Terroirすべての記録このサイトについて探している事例

人を呼ぶ商店街・市場25万超

老朽化していた公設市場の一部を雑誌社が20年契約で借り受け、雑誌の編集部がキュレーションした飲食店だけを集めたフードホールにした。残る空間で生鮮市場を存続させたが、小規模な独立系小売店の営業許可を巡って運営会社との紛争が続いている

Mercado da Ribeira

ポルトガル / リスボン県 / リスボン市(カイス・ド・ソドレ地区)

老朽化していた公設市場の一部を雑誌社が20年契約で借り受け、雑誌の編集部がキュレーションした飲食店だけを集めたフードホールにした。残る空間で生鮮市場を存続させたが、小規模な独立系小売店の営業許可を巡って運営会社との紛争が続いている
© Mesa Marcada — この写真が載っている記事

2025年9月と10月、伝統的な小規模小売店の営業許可を巡り運営会社と出店者の紛争が報じられた。決着は出典からは確認できない。

何をしたか

2010年、リスボン市が老朽化した市営市場「メルカド・ダ・リベイラ」の改修コンセッションを公募した。ポルトガルの雑誌『Time Out』を出すTime Out Lisboa社が唯一の応募者となり、建物の1階半分と2階全体(5,000平米超)を20年間運営する権利を得た。生鮮市場としての機能を一部残しながら、雑誌の編集部がキュレーションした飲食店だけを集めたフードホール「Time Out Market」を2014年5月に開いた。

誰が始めたか

公募を出したのはリスボン市(自治体)で、応募したのはTime Out Lisboaの1社のみだった(Público、2014年5月14日)。同社は雑誌『Time Out』のリスボン版を出す会社で、当時のディレクターJoão Cepedaが「世界でこれまでに例のない、3次元の編集プロジェクトの第一段階」と語ったと報じられている。運営会社は現在Time Out Plcの子会社MC – Mercados da Capital, Ldaで、同社は市場のもう半分を今も運営している(Mesa Marcada、2025年9月30日)。2021年と2025年の出典に登場する統括責任者はディレクターのAna Alcobia。

いくらかかったか

開業時点の報道(Público、2014年5月14日)は投資額を500万ユーロ、直接雇用の創出見込みを300人超と伝えた。11年後の2025年、運営会社は声明(Mesa Marcada、2025年10月2日が報じた)で、2013年に700万ユーロ超を投資し600人分の雇用を生んだと主張しており、投資額は出典間で食い違う(discrepancies参照。2014年の記事は開業時点の見込み額、2025年の声明は運営会社自身が11年後に振り返って述べた額で、同じ改修工事を指しているのか出典からは判別できない)。同じ2025年の声明は、Pigmeuが借りている区画(複数)の賃料をそれぞれ月額約150ユーロとし、これは飲食業ではなく独立系生産者向けの賃料水準だとしている(他の伝統的小規模店の賃料水準についてはこの出典からは分からない)。新型コロナウイルスの流行では2020年3月〜7月と同年11月からの計2度、飲食エリアを一時休業し、休業中はテナントの賃料を免除した。運営会社自身も公的支援をほとんど受けられないまま施設の維持費を負担し続けたと、ECO(2021年12月23日、Ana Alcobia氏の発言として)は伝えている。

真似するなら最低何が必要か

自治体が所有権を保ったまま、改修と運営を担う事業者を長期(このケースは20年)のコンセッションで公募する枠組みが土台になっている(Público、2014年5月14日)。応募する側には、500万〜700万ユーロ規模(出典により異なる)の改修投資を自ら賄える体力が要る。この事例の独自性は、出店者を雑誌の編集部が選ぶ「キュレーション」機能にあり、単なる貸し場所ではなく雑誌の編集企画として売り出した(Público、2020年11月9日は「curadoria de uma revista」、ECO、2021年12月23日は「curadoria editorial」と表現している)。

もう一つ必須なのは、既存の生鮮市場機能をどう残すかの取り決めだ。この事例では建物の残り半分で伝統的な市場が営業を続けた。なお、フードコートに含まれない独立テナント(2階のPap'Açôrdaなど)は、フードコート休業の対象外として、コロナ休業時も営業を継続している(Público、2020年11月9日)。ただし、フードコートの範囲や小売・飲食の境界線を契約時点でどこまで厳密に定めるかが最大の落とし穴になっている。 2021年に旧テナント(Freixo do Meio)の区画で開業した小規模有機食品店Pigmeu da Ribeiraは、座席での飲食提供が「小売」の範囲か「飲食業」の範囲かを巡って2022年以降に運営会社側と対立し、2025年には市がライセンス失効を通告する事態にまで発展した(Mesa Marcada、2025年9月30日・10月2日)。運営会社側は、伝統的な生鮮販売を独立系の小規模生産者が担い続けることは欠かせないと述べる一方、Pigmeuの営業実態を「実質的に飲食業」だと主張し、非競合条項違反に加えて、自社の名称「Time Out Market Lisboa」をPigmeuが住所表記などで無断使用し、自社の評判を不当に利用していると訴えている(商標侵害という法的主張ではなく、名称の無断使用・評判の毀損という主張。Mesa Marcada、2025年10月2日)。真似するなら、こうした「小売」と「飲食」の境界、および名称の使用範囲を、紛争が起きる前に書面で厳密に定めておく必要がある。

加えて、危機時の対応(コロナ休業中のテナント賃料免除)と、紛争が起きた場合の解決経路(この事例では裁判・請願・市議会への提起が並行して使われたが、2025年10月時点の出典では決着していない)も、運営を長く続けるうえで必要になる。

今どうなっているか

2026年8月時点で確認できる最新の出典は2025年10月2日のもの(Mesa Marcada)である。2025年8月、リスボン市(CML)は小規模有機食品店Pigmeu da Ribeira(2021年開業)に対し、「300件の違反」を理由にライセンスの失効を通告した。店主のMiguel Peres氏は違反通知を受け取ったことがないと主張し、運営会社Time Out Marketが市長Carlos Moedas氏に直接ライセンスの縮小を働きかけたと訴えて、150人以上の賛同を集めた請願を出した(Mesa Marcada、2025年9月30日)。2日後、Time Out Marketは声明でPigmeuとの契約・商業関係を否定し、逆に非競合条項違反と店舗名の不正使用を主張した(同、2025年10月2日)。市当局(CML)自身の見解はどちらの記事にも引用されておらず、対立の決着は出典からは確認できない。

これより前、2021年12月時点では、運営会社は2019年の年間来場者数を400万人(うち3割が地元客)とし、新型コロナ流行後に落ち込んだ日次来場者数が5,000〜6,000人まで回復していると述べていた。同時点でポルトの新店舗開業(2022年後半予定)を計画していると語っていたが、実際に開業したかどうかを裏付ける出典はこの記録では確認できていない(ECO、2021年12月23日)。

出典

  1. Time Out Lisboa inaugura o seu Mercado da Ribeira — PÚBLICO(2014-05-14)
  2. Time Out encerra temporariamente o seu Mercado da Ribeira — PÚBLICO(2020-11-09)
  3. Lisboa não se deve posicionar no turismo de massas, diz diretora-geral do Time Out Market — ECO(2021-12-23)
  4. Há um novo Pigmeu no Mercado da Ribeira — Mesa Marcada(2023-09-01)
  5. Pigmeu da Ribeira ameaçado de expulsão do Mercado da Ribeira por 300 contraordenações que diz nunca ter recebido — Mesa Marcada(2025-09-30)
  6. Time Out Market responde ao Pigmeu: "11 coisas que se esqueceu de referir na petição" — Mesa Marcada(2025-10-02)

最終確認日 2026-08-31

この記述は間違っていますか。受け取ってから2週間以内に、直すか直さないかを返します。

この記述について訂正を申し立てる

絞り込みや地図から探す(対話版)