた出典は無い
今どうなっているか
2026年8月時点で確認できた最も新しい記録は、2025年4月23日の Dziennik Wschodni である。この日の記事は、ルブリンの第45幼稚園の組がこの事業の一環で市の山羊の館を訪ね、市の紋章と町そのものの歴史を遊びを通じて知ることができたと伝えている。2026年の版が行われたかどうかを書いた出典は無い。
累計の数字は2つの時点で出ている。 2024年2月13日の記事は、5つの版で1,600人を超える子どもが71の学級から参加し、84の企業と創造産業の担い手が関わり、135回の集まり・講座・企業訪問があったとしている。2025年2月5日の記事は、6つの版で2千人近い子どもが86の学級から参加し、115の企業と創造産業の担い手が関わり、166回の集まり・講座・企業訪問があったとしている。数える範囲(版の数)が違うので、この2つは食い違いではない。
確認できていないことが2つある。 1つは、学校まわりの緑の空間の競技でどの案が選ばれ、それが実現したかである。2025年の2本はどちらも実現を未来形で書いており、結果を報じた出典は無い。もう1つは、この事業が子どもの側に何をもたらしたかである。参加した人数・学級数・企業数・回数は出てくるが、それ以外の測り方を書いた出典は、参照した4本のどこにも無い。
出典
- Lublin i przedsiębiorcy. Jak wyglądała współpraca podczas Europejskiej Stolicy Młodzieży? — Polskie Radio Lublin(2023-12-11)
- Miasto Lublin zaczyna VI edycję projektu „Przedsiębiorcze Dzieciaki” — Lubelski Serwis Informacyjny(2024-02-13)
- "Przedsiębiorcze Dzieciaki". Jutro rusza rekrutacja — Dziennik Wschodni(2025-02-05)
- Historia herbu i Lublina. Przedsiębiorcze dzieciaki odwiedziły lubelskiego koziołka — Dziennik Wschodni(2025-04-23)
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