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治安の死角だった老朽商業ビルを2016年に爆破解体し、地下駐車場や擁壁を残したまま水盤を敷く広場にして、車道を渡らず行き来できる歩行空間にした

河樂廣場

台湾 / 台南市 / 台南市中西區

治安の死角だった老朽商業ビルを2016年に爆破解体し、地下駐車場や擁壁を残したまま水盤を敷く広場にして、車道を渡らず行き来できる歩行空間にした
© ETtoday房產雲 — この写真が載っている記事

2021年時点で、開幕から約1年後の渇水による断水や、水道水利用・遺構の白色塗装への批判を公視とCLABOが報じている

何をしたか

台南市中西区で、1980年代に建てられ、2011年の映画館閉館以降とくに空洞化して治安の死角となっていた複合商業ビル「中国城」を2016年に爆破解体した。地下駐車場や擁壁など既存の躯体を保存したまま、下に沈む曲面の水盤を敷いた広場「河樂廣場」を2020年3月に開き、広場を分断する金華路の下を歩行者が通れるようにして、車道を渡らずに広場の両側を行き来できるようにした。

誰が始めたか

2015年、当時の台南市長・賴清德が「運河星鑽」計画の実施を発表し、中国城を取り壊す方針が定まった(台灣英文新聞2020-03-06、CLABO実験波2021-03-24)。台南市政府はこれとあわせて設計競技「府城軸帶地景改造競圖」(CLABO実験波2021-03-24は「國際」を含む「府城軸帶地景改造國際競圖」と表記)を実施し、オランダのMVRDV・台湾の都市里人規劃設計有限公司(The Urbanists Collaborative)・李麗如建築師事務所(LLJ Architects)の案が採用された(建築師雜誌2020年9月号、設計チーム寄稿)。

解体・整備の実務は台南市政府都市発展局が担った。後任の黃偉哲市長は3月7日の正式開放を控えた2020年3月6日、この広場を「親水空間」と評するコメントを公視新聞網に寄せている。中国城は前後2棟に200戸超の所有権者がおり、都市発展局長・莊德樑氏はShoppingDesignの取材(2020-04-24)に対し、反対する住民を1軒ずつ訪問して説明し、現地に常駐の窓口を置いて約1年をかけて全員の同意を取り付けたと述べている。ただし解体前の2016年1月23日には、立ち退き対象の一部店舗が補償額の低さに抗議する垂れ幕を掲げたこともCLABO実験波(2021-03-24)は記録している。

いくらかかったか

台灣英文新聞(2020-03-06)は建設費を新台幣1億4,000万元と報じた。いっぽう設計チームが建築師雜誌(2020年9月号)に寄せた作品紹介では、工程造価を新台幣151,596,984元としており、両者の額は一致しない(discrepancies参照)。

用地の買収については、都市発展局長が中国城の敷地とその対岸の私有地をあわせて「跨区段徴収」(区域を横断した土地区画整理・収用の仕組み)にかけ、その売却益を200戸超の元の権利者への補償に充てたとShoppingDesignの取材(2020-04-24)で説明しているが、買収そのものにかかった総額は、参照した出典のどれにも記載がない。

真似するなら最低何が必要か

最も重い条件は、私有地の権利者全員から同意を得ることである。中国城は前後2棟で200戸超の所有権者がおり、台南市都市発展局は反対する住民を1軒ずつ訪問して説明し、現地に常駐の窓口を置いて約1年をかけて全員の同意を取り付けた(ShoppingDesign 2020-04-24、都市発展局長・莊德樑氏の説明)。買収資金は、対象地とその対岸の私有地をあわせて「跨区段徴収」にかけ、その売却益を補償に充てる形で用意された(同)。それでも解体には反発があり、2016年1月23日には立ち退き対象の一部店舗が補償額の低さに抗議する垂れ幕を掲げている(CLABO実験波 2021-03-24)。

設計は前述の設計競技で選び(建築師雜誌2020年9月号)、開幕後は3か月の「圧力測試期」(ストレステスト期間)を設けて、初期に出た問題に対応した。たとえば機車(バイク)の駐輪スペース不足には、1週間のうちに170台分を増設して対応している(ShoppingDesign 2020-04-24)。

水盤は自然の川水ではなく、循環ろ過した水道水を使う設計で、雨水を主な水源としつつ渇水期には自来水(上水道)で代替し、デング熱の流行期には水位を2センチまで下げる、あるいは断水することもできる仕様になっている(同、都市発展局長の説明)。この水道水利用について、台南社区大学の研究者・晁瑞光氏は「民生用水の無駄遣いだ」と公視新聞網(2021-02-17)に述べ、かつて運河に注いでいた「五条港」の水系を引く案を提案している。

解体後に残した中国城の遺構は、すべて白く塗装されている。この処理についてCLABO実験波(2021-03-24)は、剥落した断面など解体工事の痕跡ごと同じ白で塗り込めることで「過去を封印する結界のよう」になっており、「歴史的意義のある建築を残す」という趣旨と自己矛盾していると指摘している。これらの批判に対する都市発展局側の直接の反論は、参照した出典の中には見当たらなかった。

今どうなっているか

2021年時点で確認できる最新の記録は、公視新聞網(2021-02-17)とCLABO実験波(2021-03-24)による。台南の渇水を受けて広場は2020年11月下旬から給水を止めており、潟湖だったはずの水盤は水のない広場になっていたと両出典は伝えている。水のない状態でも、もとの潟湖部分の両脇の空地にまばらに座って過ごす住民の姿があったとCLABO実験波は伝えている。

地下通路沿いの店舗区画については、開幕から1か月余りが経った時点でも営利目的の民間事業者は決まっておらず、市は非営利の方向での公共活用を検討中だとShoppingDesign(2020-04-24)は伝えていた。それ以降、どの事業者が入ったか、給水がいつ再開したかを確認できる出典は、今回参照した範囲にはない。

出典

  1. 台南中國城經4年改建 河樂廣場明啟用 | 公視新聞網 PNN — 公視新聞網(公共電視)(2020-03-06)
  2. 台南新景點「河樂廣場」 親水公園理念受質疑 | 公視新聞網 PNN — 公視新聞網(公共電視)(2021-02-17)
  3. 並未華麗轉身的舊現場,如何/是否與新場域對話:河樂廣場的觀察與反思 — CLABO實驗波(臺灣當代文化實驗場)(2021-03-24)
  4. 台南「河樂廣場」誕生幕後:土地徵收難題如何解決?壓力測試期之後的規劃? — ShoppingDesign(2020-04-24)
  5. 河樂廣場 | 建築師雜誌 — 建築師雜誌(2020-09)
  6. 台南「中國城」拆除後原址另闢「河樂廣場」 2020年2月亮相 — ETtoday房產雲(2020-01-26)
  7. 【3月7日啟用】台灣台南市「中國城」拆除 昔治安毒瘤重建為最大親水公園「河樂廣場」 — 台灣英文新聞(Taiwan News)(2020-03-06)

最終確認日 2026-08-31

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